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【計画無痛分娩】無痛分娩を考えている妊婦さんへ・後編

御託(前記事)
計画無痛分娩を考えている妊婦さんへ・前編

舞台
横浜市立みなと赤十字病院(みなさん、ありがとうございました!娘はとっても元気です!)

入院まで

「ふむ、無痛分娩の予約はすぐ埋まるからなるべく早く言わないといけないね。断られたら別の病院を探すか…」

〜妊娠10週、産院での初妊婦健診〜
私「無痛分娩をしたいです!予約って空…」
先生「わかりました〜
私「ゑ?」

あまりにもあっさりしていたので、予約できているのか不安になりその後助産師外来でも無痛分娩で産めるのかを確認する始末。
※のちに出産した時期の産科病棟がガラガラであることを知る。現在はわかりません。

かくして、あれよあれよ娘の出産予定日が決まりました。
無痛分娩について本格的に説明を受けたのは妊娠後期に入り入院も目前の妊婦健診のとき。
硬膜外麻酔に関するリスクの説明を主治医から受け、同意書にサイン。助産師外来にて計画無痛分娩の日程を説明されます。
現代の医療、産科の先生達、助産師さんに全幅の信頼を置いていたため「痛くないならなんでもします!よろしくお願いします!」で終了。

帰宅後バースプランにびっしりと「痛くない分娩希望(のちの盛大なフラグ)」と書き、入院日に助産師さんに苦笑されるのである──…

入院・出産

~産後6ヶ月経っているためふんわりした記憶から掘り起こしてお送りいたします~

入院初日(麻酔処置~ラミナリア)

夫に有給を取ってもらい(当時コロナウイルス流行に伴い病棟には入れず)、指定された病棟に時間ぴったりに到着。
入院初日の目標は「硬膜外麻酔をする」こと。
当時の私の中ではここが一番の難所と踏んでいました。
なぜならば、多くの無痛分娩レポにて「この麻酔の処置が一番痛かった!」と目にしていたからです。
夫は1ミリも痛くないのになぜ痛い処置をせねばならない…?

しかし考えてみましょう。そもそも妊娠後期に入り、赤ちゃんの胎動キックの痛みで眠れない夜を過ごすなど日常茶飯事。この時点で痛くない妊娠出産ではありません。

そして、出産の痛みとは「子持ちの誰しもが人生で一番痛かったことランキング1位に挙げるヤバさの痛み」です(※何かしらの大手術した人を除く)。

当然こうなるわけです。そうですよね?
言い換えると「麻酔さえ我慢すれば無痛」ということになります。
意気揚々と私は麻酔の処置をしてもらいにLDRへと乗り込んだのです…

先生「それでは麻酔を入れていきますね~。左耳を下にして横向きに寝て、体操座りしてなるべく背中を丸めてくださいね~」

背後で処置が行われるため先生の動きが見えません。
麻酔処置で覚えていることを箇条書きします。

  • 痛かった

  • レポでは麻酔処置中微動だにできないと見たが、痛くて結構動いてしまった

  • 身体に力を込めすぎて、LDRいっぱいに響き渡るオナラ

こだまでしょうか、いいえ、オナラです。
痛みと放屁以外の記憶がほぼありません。恥ずかしいです。妊婦は便秘しがちだから、仕方ないもん。(先生、ごめんなさい…)

しかし麻酔処置の痛みが放屁の恥ずかしさで上書きされ、入院当日の思い出が「先生の目の前で目一杯のオナラをしたこと」になったので、忘れられない思い出にはなりました。

麻酔の管が無事挿入され、痛みのチェックをしていきます。
当日まで悩まされていた腰痛がみるみるうちになくなったので、その日は体勢を気にすることなく眠れました。
えっ…麻酔ってすごい。常にしていたい。

先生「では、棒を詰めていきますね~。麻酔が効いているので痛くないですよ」

出たわね!謎の棒。
計画無痛分娩の流れを説明される際に聞いた気がする、棒を詰める作業。
棒って?って思いましたが、あまりにもなめらかに話が進んでいったので質問しそびれた、あの棒です。
分娩台の上に乗っているので上手いことその棒を視認することができず、謎の棒を詰められていきます。

先生「これを今日1本でも多く詰められるかどうかで明日の分娩の楽さが全然違うからね~

そうなんだ!痛みなくスルンと産めるのなら、100本でも1000本でも詰めてください!
なによ、棒って(笑)と思ってたけど、実はすごい棒なんじゃない!?

産後に判明するこの棒の正体は「ラミナリアかん」と呼ばれる紐のついた棒。
どうやらこの棒が子宮頚管の水分を吸収して膨張し、赤ちゃんの通り道を広げるぜ!という、わりとパワープレイなアイテムらしいです。

この棒、麻酔が効いていない状態でするとかなりの激痛らしいのですが、麻酔が入っているならこっちのもんよ。
どうぞ、先生のお好きなだけ入れてやってください。

体内に棒が入ったままその日は就寝。

入院2日目(分娩日)

麻酔多量投入事件

よし、今日は産むわよ。
実は興奮してあまり眠れなかったのですが、もう朝から促進剤を投与するとのことで、やる気十分で起床。
麻酔の機械をポシェットのように肩に引っ掛け歯磨きをしようと移動。

その瞬間でした。

ガシュッ!ガシュッ!ガシュッ!ガシュッ!ガシュッ!ガシュッ!

なななななな何よ!あんた私に何したのよ!!!
何かの拍子に麻酔の機械の何らかのコマンド入力をしていたらしく、機械がしきりなく麻酔を入れる音がしています。

え!?私過剰投入されて死ぬ!?赤ちゃんは!?赤ちゃんだけでも助けて!!!
即時ナースコールをして助産師さんに診てもらいます。

「多分手動で麻酔を多量に入れるボタンを押しちゃいましたね…体調なんでもないなら大丈夫です」

大丈夫なの!?!?!?!?!?
じゃあまあ、いいか。

促進剤投入(子宮口~8cmまで)

分娩台に上がって助産師さんに陣痛促進剤を投与してもらいます。
まずは前日に挿入しておいた棒(ラミナリア桿)を抜いてもらい、微量の促進剤からスタート。

助産師さん「今日中に生まれるといいね~

この一言に全身が震え上がりました。
なぜなら、私が妊娠後期に夜な夜な読んでいた無痛分娩レポートでは「促進剤を入れても生まれて来ず、麻酔科の先生が帰ってしまって夜通し陣痛に耐え、痛いまま夜中に分娩」という、何のための無痛分娩なのか…というエピソードを思い出し、脳裏によぎりまくっていたのです。

無痛分娩のために15万円払っているのに…という気持ちが浮かびましたが、考えてみると棒を入れるのが無痛だったので水の泡というわけではないですね。

NSTの様子を見ながら時間になると助産師さんが来てくれて、促進剤を投与する量を多くしていきます。
とても暇です。
無痛分娩予定の方、絶対にスマホとモバイルバッテリーをLDRに持参してください(病院にWi-Fiがあるかの確認と、ないならプラン変更をおすすめします)。

NSTを見ているとどうやら陣痛が起こっている?様子でしたが、全く痛みはナシ。
私は勝利を確信してTwitterに勤しみ、そろそろTwitterにも飽きてきたところで実母に電話します。

「もしもし~?今陣痛あるみたいだけど全然痛くないよ~。あっでもお股の底がジリジリジリジリ…みたいな変な感じする…あ、待って破水したかもバイバイ

「すみません。お股から水だか血だかがぱちんと出ました」とナースコール。
すぐ来てくれる助産師さん。オムツを開けて、確認してくれます。

破水だね。先生呼んできます

えっ待って今日中に来るといいねって言ってたけど今、午前中よ?
焦っている間にズドン!ととんでもない痛みが下腹部を襲います
痛い!!!?!?!?!??!?!?痛いんですが!?!?!??!?!?

もがき苦しんでいるところに来る産科の先生が登場。
あっこの先生健診のときに時々会ったけどまさか産科の先生だったとは…と思っていたら、サッとオムツを開けられガッと手を突っ込まれて一言。

もう子宮口8~9cmだね

促進剤を入れてからの時間で考えれば急展開なのですが、私はそれどころではありません。もういっそ一思いに殺してほしいほどに痛いのです。確実に陣痛です。

痛い痛いとわめく私に先生が追加で麻酔を投与してくれます。
よかった、麻酔だ!!
追加された麻酔が効くまで少し時間がかかるとのことで、とりあえず痛みをやりすごします。
だって、少し待てばまた無痛になるのだから。

全然痛みが引くどころかどんどん痛みが増していくのですが…?
痛みに耐えている間に助産師さん登場。
内診グリグリ自体は痛くないのでやはりダイレクトな陣痛なんだろうな…と思っていたら、

「子宮口全開だね、産む?」

えっ私が決めていいの?
子宮口全開で引き返す選択肢あったのか…と感心していましたが、もう痛みが尋常ではありません。

取り敢えず産んでみることにしました。
初産だから1時間で産もう!と言われ、全く効く気配のない麻酔のことなど忘れて全力でいきんだら、ぴったり1時間ほどで生まれました。

めちゃくちゃ痛かったです。

入院最終日

実は入院最終日、授乳室で娘に授乳をしていると、分娩を担当してくれていた助産師さんが会いに来てくれました。

初産だし、促進剤の経過を見てあの日は産まれないと思ってたの。でもお産があまりにも早く進み過ぎて麻酔が効かなかったみたい。大丈夫だった?」

どうやら私のバースプランに反する出産を心配してくれていたようで、そのことを気にかけてくれているようでした。
その心遣いがとても嬉しかったのですが、その時はもう過ぎた出産の痛みよりも寝不足の方がつらく「お世話になりました、痛いのは当然です出産なんですから」と突如正論をかましてしまっていました

痛かったこと、痛くなかったこと

痛かった

陣痛(2時間弱くらい)

痛くなかった

  • ラミナリア桿挿入

  • 内診グリグリ

  • 胎盤出す

  • 会陰縫合

痛い無痛分娩にはメリットがないのか?

結論としては、無痛分娩をしてよかったです。

  • 本来味わう陣痛全体で考えるとほんの一瞬の痛みで済んだ

  • 産後の回復が早い気がする

やたらと縦に長い富士山の図(静岡・山梨のみなさん、すみません)

こうして富士山(やたら縦に長い)で見るとわかりやすいですが、痛みを体験したのはほんの一部です。
促進剤を使わなければもっと長いお産が予想されるため、産後の回復にも影響しただろうな…とぼんやり思っています。

特に長期戦が予想される初産のみなさんには計画無痛分娩はおすすめです。
お産は人によってそれぞれですので、もしかしたら最初から最後まで無痛かもしれません。
どれだけ無痛分娩の体験レポートを読んでも、結局は自分が体験してみないと麻酔がどう効いてお産がどう進むのかはわからないのですから。

私の場合は第一子でお産が早く進んでしまったので、もし第二子の出産があるとしても、一人目以上のスピードとなることを考えると無痛分娩は選ばないかな、と思います。

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