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【読書記録】インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー

2021年177冊目。

本格ミステリ大賞受賞の『開かせていただき光栄です』から続くシリーズ3作目。シリーズの紹介はハヤカワ公式のnote がありますのでそちらをご覧ください。

さて、前作でアメリカに渡ったエドとクラレンスですが、エドは植民地開拓者(コロニスト)の大地主アーデン家の庶子であるアシュリー・アーデン殺害容疑で収監されているようです。アシュリーの友人モーリスは記者ロディを使って真実を聞き出そうとしますが……。

現在のロディ視点の「調査」パートと過去のアシュリー、クラレンス視点の「犯行」パートが交互に描かれます。特に犯行パートは語り手が2人に分かれる上、アシュリーは信用できない語り手として登場するなどやや複雑な構成です。

アシュリー殺害事件の真相などの謎が提示されますが、ミステリというより、独立戦争のさなか、王国派の兵士であるエドとクラレンスがアメリカを賭けた陰謀に巻き込まれる冒険小説という印象です。

過去の事件を受けて自罰的な傾向のあるエドと、白人とネイティブアメリカンの混血という出自に悩むアシュリーの間にあって、クラレンスの優しさは読者にとって感情移入しやすく、緩衝材としての役割を果たしています。

また、時折見せるエドの思いやりも『開かせていただき光栄です』のバートンファミリーだった頃を想起させ温かい気持ちになりました。

ラストの展開は衝撃的でした。

これ以上は書けない。
YはYou all (あなたがたすべてに)、深い愛を捧げる

読者の1人として、感謝を。

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