【読書記録】後宮の烏
2023年17冊目。
中華風王朝の後宮を舞台とした和製ファンタジー。後宮の妃でありながら、決して帝の渡りがないという烏妃が、後宮で湧き上がる謎に挑みます。
『薬屋のひとりごと』と似た雰囲気がありますが、科学的に謎を解いていく『薬屋のひとりごと』に対して、こちらは死者の霊や幻術などファンタジー要素があります。
ともに複雑な過去を持つ烏妃と帝の交流も見どころです。
一度心が空白となってしまった烏妃ですが、その空白は先代の烏妃によってすでに埋められており、不器用ながらも他者を拒絶しない優しさが感じられました。
対する帝の方も不器用さは烏妃に負けず劣らずですが、烏妃に対する誠実さが感じられ、迷惑がられながらも烏妃のもとを訪ね続ける様は暖かみを感じます。
烏妃の謎や帝の過去などの設定はあらかた語られた感がありますが、ちょっと詰め込みすぎたのではないでしょうか。シリーズとして後に伏線を残してもよかったのではといったあたりが少し難点。逆に次巻以降の展開が読めないので楽しみにしたいと思います。
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