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食品添加物は誰のために使われてる?

体の健康を考えるとき、食は根幹となるテーマになります。体は自分が食べたものでできるんです、なんて言われるくらいですので、普段食べているものが健康的なものか気になる人も多いと思います。

こうした話をすると、食品添加物という言葉が話題になりがちです。
食品添加物から連想されるイメージは、

・日持ちさせるもの
・甘味や香りをつけるもの
・なんかおいしくしてくれるもの

・体に良くないんじゃない?
・食べない方がいい

など良くも悪くも色々出てきます。

様々なイメージを持たれる食品添加物ですが、
これは一体誰のために使われているのでしょうか?

「いやそんなの一般の食べる人のために決まってるでしょ!」

なんて思うのは当然かと思います。
私も食品添加物商社で働くまではそう思っていました。

しかし、そうとは限らないというのが私が3年間働いてきて感じたことです。

誰のための食品添加物かというと、食品メーカーや倉庫会社といった業者のためでもあるのです。

今回は食品添加物がいかに業者のために使われているかに焦点を当てて話していきます。
※個々の食品添加物については細かく触れません。



衛生管理、日持ちを徹底した結果使われる保存料

添加物といえば最初に浮かぶ保存料。
保存料削減というワードをコンビニなど掲げるところも増えてきていますが、それでも保存料は添加物の定番となります。

商品が店頭で長時間置かれても品質が落ちないというのは一見良さそうなことに聞こえますが、これは商品が劣化してお客さんに手に取ってもらえず、売上が落ちてしまうのを防ぎたいという理由が大きいです。
フードロス削減のため長持ちさせているというのもありますが、フードロスを無くしたいのであれば大量生産をしなければいいだけの話なのです。
大量生産の背景には、コンビニやスーパーには機会損失は絶対避けたいという考え方が根強いことがあります。
仮に商品が売り切れてものがなくなったときに、その商品を求めるお客さんがいたら、そのお客さんから売上を得ることができなくなります。こうした売上の機会を逃してしまうことを非常に嫌います。この機会損失を無くすためには商品を大量生産をし、少しでも多くのお客さんの手に取ってもらうことが目標となります。
ただ、商品を売りさばかなければ製造経費を回収できなくなります。
日持ちさせずに廃棄は一番避けたいので、保存料を添加し、手に取ってもらう機会を増やしています。

今食品業界で問題となっている大量生産、大量廃棄について書かれている本がありますので、こちらご覧になってみてください。


きれいな見た目を求めた結果使われる発色剤

発色剤(亜硝酸ナトリウム)はハムやソーセージによく使われます。
ハムやソーセージの色味が日にちが経っても悪くならないようにするためです。
肉は時間が経つと、赤から茶色に変色します。
そこで、発色剤を添加し肉のタンパク質が結合することで、時間が経っても肉の赤色が鮮やかに保たれるようになるという効果があります。

肉の変色を防ぐ理由として、食卓でおいしそうに見せるということもありますが、売り場に長時間陳列していると見た目が悪くなりお客さんが手に取ってくれなくなり、売上が落ちてしまうからということも大きな理由となっています。

発色剤はガン化リスクが高く、添加物の中では避けた方がいい代表例となります。

実際、多少変色しても味には影響なくおいしいというのに、お店都合の見た目ばかりが求められ、健康を損なう可能性がある発色剤が使われています。

もちふわ食感を追求した結果使われる生地改良剤

おいしさの決め手は味だけでなく食感が大きな要因となります。
特に最近のトレンドはもちふわ食感が好まれています。
パンやスイーツはハード系よりも圧倒的にもちふわしたものが多くみられます。
このもちふわ食感を出すために生地改良剤が使われます。
某メーカーが使用を公表したと話題になった臭素酸カリウムというものがあります。
小麦粉のタンパク質を酸化させ、グルテンの構造が変化することで、
生地の水分が保たれ、きめが細かくやわらかくしっとりした生地となります。これにより流行りのもちふわ食感を作ることができます。

臭素酸カリウムは発がん性が指摘され、メーカーでの使用が避けられていましたが、0.5ppbという濃度以下の含有量であれば使用してもよいというルールに変更されました。
このメーカーの一部商品に臭素酸カリウムが使用されています。生地を作る過程で臭素酸カリウムが分解されて発がん性がなくなれば使用してもよいというルール下で製造されているとのことですが、わざわざ発がん性が疑われるものを使ってまでふわもち食感を追求しないといけないのかと疑問を持っています。

個人的な意見ですが、流行りというのは作られているものと思っています。皆が本当にふわもち食感を求めているのか、それとも流行りに流されてふわもち食感がおいしいと思わされているだけなのか考えどころなのではないでしょうか。

こうした作り物の市場の流行りに乗るために添加物を使わないといけない例となります。
流行りは1年も続かないことが多く、短期的な流行りにも合わせて商品開発を急ピッチで進めないといけないメーカーも大変だなと半ば同情したこともあるくらいです。作られた流行りに振り回されて疲弊していく現場を垣間見て、食品開発現場の厳しさを実感しました。

健康志向を目指した結果使われる甘味料

近年、健康ブームが広がり、健康志向に寄り添った食品が多く並ぶようになりました。
糖質オフ、腸活、タンパク質摂取など昔ではあまり言われなかった新しい考え方が浸透しこれらを気軽に解決できそうな食品が増えています。

特に糖質オフは全く新しい考え方の一つで、肥満の原因は脂質ではなく糖質であるという医学的見地から生まれています。
長年、肥満を予防するなら油を控えようと言われていましたので、糖質が肥満に直結すると聞いて驚いた方も多かったのではないでしょうか。
それからはダイエット効果があると糖質オフを謳う商品が注目されました。

ですが、この糖質オフには落とし穴があります。
砂糖を減らす代わりに、甘さを補充するため甘味料を添加しています。
甘味料の代表例としてスクラロースやアスパルテームなどがあります。これらは砂糖の100~600倍ほどの甘さを付与します。
少量添加すれば甘味を感じられますが、糖分ではないのが問題です。

どういうことかというと、糖分を摂取するとインスリンが分泌され、血糖値を調整する生理現象が起きます。この現象が起きるために甘味を舌で感じる必要があります。
糖分摂取→甘味感知→インスリン分泌→血糖値調整
という流れがあります。

ですが、砂糖の代わりに甘味料がしようされると、甘味はいつも以上に感じるが糖分が入ってこないという現象が起きます。そうすると甘味を感知したインスリンが分泌されるも、相手の糖分がいないためインスリン無駄に分泌されることになります。

糖分摂取してないのに→甘味感知→インスリン分泌→糖分なんでいない⁇→インスリン分泌おかしくなる
となります

詳しいことは省きますが、無駄なインスリン分泌が起こり続けると、インスリン分泌の指令がおかしくなり糖尿病につながります。

糖質オフという健康に良さそうなことをした結果、糖尿病のリスクを高めることになりますので、本末転倒です。
普通のコカ・コーラか、糖質オフのコカ・コーラか、どちらもあまり飲んでほしくないが、どっちか選べと言われたら普通のコカ・コーラの方がまだマシです。

このように、健康志向という聞こえのいいブームに乗って売上を上げることだけを考えていると、本当の意味での健康を損なう結果となり得ることを学
びました。

まとめ

食品添加物が使用される背景は業者都合、市場都合であることが多いです。
その大半が売上を確保するため、市場に乗っかっているアピールをすることという印象を持ちます。

今回、日持ちや見た目、食感、健康志向というキーワードで紹介しましたが、これらのことを一般のお客さんは実際どこまで求めているのでしょうか。最低限のことは求めているかもしれないが、細かいところまで気にしている人は思っているより少ないかもしれません。
確かに過剰にクレームを入れる方もいるようで、そうした声に合わせて企業が商品開発をしているというケースもあるようです。
これもお客さんのためでもあり、企業の保身のためという見方もできます。

皆さんが普段から見かける食品添加物は誰のために使われているのか、
何のために使われているかを考えてみるのも面白いかもしれないです。
食品が作られる背景を知ることで新しい視点を得られます。

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