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ナイツテイルと私

大阪の梅田芸術劇場で公演されていた
「ナイツテイル~騎士物語~」観劇してきました。待ちに待った3年ぶりの再演…!
生の舞台って素晴らしい!劇場という場所って素晴らしい!そんな一期一会な少し大人の喜びと、観劇という新たな趣味を与えてくれたナイツテイルは、自分にとってちょっと特別なミュージカルです。

私はKinKiKidsの2人が好き。
小5(11歳)の時に出会い、その年代の女の子ができうる範囲の小さな可愛い応援をしてたけど、年齢を重ねて、自分にとって大事なものが増えてくたび、その気持ちは薄れ、一度離れてしまう事に。大人になって色んなタイミングが重なって再び舞い戻ってきた、所謂、出戻りファン。
出戻ったタイミングは、2018年。
その年の暮れ、年末年始の恒例行事、ドームコンサートがお休みとなる。
今にも爆発しそうな、今までの分を取り返そうとでもするような、抱えきれない巨大愛を抱えてファンクラブに入ったけど会えないという現実…
もちろん事情は十二分に理解しているけど、DVDを繰り返し見るだけではもう到底無理で、ただただ生の姿を見たい…!という不純な動機だけで、出戻り後初現場となる初演ナイツテイルへ。
光一くんがSHOCKを長年続けている事は離れている間もなんとなく知っていたけど、「ミュージカル」というエンタメに若干苦手意識があって、、、ただの浅はかなイメージでしかなかったのだけれど、そこで急に歌が入るのか?!みたいな、歌で伝える独特の世界観にちょっと抵抗があった・・・


・・・んだけど!!
ものの3時間でアーサイトにパラモンにエミーリアにフラヴィーナに、あなたそれ完全に勘違いでしたねと教えていただく32歳の秋。
何て素敵なんだミュージカルって。こんなトキメキ体験他にあるの?人間ってあんなに内から輝けるの?お芝居を見に行っただけなのに明日への活力がお土産についてくるの?なにこの世界・・・。
ポン酢派だったのに一気にごまだれ派に寝返った誰かのあの瞬間くらい綺麗にコロっと寝返った。
この感動体験がいつまでも冷めず、以降、内容は問わず、様々なお芝居やミュージカルを見に行く事に。
同じくしてナイツテイルで共に初めてミュージカルを観劇した私の母も、KinKiのFCとは別に、井上芳雄さんのFCに入り、暇を見つけては1人で様々な舞台を観劇するフッ軽さを発揮している。LINEが既読にならない時は職場か劇場、この二択で間違いない。

うまく説明できないけど、この瞬間を役に生きてる演者さんを見ていると、泣きどころでもないのになんだか泣けてくるし、私もあまり先の事に囚われず今を全力で生きよう!と思えてしまう。あとミーハーで申し訳ないんだけど、TVの中の人がこんなに近くで見れるという事も新鮮だった。
劇場が持つ独特の雰囲気も大好き。
今はコロナ渦だから味わえないのだけど、これから始まる期待感でざわざわしているロビー。劇場内に入った時の、顔にかかる空気や音の聞こえ方が一瞬変わる感じ。カーペットの匂い。他人とこんな近い距離で座るなんて他の場面じゃ抵抗あるのに、当たり前に許容できてしまう座席間隔。
「すみません、通ります」って「いいですよ、どうぞ」って、お互い向かい合って言ってないんだけど、そう意思疎通できている”前通るね”の瞬間。
終わって劇場から出た時の開放感と高揚感。それを抱えての帰り道。
初めから終わりまで、その全部が愛おしい。
それもこれも全部、ナイツテイル観劇がきっかけで
知った事。

まだまだひよっこで、それぞれの作品がもつ歴史や背景などはお恥ずかしながら勉強不足で、ナイツテイルでいうシェイクスピアがもつ世界観も実はあまり理解していない。でもなんだか本当に好きが溢れて止まらないのだよ。ナイツテイルの世界の中で披露される歌って、本当に素敵すぎませんか???

例えば「騎士物語」や「フラヴィーナ」「牢番の娘の嘆き」など、リプリーゼというかたちで、歌詞を変えて、二度三度歌われる歌たち。
「牢番の娘の嘆き」は、最初はフラヴィーナとアンサンブルさんのみで歌われるけど、1幕後半ではパラモンも途中から一緒に自身の心情を乗せて歌う。
その場面の、登場人物それぞれの心情がその時の歌詞に反映されていて、心の揺れ動き、決意や葛藤が歌を通して伝わってくる。歌に乗せてくれる事でこんなに響くのか伝わるのかと、何度聞いても驚く。
知ったメロディーが形を変えて発展していく様はストーリーのより深淵までいざなってくれるような感覚になるし、今はこうだよ、こう思っているよというガイド的な役割も感じ、初心者にとても優しい。
同じ歌とはいえ同じ歌詞ではないので、なんだか形容しようのない儚さがあってちょっと切ない。演者と共に、自分の気持ちもしっかり重ねていけるリプリーゼという手法、すごい。
「フラヴィーナ」なんか、1度目はエミーリアのソロで、死んだと知らされていた今は姿なき妹の様な友達との幼き日の思い出を悲しげに歌うのだけど、そんな2人の再会の歓びをうたう「フラヴィーナ(リプリーゼ2)」では、一緒に観劇していた母が毎回(3度)涙をぬぐう始末。自分が姉妹で育ち、親となっても姉妹を生んでいる(私と4つ下の妹)ので、姉妹愛を重ねてしまうよう。やはり歌に自身の想いをどうしても重ねてしまうのだ。
そして、散々Twitterでも投下したのだけど、オープニング&エンディング、2幕スタート含め4度形を変えて歌われる「騎士物語」。こんなに何回も話したくなる歌、そうそうない。

騎士の話が始まる 不安をはらんだ物語
騎士の運命だ アーサイト パラモン たまに間違うでも許して
~~~
~~~
そう 騎士の話は君の話だ 偉大なスケールすべて真実
昔の話だ 最後の話だ しくじったときは 君次第
今宵我々を信じてどうか それなしじゃとても最後にたどり着けない
義務ではないが 君はもう 話の中さ

スッとお話に入れた時って疲れるほどの集中力で見ませんか?私ナイツテイルが毎回そうです。
最初にこの歌があるからなんじゃないかと。
大げさだけど、おまじないの様な魔法の様な歌にさえ感じる。
始まるよと歌ってくれる事で物語へ連れて行ってくれるわかりやすさ。君はもう話の中にいるよ?ってそっと背中を押してくれる感じ。でも義務じゃないよ!っていうお茶目さ。
騎士の話は、結論、愛の話、様々な愛にまつわる物語だと捉えているので、本当に、私や私の大事な人との話しでもある。
そしてパラモンである芳雄さんもインスタライブで「泣きそうになる」と言っていた「今宵我々を~」のところ。
アーサイトとパラモン、ちょっとおバカなんだよね。名誉は守ろう名誉こそが大事だってうたっているように、ちょっと盲目で目的の為なら手段は選ばないぞという猪突猛進感、裏を返せば一生懸命なまっすぐなピュアさを持ってて、だから憎めないんだけど。そんな彼らに、たまに間違うけど許してね、なんて言われたら「わかったよ!しっかりやるんだぞ!!」という母親みたいな気持ちになるし、でもそれは、信じているからこそ。
今宵我々を信じてどうか、で全部預ける。
カンパニーに預ける。私の信頼を。
で、毎回涙するラスト。

騎士の話はお終い 語り尽くした 言うことは無い
帰る時間よ 淋しくなるぜ 神も惜しむ この別れを
夢見て我々を また来てできるなら 話したいことがあるから 騎士物語
道正されし、2人の騎士、愛の力さ!

愛ゆえに見失うけど、それを救うのもまた愛の力だよねぇ。
ほんとこんな素敵な物語が終わっちゃうなんて淋しくなるぜ。
ここでもやっぱり歌が、セリフじゃなくて音楽で伝えてくれる事で、自分の気持ちを簡単に重ねてしまえる。繋がってる気になっちゃう。文字にするとシンプルなんだけど、ここに音楽が乗る事で、笑顔なんだけど鼻の奥がツーンとして涙が勝手に溢れてくる。自分でも表現し難い感情になる。

書ききれないけど、「宿敵がまたとない友」「囚人の歌」「乾杯」etc... ついつい口ずさみそうになる、ついついリズムとって手拍子しちゃう、意識してないのに口角あがっちゃう素敵な音楽ばかり。
サントラ出るかな。待ち遠しいな。

2018年初演時に放送されたNHKのSONGSで
冒頭、大泉洋さんの「ミュージカルにしかない魅力は何か?」という問いに

芳:一番の魅力は「音楽」
「幸福感」というか、悲しい事があっても
それを言葉にできて誰かに伝えようとしている時点でちょっと前向きなんだと思う。人間の奥底にある、普段は出さないものが音楽によって出てくるから心が揺さぶられるんだと思う。
光:セリフでは言えないことを言えるんだよね、歌があると

とこたえていらした。
・・・揺さぶられました、とてつもなく。
ミュージカルの音楽で伝える世界観が苦手だと言っていた人間が、ミュージカルの音楽に魅了されて、次に観劇できるチャンスを自ら作っている始末。
今月も屋良っちの「DOG FIGHT」にいきます。
12月から梅芸で始まる「オリバー!」も気になるところ。本当に素敵な趣味ができた。ありがとう。
母親は「歳を取って歩けなくなってもどうにかして劇場には通う」とまで言っている。「じゃあ棺には今までに見た舞台の半券全部入れてあげるな!」と返した。

ありがとうナイツテイル!
帝劇初日おめでとうございます!!

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