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『きみの世界に、青が鳴る』 河野裕 著

信仰を、自分が正しいと信じている価値観を、感情的なモノを、全て捨てずにいられるだろうか。

捨てることで前に進むんだ、そんななんの根拠もない思い込みにナイフを突きつけるような物語でした。
優しい絶望で幸せをみつけるのも正しいことだし、希望に向かってひたむきに苦しみ続けることも正しい、その間で迷い続けて、正しいと思ったことを言い張る責任を背負うことができる大人に、なりたいなと思いました。

「さよならは、きちんと寂しい方がいい。」
登場人物の方々、皆誠実ですね。
世界観が濃すぎて入れる人と、入らない人がいるかな。


p.43
「現実をみない理想主義なんて暴力みたいなもんだよ」
「まったくだね。でも、理想を想像しない現実主義なんて、自殺志願者みたいなものだ」

p.58
「他人に求めるのは、上手くいかなくても笑って済ませられることだけにしろよ。それ以上は望みすぎだ。」

p.184
なにが正しいのか分からない。それでも。
「悩み抜いて出した答えを、これが正しいんだって言い張るのが、きっと大人の役割なんでしょう」
本当は誰にも背負えないものを、本当に誰も背負わなかったなら、決してたどり着けない場所もある。

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