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「脚本技術を世界へ」シナリオ・センター_新井一樹さん

クリエイターを応援する業界の取り組みをピックアップし、代表者の方にその「想い」をインタビューしていきます!

(2020年12月23日 (水) 10:00 配信済)

これまでに数多くのライターを輩出してきた「シナリオ・センター」第4回目は、プロジェクト統括の新井さんに登場してもらい、クリエイターを支える取り組みについて話を伺いました。

プロフィール

新井 一樹氏
株式会社 シナリオ・センター
取締役副社長
プロジェクト統括

▶シナリオ・センタープロジェクト統括 
新井一樹氏(以下、SC 新井さん)

シナリオ・センターとは

シナリオライター・プロデューサー・ディレクター育成向け講座を運営する脚本の伝統校。

これまでにジェームス三木さん、内館牧子さん、岡田惠和さんをはじめ、第一線で活躍を続ける多くのプロシナリオライターを輩出している。

(シナリオ・センター公式サイトはこちら)

「1億人のシナリオ。」

創業の経緯について

もともと、私の祖父である新井一が脚本家や映画企画者として活動をしている際に、制作現場の方々を集めて勉強会や講座を開いていて、1970年に「一億総シナリオライター化」というビジョンを掲げ、今のシナリオ・センターを設立しました。

今は「1億人のシナリオ。」と言い方を少し変えましたが、この言葉には「日本人一人ひとりが自分たちで考える力をつけてほしい」という思い、そして、「その力をシナリオを通して育てていきたい」という新井一の思いが込めれています。

これまでの輩出ライターについて

シナリオ・センターの出身ライターは600名程です。ライターデビューを飾った事がある人を含めると、2,000人程になると思います。

また、映画やドラマだけでなく、小説や漫画原作、舞台作家、ゲーム作家など、さまざまな分野で広く活躍されています。

取材模様

デビューのチャンスに

シナリオS-1グランプリについて

年に2回、定期的に「シナリオS-1グランプリ」というシナリオコンクールを開催しています。

グランプリには賞金 30万円が進呈されるほか、我々で毎月発行している業界誌「シナリオ教室」に受賞作の全文が掲載されます。そこで業界の方に作品を知ってもらい、声をかけてもらい、次につながるというケースが少なからずあるので、デビューのきっかけとなっています。

応募企画の傾向について

テーマや内容では、特にこれといった傾向はありませんが、ジャンルは圧倒的に「人間ドラマ」が多いです。ただ、審査する側からしたら内容によって選り好みなどはしないので、しっかりと脚本が書かれてさえいれば、斬新なものや、尖った内容のものなど、どんな内容であっても問題はないです。

審査基準について

1次選考のポイントは内容よりも、シナリオの形式で書けているかをチェックします。他のコンクールを含めて、どんなに面白い内容でもシナリオの形式に沿って書けていない作品は落選してしまいます。
シナリオは映像になるように描かないと意味がないということを、1次選考の段階で審査しています。

2次選考からは内容を中心に審査していきます。
内容の部分の審査基準は公開していませんが、続きが気になってどんどん読み進めてしまう作品というのはどれも共通して、キャラクターや構成がしっかりと描かれています。

このシナリオS-1グランプリは生徒の方以外でもご応募いただけるので、ご自身の腕試しや売り込むチャンスとして、是非挑戦してみてください!

(次回概要)
第40回応募作品募集中 【2021年2月22日(月)20時30分必着】

S-1グランプリ

2019年12月に実施した第37回の授賞式の模様。第38回の授賞式は、コロナ禍の6月にオンラインにて実施。第39回の授賞式は、来春1月開催予定。

我々のコネクションを最大限に利用してもらう

ライターズバンクについて
ライターズバンクとは業界の方々からのお仕事をご紹介する、会員へのバックアップシステムです。
シナリオ・センターには業界から様々なオファーが集まります。これらの案件を登録している生徒の方々へ定期的に案内をし、希望者がコンペに臨む、といった流れです。

どのような依頼内容の案件が集まるのでしょうか?

TVドラマや映画だけでなく、企業のPR動画、ゲームシナリオ、アニメ、WEBドラマなど様々です。
また最近では海外からのオファーも頂くようになってきました。

このライターズバンクをきっかけに、業界の方と知り合ったり、次のお仕事を紹介されたりということにもつながりますので、生徒の活躍の場を支援するという意味でも、上述したシナリオS-1グランプリだけでなく、この取り組みも大切にしています。

生徒の方々には、シナリオ・センターがもっているコネクションを最大限に利用してもらい、一日でも早いデビューができるよう応援しています。

次は世界進出

今後の展望について
シナリオ・センターという名称には「シナリオの中心」という想いが込められています。この表参道の学校を拠点に、創業者の新井一が構築した脚本の基礎技術をもっと広く、発信していきたいです。

日本では私たちの認知も広がってきたかなと思いますでの、次は、世界に向けて発信していけたらと思っています!世界で主流となっている脚本技術よりも、「すごい技術が日本から輸入されてきたぞ!」となって、それが実はもっと古くからある新井一の基礎技術だった、なんて展開も素敵だなと思います(笑)

この構想の具体的な方法論はこれからですが、ビジョンは大きく、挑戦していきたいです。

また、物語のシナリオを書くということは、登場人物1人ひとりの立場に立って、物事を考えるということです。例えば、ある事件を起こした犯人はなぜ、そのような行為を行うに至ったのか、その被害者はどのような気持ちになり、どのような行動をするか等、様々な視点での想像力が必要になります。
こういった、自分だけでなくいろいろな立場になって物事を考えるという想像力はクリエイターを目指す方以外の方にも、日常生活の中でも必要になります。

ですので、「1億人のシナリオ。」というコンセプトのもと、一般の方々にもシナリオを学ぶ楽しさ、大切さをより広めていきたいです。

シナリオ・センター50年の歴史がわかる特別動画『あした』

TCPへのメッセージ

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TCPは受賞をすると、その作品の映像化を約束してくれる、しかもその際の予算がとても大きいです。こんなに、これからデビューする人に期待をかけてくれているプログラムはなかなかないと思います。
新人へ希望を与えること、創作の大切さ、楽しさを広めるという意味でも、これからも実施し続けていってほしいです。

また、日本に留まらず、世界で多くの人に愛されるような重厚な作品が生み出されることを期待しています!

ヒキ