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【超実践型】D2C、単品リピート通販に10年以上関わってきた、CRMノウハウをまとめてみた。(マインドセット篇)

はじめまして、D2C事業を手掛ける事業者様に向けて支援サービスを行っている「堤谷 草太」と申します。

初めに軽く自己紹介をします。僕は2008年に新卒で東京のネット専業系代理店に入社し、SEO、リスティング、アフィリエイトのセールスと運用を行うところからキャリアをスタートし、その後福岡へと転勤、福岡で総合広告代理店へと転職、通販の本場九州で数々の通販企業とCRMを中心とした支援を行い、売上、利益、LTVの向上にひたすら10年以上向き合い続けてきました。

現在は東京で様々な通販事業者にCRMはもちろん、多岐にわたる領域の事業支援をさせて頂いております。

そんな中、ありがたいことに最近CRMに関する基礎的な部分から実践的な部分まで、様々な事業者様、他の支援サービスを行う方々から多数引き合いを頂いており、改めて自分が取り組んできたこと、取り組みにあたって必要なマインドセット、実践的な施策諸々を整理してみようと想いました。

ここでは、複数回に渡って僕が伝えられる範囲のリピート通販、D2C業者、またそれを支援する支援業者さんに向けて、一ミリでも役に立てば嬉しいなと思い、包み隠さずノウハウを公開していこうと思います。

というわけで記念すべき第1回は「CRMに取り組むにあたって必要なマインドセット」です。
ではでは、約6000文字に渡りますが、お時間あれば是非お読みください。


1.そもそもCRMってなに?

今では割と一般的になったCRMですが、そもそも定義や中身って意外と理解されていないことが多いです。
これはあくまでも僕が考えるCRMなので、人によって考え方の違いはあるかもしれませんが、僕は「お客様へのおもてなし」がCRMだと思っています。

正確には「顧客関係管理」がCRMの日本語訳になりますが、
噛み砕くと「おもてなし精神」なんじゃないかと思っているわけです。

多分一般的な理解だと、「既存顧客にクロスセルとかアップセルをして売上や利益を上げる」みたいな考えが定着しているんじゃないかと思いますが、
本質的な部分は、如何にお客様に自分たちのサービスを理解してもらい、好きになってもらうか?この部分が肝だと思っていて、クロスセルやアップセルはあくまでも手段の一つ、そしてそこから生まれる売上や利益は「結果」でしかない。と思っています。

つまり、CRMの本質は「お客様の満足度を高めること」これに尽きると思っています。

2.CRMのよくある勘違い、よくある相談

僕が10年以上関わってきて、特にここ最近非常によく思うのは、
どの事業者も共通して、CRMをやれば売上と利益が上がる。クロスセルやアップセルを、サンクスページやステップメール、DM、同梱物で行うのがCRMでしょ?と考えてしまっている方が多いということです。

上述しましたが、上記はいずれも「手段」の話でしかなく、本質的ではありません。

どんなサービスでも同じだと思いますが、
「どうしたらお客様が満足するのか?」
これを考えてサービスを設計したり、提供するものを改善したり、試行錯誤しているはずだと思います。
ところが通販というマーケットになった途端に、なぜか「手段」の話が先行して、「顧客満足」が置き去りになっているケースがほとんどだと感じています。

そもそも通販において売上や利益が上がる瞬間ってどんな時でしょうか?

広告を見て購買行動を起こした時、同梱チラシを見て追加の商品を買う時、
メールやDMを見て購買行動を起こした時、色んなシーンはありますが、
これ全てに共通して言えるのは、全て施策を投じた「結果」でしかない。ということです。

じゃあなぜ、その結果が生まれるのか?
それは、各シーンにおいて顧客の負が存在しており、顧客はその解決を図るために「購買」という行動が起きた。ということです。

つまり、すべての施策や手段は「顧客の負」を解決するために存在している。という風にも考えられるわけです。
当たり前の話かもしれないですが、これ以外と理解していないケースが本当に多いです。

そんなわけで、よくある相談として、
「どうしたらクロスセル・アップセルが成功しますか?」
「LTVを上げるにはどうしたらいいですか?」
「継続率を上げるには何が有効ですか?」
「解約を阻止するには何をすればいいですか?」
この辺の話が多いですが、結論は全て同じ「顧客の負」を解決しましょうです。

更にもっと言うと「成功している他社の事例を教えて下さい」
これが一番やっかいというかひどいです。

なぜなら、結論として顧客の負を解消しないとすべての施策は成功しないと考えた場合、他社の顧客の負と自社の顧客の負は全く異なるので、他社の事例をしったところで、なんの解決にもならないのです。
もし少しでも他社の事例を有効活用するのであれば、
「なぜのその施策は成功に至ったのか?」
これを知るべきです。
(まぁこれでもそもそも顧客の負が違うので参考になるかは微妙ですが)

というわけで、あるある相談を持ちかける事業者、支援者は、
大概顧客のことを見ていなかったり、知ろうとしていないケースがほとんどです。

繰り返しになりますが、顧客のことを知らないのに顧客の負を解決できるわけもなく、むやみやたらにセールス色の強い施策を打っても意味はありません。
もしかすると短期的にはたまたまヒットして売上と利益が上がるかもしれませんが、本質を食っていないので、いずれ呆れられますし、もっと良い競合商品が出てきたときに、すぐにスイッチされることは明白です。
だからこそ、顧客のことを知る必要があり、顧客に対しても自分たちのことをよく知って貰う必要があるのだと思っています。

3.じゃあCRMって何をすればいいの???

ここまでで色々とあるある話を中心にその間違いを書いてきましたが、
じゃあ具体的にはなにをすべきなのか?それを知りたい人が大半だと思いますので、そろそろその辺りを書きたいと思います。

①まずは自社のプロダクトやサービスが顧客のどんな負を解決するものなのか言語化する

意外とこれキッチリやれてない所が多いです。
なんとなくで、
「ダイエットに悩む人にこんな新しい成分を加えた差別化したサプリ」とか、
「野菜不足の人に美味しい青汁提供して健康を維持してほしい。しかも乳酸菌が〇〇◯億個配合されているので、腸活にも良い」
このレベル感での言語化がほとんどです。

今、世の中には商品、情報が大量に存在しており、人が一日に受け取れる情報量には限りがあります。
そんな中、上記に書いた程度のプロダクトの説明では誰にも響かないです。
人はもれなく悩みを抱えていますが、その背景は様々で一概に言えないことが無数に存在します。
そんな人達の負を解消するためには、一人ひとりの背景やバックボーンを
深く知るべきで、それを理解できない限り満足してもらうことは限りなく
難しいと言えます。

ただ、ここで間違えてほしくないのは、「じゃあペルソナ作ればいいの?」
という話ではないということです。
ペルソナ作りを否定するわけではないですが、それはあくまでもモデルケースを作っただけに過ぎず、こうだったらいいな。という側面が強いです。
人はそんなひとくくりで語れるほど単純ではないですし、そんな単純な世の中なら諍いも起きないと思います。

したがって、手っ取り早いのは思いつく自社のターゲットに対して
徹底的にインタビューやアンケートをとり、定性・定量の両面で自社が思い描いていたターゲット像とどれだけ乖離があるのか?
その上で、自社のプロダクトは適切に顧客の負を解消できるものなのか?
これをとことん突き詰めて見直すことです。

これがきっちり出来ると、プロダクトについてより深い言語化ができるようになり、データだけでは導き出せない自社独自のポジショニングや強みを見出すことに繋がります。

まずCRMを取り組むにあたって、この自社のプロダクトのポジショニングやUSP、UVPを明確に言語化することがスタートラインだと考えています。

②本当に自社のプロダクトは顧客の負の解消に役立っているのかを知る

①が出来た上で、次に取り組むべきことは、実際に購入して頂いたお客様や利用者様のお声を聞くことです。
どれだけプロダクトの精度を高めても、万人にハマることは稀で、どこかで絶対に不満が募ります。
この不満が「解約・離脱」に繋がり、LTVの減少、顧客単価のダウンに繋がります。これを数字の上だけで見ると、そこに対して改善策(アップセルやクロスセル、解約阻止トーク)を当ててしまいたくなるものですが、
何度も言いましたように、それは手段の話であって本質的な解決につながることは無いです。

ですから、実際に買って頂いた人、使って頂いた人の生のお声を聞いて、
何が問題なのか?どこに不満を感じているのか?それを直接聞き出すことが非常に重要なのです。
この時、アンケートだけで済ませるのは得策ではなく、インタビューをして聞き出すことが非常に重要です。
アンケートのような形式だと、本当のコアの負を引き出すことが難しい事、
データの量だけに惑わされて、本質的な負が見抜けなくなる可能性が高いからです。
もちろんアンケート自体が駄目なのではなく、データをとって知れること、
データだけでは知り得ないことがある。ということです。

つまり両方をうまく活用して、実際に使ってもらった人達から改めて顧客像を描き直す作業をすることで、プロダクトだけでは解決できなかった負を洗い出し、その負を解決する手段として様々な施策を検討することが最も重要で、施策を打つこと自体が重要ではないということです。

またまた繰り返しになりますが、
顧客の負を解消する=満足度が向上する。=それがLTVにつながる
この図式を絶対に忘れないでください。

③顧客の負を解消するにはどうしたら良いのか?

ここまでで、定性、定量両方のデータを取得していることが前提ですが、
それさえあればもう解消は目の前です。
(ちょっと言いすぎかもしれませんが)

要は顧客の困っていることをあらゆる手段を用いて解決すればいいのです。

具体的には、
・効果を感じない
└なぜ効果を感じなかったのか?データを基に感じてもらう手段を提供する

・余ってしまっている
└なぜ余るのか?データを基に利用サイクルや実態を基に余らない利用方法を提供する

・金銭的に厳しい
└プライシングを見直したり、続けやすいプランを提供する

などなどです。

いずれも当たり前の事のように見えますが、この手段に到達するプロセスが
ここまでお話した内容に則っていれば、施策の精度が段違いになるので、
効果は抜群に上がります。

あとは、チャネル別だったり、施策を届けるタイミングだったりを
加味してチューニングすればOKです。

もちろん、ここで書いていることはごくごく一部なので、これだけでは語り尽くせないことが多数ありますが、何よりも大事にしてほしいことは、
「お客様をもてなす」という精神、マインドです。

事業者はお客様の負を解消するためにプロダクトやサービスを提供しており、その結果として売上や利益を得ているのです。

売上を得るためにプロダクトを提供しているわけでは決して無いということを絶対に忘れないで頂きたいです。

「売上=結果」という図式さえ忘れなければ、自然とお客様の満足を高めるにはどうしたら良いのか?という考えに至るはずで、そのためにおもてなしをどうすべきか?という思考回路に変化していくはずだと僕は思っています。

4.CRMに取り組むためにマインドセットのまとめ

ここまでCRMに取り組むにあたっての考え方をつらつらと書き連ねましたが、結論として言いたいのは、
「CRMは一日してならず」です。
顧客を知るという作業はちょっとやそっとじゃナシ得ないですし、
日々顧客のマインド自体も時代の流れとともに変化していきます。

情報過多なこの時代だからこそ、そのスピードに置いて行かれないように
常に顧客に耳を傾け続け、プロダクトやその他のサービス、CSをアップデートし続ける必要があります。

もちろん、リソースやコストとのバランスも重要ではありますが、
ここではあくまでもマインドセットの話を中心にしていますので、
その辺は一旦無視して、姿勢や大前提を書きました。

ややこしくしたり、難しくする必要はまったくなく、
とにかく顧客のことを思って取り組むことが最も大事であることを忘れずに
(もちろん、一方的な押しつけでしかないサービスは論外ですが)
日々、お客様満足の為に働いていけば自ずとファンが生まれます。

最初は商品だけの繋がりだったのが、様々なサービス、おもてなしを通じて
企業やブランドのファンになる、これがCRMで目指すべきゴールです。
(その指標としてLTVなどのKPIがついてくるイメージです)

そして最後に僕の持論を1つ。
顧客に対しては、「性善説」をベースとして向き合うことが重要だと思っています。
よく解約理由を分析したときに、「これは体の良い言い訳だ」などど見限って、「そうはさせないぞ」的な施策を走らせるケースを見かけますが、
この性悪説的な考えは、間違いとは言いませんが短期的な施策に走りがちになる要因になりかねないと思っています。

なぜなら顧客を疑ってかかっているので、そもそも信頼関係が成立せず、
顧客満足を上げようというマインドからかけ離れていってしまうからです。

せっかく頑張って商品を作って、もてなしても解約されてしまう。
これはもう宿命です。どうあがいても100人が100人続けてもらうことは無理な話なので、だからといって顧客を疑ってかかるのは間違いだと僕は思います。

性善説に立って思考を回せば、「そうかこういった人もいるんだな」
「まだまだ足りないところがあったんだな」というマインドになり、
「じゃあもっとサービスを改良しよう!」といった前向きなプロセスを踏むことができるようになります。

本当に何度も繰り返してて、しつこいくらいかもしれませんが、
顧客満足が通販ビジネスの根幹です。
顧客を疑ってかかるのではなく、ありのままを受け入れてそれをプラスのエネルギーに変換し、サービス、CSの向上に務めるのがあるべき姿だと思います。

というわけで、今回はこの辺までにしようと思います。
今回はあくまでもマインドの話にしぼりましたが、具体的な施策の動かし方や分析の仕方、体制の作り方、やるべきことは無数にあるので、
その辺りはまた次回に書きたいと思います。

ここまで読んで頂いた方には本当に感謝です。

次回のお題は未定ですが、GW中には一通り書き切ろうと思ってます。

もし、ここはこうじゃないの?ですとか、次はこういった話を知りたい的なことがありましたら、コメントやFacebookのメッセンジャーなどで是非コメントください。

▼堤谷草太Facebook▼

それでは、次回も楽しみにお待ちいただければ幸いです。
D2Cマーケッターの堤谷草太でした。


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