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ほら、

問題は静かであること
問題を呼び覚まそうとすると問題が見えなくなる
問題がはっきり浮かび上がったとき
それはもう問題じゃなくなっている
問題が
何が問題であるかをみずから消し去っている

問題の段差を踏みつけていて
段差がわからなくなっている
問題は光なのかもしれない
問題の隙間を光が漏れて光っている
光が漏れることが問題のあかしなのかもしれない
光が漏れなければ問題はないのかもしれない

木立の隙間から
鹿が
覗いている
隙間がある/隠れ
隙間がある/覗く

物事の前後というと
そこに切れ目があるはずで
それを原因と結果と言い換えると
あまりに窮屈で
何を言っているのかよけいにわからなくなる
だからそれはきっと違う
原因と結果ではない物事の前後というのがある
吐息とともにその隙間が光る

漏れるというのは微妙なことだ
光が漏れる
水が漏れる
キチリと遮断できない
どこかに隙間がある
それはマイナス要因と考えられているが
ほんとうは
プラス要因なのだ
遮断できないことで人生はゆたかな問題に満ちている
漏れることで人生はさばききれない問題で花畑がいっぱいだ

ほらごらん
鹿の目から
森の樹木の隙間から
光が漏れ
消えかけたいくつもの問題が
ゆっくりと芽をさます

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