見出し画像

洗練された野趣の口福 -現在進行系の日本料理にふれる

グルメレポート
粋香(すいこう)
香川県木田郡三木町井戸2316-4 井戸モール内
Tel 087-802-8818


 おいしい料理には、理由がある。

 料理の世界では「野趣(やしゅ)」と呼ばれる季節の素材の味をいかした日本料理店が、自然ゆたかな三木町に誕生した。やわらかな物腰の店主・谷岡 昌さん(36)は、京都の老舗料亭「和久傳(わくでん)」で技術と感覚を磨いた料理人。素朴になりすぎない「洗練された野趣」を持ち味に、料理に対する飽くなき好奇心をひと皿に表現している。


 木の風合いと異素材のコントラストが美しい店内。視線を遮るものがないオープンな厨房で、谷岡さんが鮮やかに料理を仕上げる瞬間を見ることができる。


 提供するのは夜のコース「季節の懐石料理」(税抜5,500円〜応相談)のみ。先付、椀物、向付…と進む懐石料理は少しハードルが高いと思われがちだが、粋香は気取らない雰囲気でゆっくりと食事を楽しめる。
 看板メニューは土鍋で炊き上げるごはんと、たっぷりの漬物。汁物と一緒にいただけば、おなかもこころも満たされる。


 魚や野菜は新鮮な地元産を使い、「珍しい食材は県外からも積極的に」というスタンス。コースの内容は季節ごとではなく、旬の素材の歩みにあわせて少しずつ変化をつける。調理方法も素材に応じて手を加え、しなやかな感性でその時一番おいしい料理を提案する。


 素材をいかした滋味深さを目指しているからこそ、「味の流れやバランス、構成、温度、器との取り合わせに、こころをくだきます」と語る谷岡さん。


 粋香の由来は、いいものを取り入れていくという意味合いの「粋(すい)」に香川県の「香」を組み合わせたもの。粋なものが集まる場所にしたいという谷岡さんの願いが込められている。


 「お客様にくつろぎの時間をつくることを大切にしています」と、やさしく微笑んだ。 

 入店は17時半〜21時閉店は22時半。月曜日定休日。5人掛けカウンター席、4人掛けテーブル席。料理は前日までの予約制。昼の営業は4名〜応相談。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?