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君の名は、僕の名は、

私は福岡県に住む29歳のおとこです。240年ほど続く津屋崎人形(つやざきにんぎょう)という人形屋で、長男として生まれました。

この人形は土人形で、見た目は素朴にした博多人形などをイメージしていただければ良いかと思います。

私の小さい頃は、人形屋の仕事はうまくいっておらず、その大変さを目の当たりしてきました
(母が夜中のパートを頑張ってくれて生活していました)。

なので、私は人形師以外の仕事をやることが子供の頃からの密かな目標でした。

人形師が嫌だった理由は色々あります。

小学4年生のときに同学年全員が自分の家を見学に来ること、父が講師として小学校に来ること、友達にからかわれること、地域や親戚から跡取りとして期待をかけてくることなど、なのに生活はギリギリだということ。
すべてが嫌でした。

自分は内気なタイプでしたが、敷かれたレールを嫌うような反抗心があったのです。

学生時代は、割と勉強は好きで、文章を書いたり読んだりすることが特に好きでした。
なので、九州大学文学部を受験するも、失敗し西南学院大学法学部へ進みました。

法学部というアドバンテージを生かしつつ、安定した職種への就職を目指し、大学3年生のときは公務員予備校に通いました。

結果、内定をもらえたのは、国税専門官と国立大学職員でした。
このとき、国税は全国転勤があり、地元に残って仕事ができる国立大学職員に惹かれて就職しました。
地元に残ったのは、心のどこかで実家の仕事のことを気にしていたからです。

新卒で入った大学職員ですが、敷かれたレールが嫌いな私は、決まったルールがガッチリとある公務員的な仕事が苦手で、日々悶々としていました。

社会人3年目の時、実家の人形屋の先行きを不安視した地元市役所が、県の補助金制度を紹介くださいました。
新商品開発や販路開拓のプロジェクトが始まり、実績と才能のあるデザイナーの方が来てくれました。

そして月に数回、現状の問題点などの洗い出しをする打ち合わせに、私はなぜか参加を強制されました笑

私は小さい頃から、「郷土玩具」というジャンルは、おじいさんやおばあさんが買いにくるもの、時代とともに忘れ去られていくもの、もはや需要がないもの、だと認識していました。

しかし、デザイナーの方の意見は違い、しっかりとブランディングと情報発信を行えば、需要はたくさんあること。
適正な価格をつけることで、生活していくだけの売り上げを確保できることを指摘されました。

そして、

・私がSNSで店や商品の情報発信をすること。

・リーフレットや箱、包装をシンプルだが上品なものにしつつ、価格を見直して、手間と値段のバランスを修正する。

・人形の技術や、もともとの成り立ち(祈願)を理解してもらえるようなアクセサリータイプの新商品。

・展示会で商談を行えるように、納期や発注ロット、上代や掛け率等の取引条件の設定。

以上のようなことを1年かけて行いました。

そして東京での展示会でゴール。
プロジェクトが終わる頃には、様々な人との出会いにも助けられ、とても父と母のみで捌けない量の発注を受けるようになりました。

その数ヶ月後に私も退職し、実家で父母と職人として仕事を始めました。

2020年で4年目に突入です。

これまでの三年間、私は経営やマーケティング、ものづくりの現状について、様々な本を読み、人との交流を通して勉強してきました。

実はずっと中小企業診断士(経営コンサルタントの資格)を勉強して1次試験を合格しました。
ただ2019年に2次が合格できず、いらだちと諦めの中アウトプット欲が生まれて、このnoteを始めました。

私は運が良く、様々な人の助けにより、今ものづくりで生活できています。
しかしこのご時世、勉強を常にしつつ、新しい変化を求められるということは当然です。

物が溢れ、価格は安い方へと引っ張られる中、どう戦うのかを毎日考えています。

同じように、ものづくりの仕事の方、マーケティングをされている方、伝統工芸やアートに興味がある方。

また何かを売りたいと考えている方も、突き詰めると課題は同じなのかなと思います。

文章を書くことは好きなので、noteを通じて、そのような人たちと、一緒に考えていけたらと思っています。

どうぞよろしくお願いいたします。



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