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【読書記録】鹿の王1〜4

2024年67〜70冊目。

『獣の奏者』に引き続き上橋菜穂子さんの作品を読んでいきます。合本版で読みましたが冊数としては4冊扱いで。

上橋菜穂子さんの他の著作と同じくファンタジー小説なのですが、医療小説でもありミステリの一面もありと盛りだくさんな構成になっていました。守り人シリーズや獣の奏者に比べるとやや大人向けかなと思います。

その他の工業の発展に比べて医療が飛び抜けて発達していて驚きました。調べると顕微鏡の発明が17世紀ごろ、注射器に至っては19世紀ごろなのでその異質さがわかると思います。

病に対する認識も現代のそれで、それを中世ベースの世界観に移植した際の、従来の思想とのぶつかりには緊張感がありました。

医療小説としての主人公がホッサルならファンタジー側の主人公はヴァンです。こちらは嗅覚が異様に鋭くなっていたり、魂が狼に乗り移ったりとファンタジーらしい描写があります。こちら側の描写の理屈を無理に説明せずに緩やかに接合させたのは賢明だと思います。

読んでいて印象に残ったのはホッサルよりもヴァンとユナの親子でした。孤独な囚人が子どもを育て、帰るべき場所を見つける過程は心暖まります。ユナも守られるだけではなく最後にはヴァンを迎えにいくようになり成長を感じられます。

ヴァンの結末は明確に描写されていませんが、ユナのやれやれという態度を見る限り心配ないと思っています。皆のところに帰ることができたと信じています。

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