【読書記録】ウィザーズ・ブレインⅨ 破滅の星 下
2023年66冊目。
※この記事はネタバレを含みます。ご注意ください。
マサチューセッツの難民を犠牲にしてまでの捨身の作戦まで展開され、人類と魔法士の戦いは行き着くところまでいってしまいました。
各登場人物に見せ場があるのはいいのですが、前巻で祐一を失ったに続き、誰が命を落としても不思議ではない満身創痍の状況は読んでいて心臓に悪いです。
人類の魔法士に対する憎しみや恐怖は南極下の町の老人たちでも描かれていて、和解の可能性を示したエピソードでしたが、ベルリンの難民たちの町で再び描かれ、容易には乗り越えられない壁に無力感を感じました。
疲弊しきった両軍は練たちの活躍で停戦となりましたが、人類側でその気運をつくったのはイルだったと思います。それはイルが常に最前線で人類のために戦ってきたことの証ですが、それを知っているのは軍人たちです。
世の中には軍人以外の人間も大勢いて、事態は戦場だけで起こっているわけではありません。
なんの能力もなく絶望感だけが広がっている一般市民たちが魔法士と戦いたくないと思うでしょうか。
練は雲除去装置を破壊すると言っていますが、シティは残り三十年しかもたずジリ貧になるというのが現状のはずで、その問題はどうするつもりなのでしょうか。
次巻は上下巻ではなく一冊だと以前作者が言っていた気がするので次が本当に最終巻になりそうです。サクラとの決戦になると思うのですが、サクラの真の狙いが気になります。自分だけが悪者になって退場するつもりではないかという気がするのですが、そんなことにはなってほしくないです。
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