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【監督部門】二次審査:監督に求められるものとは?

2022年度のTSUTAYA CREATOR’S PROGRAM(以下:TCP)、先日行われた企画部門に続いて「監督部門」と「脚本部門」の二次審査が行われました。今回はその「監督部門」についてご紹介します(脚本部門は1月初旬に掲載予定)。

二次審査「企画部門」の様子についての記事はこちら👇

▼監督に求められる技量

企画部門に比べると、映画製作における力量がより重要となってくる監督部門。作品の映画化が決まった際には、受賞者が実際に映画監督として携わる可能性も大きいTCPにおいて、その「力量」というのが極めて重要な審査ポイントとなります。

映画監督という仕事には、そういったたくさんの能力や力量が求められますが、中でも重要なのが「演出力」です。

TCPの監督部門では「演出力」を審査するために、自身の製作した15分以上の映像の提出がエントリー時に必要となります。映像における演出力を評価するというのは誰にでもできるわけではありません。審査にあたっては、プロの現役プロデューサー陣が担当します。

▼「演出」とは

映画における「演出」と一言に言っても、鑑賞スタイルも多様化している現代においては、様々な解釈があるように感じています。審査を通してプロデューサーの話を聞き、かつ映画ライターをしている私が、個人的に思った演出とは、

観客に「こう感じて欲しい」という思惑を、正しくかつ効果的に伝えること

例えばホラー映画で恐怖を感じて欲しい時は、
・昼と夜なら夜が良さそう
・室内で逃げ場が無い感じが良さそう
・照明は暗めが良さそう
・可愛げな少女が悪魔に取り憑かれると怖そう
・ブリッジしながら階段を降りて来たら怖そう

などのように「怖がってもらうため」にはどうすれば良いかを考えます。もちろん上記の様な条件のほかにも、音楽・効果音・美術・カメラワーク・メイク・演技など、非常に多くの考えるべきポイントがあります。

そういった無限に近いアプローチの中から、どういったシーンや見せ方を取捨選択するのかが監督の個性ですし、演出だと思います。

▼審査の様子

自身の作った映像の提出が必須となるので、「監督部門」にエントリーした方々は、企画部門よりも普段から映像関係のお仕事をされている方が多い印象でした。

それもあって、製作をこうやって進めていくのが良いのではないか、予告編はこうしたら良いのではないか、製作費はこのくらいかかるのではないか、といった実際に映像化された時のビジョンとその具体性を持っている方が多くいらっしゃいました。

そして監督にとっても非常に重要なスタッフィング。

スタッフィングとは、かんたんに言うと映画製作において、撮影班や照明班など、「その道のプロ」の方たちをどのように集めていくかという作業。そして映画監督は、自分の思い描いている世界観を実現するために、こういうスタッフが良いという具体的な要望を持っていることも多いです。

二次審査では、作品自体が面白いかというのはもちろん、どう映像化していきたいかという観点から、スタッフィングなどを含めた様々な切り口で、具体的なビジョンを持っているか、また持つとこができているかがとても重要となります。

▼映画を通してどんな人に何を伝えたいか

何を伝えたいかの「メッセージ」が、企画・脚本・監督と、部門に関係なく、映画を作る上での大きな基盤です。やはりその中でも、メッセージを届けるための比重が最も重くなるのが、「監督」というお仕事。

なので「監督部門」二次審査に通過された方々は特に、作品を通してこういうことを伝えたい、世の中に発信したい、世界を変えたいなどの熱い思いを持たれていました。

その情熱が、今後どのようにして作品へと昇華されていくのか。数年後に劇場で観られるのが、今からとても楽しみです。

(文:芦田央(DJ GANDHI)