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生月島開拓合宿レポート・〇日目 ~福岡の街を巡る~

 生月島開拓合宿から帰ってきて、そろそろ一週間が経過しようとしている。
 向こうでの体験が濃厚すぎたのか、未だに魂の半分ほどを福岡と生月に持っていかれたままな気がするけれど、いつまでもぼんやりしていられないので、旅を締めくくる意味も込めて今回の体験をエッセイにまとめていこうと思う。
 まずは生月島開拓合宿・〇日目の福岡観光の話から。

 10日5日の午後二時頃、今回の旅の待ち合わせ場所である博多駅近くのホテルに向かうため、私はひとり飛行機に乗り込んだ。
今回は他に希望者がなかったので、結果的に二人で旅をすることになっていた。
 北くんの方は電車の在来線とバスを乗り継いで向かうことになっていた。飛行機が飛び立つ前に受け取ったメッセージによると、彼はすでに九州入りしているらしかった。

 雲のトンネルをいくつもくぐり抜けて、ついに九州の陸地が見えてきた。

 まず目に飛び込んできたのは、真っ赤なビルと真っ青なビル。どちらも鮮やかな色ではなく、暗く錆びた色をしている。質感もペンキでベタ塗りにしたような感じで、なんだか子どもの工作みたいだ。
 視野を広げれば、他にも同系統の建物が散見される。ここは異国か。

 期待に胸を膨らませて、福岡空港に上陸した。Zenlyという互いの位置情報を共有できるアプリを起動して、彼の居場所を確認する。どうやらすでに博多駅に着いているらしい。
 facebookのメッセンジャーで福岡空港に到着したことを伝えて、私も博多駅を目指した。

 北くんは駅で用事があるということだったので、先に宿泊先である『ホテルWBFグランデ博多』に向かった。
 諸事情あって予約しておいたホテルを直前にキャンセルしたのだけれど、結果、最初のホテルの半額でフリードリンクが飲めるラウンジ付きのホテルを取ることができた。
 初っ端から幸先がよろしいこと。

 コンセントがたくさんある上に無料のスマホまで完備されている。もちろん、フリーWi-Fiあり。バスルームもお洒落で高級感が漂っている。

 荷物を軽く整理した後、ベッドの上に寝転がりツイッターでの発信を行う。
 たまに、Zenlyで彼の居場所をチェックする。ニ十分くらい経った頃に北くんが動き始めた。順調にこちらに向かっているようだ。
 十分もしないうちに彼のアイコンがホテルの近くまで来たが、どうも裏口のあたりにいるっぽい。『もしかして裏口にいない? エントランスは大通り側だよ』とメッセージを送る。しばらくして彼から到着したという報告を受けた。

 合流した後、軽く部屋で休んでから福岡の街へと繰り出した。
 まずは彼がドコモショップに置き忘れてきたというiPadを回収するために博多駅に引き返す。無事に返してもらって、博多駅の正面入口へ。

 博多シティなんてものは存在しないらしいのだけど、駅自体が『HAKATA CITY』と名乗っちゃったのでますますややこしいことになっているらしい。

 ついでに彼がグラファン(路上でクラウドファンディングのようにお金を集めるパフォーマンス)をした聖地を拝む。

 ここで和光までの交通費を集めたらしい。

そして謎の記念撮影。
 
 ここから電車で彼が高校生時代を過ごした西新という街に移動することに。
 関西は『イコカ』、関東は『スイカ』が主流だけど、福岡はなんと……

『はやかけん』

 福岡弁で「速いから」という意味になるらしい。
 なんだろう、このダサ可愛い感じは。券売機の前で購入するかどうするか本気で迷ってしまった。
 ちなみに、福岡県民の利用率は低く、多くの人がICカードの先駆けである『nimoca』を使っているらしい。
 
 電車に揺られること十数分、西新駅に到着した。
 駅構内の地図で北くんが受験で落とされた高校や通っていた高校、これから連れて行ってくれる場所なんかを教えてもらう。
 そこで二人ともお腹が空き始めたので、彼が何年も通い詰めているというラーメン屋『長浜ラーメン はじめ』で腹ごしらえをすることに。

 注文は北くんにおまかせ。まずは博多ラーメンと和牛サガリを頼んでもらった。
 料理が出来上がるのを待つ間、卓上に置いてあった『からし高菜』を味見することに。悶絶するくらい辛いと言われたので、控えめに小皿に取り分けた。

 手前が私、奥が彼のお皿。

 おそるおそる口に含んでみる。咀嚼し始めは「こんなものか」と思ったけど、後から唐辛子特有の刺激が襲ってきて咽そうになった。

 そうこうしているうちに博多ラーメンが到着。麺の硬さが選べるのだけど、この日は北くんの好みで『バリカタ』を選択。十五~二十秒ほど茹でたもののことを指すらしい。茹でるというより、もはや湯通しだ。

 はじめて食べる博多ラーメンは、私の知っているラーメンと比べて、麺が細く、弾力が弱かった。麺は硬いのだが、つなぎが弱いのか簡単に噛み切れる。慣れてくると癖になる食感だ。
 バリカタの存在は彼から聞かされていたので、ついに実物を口にすることができたと胸が熱くなった。

 私が少食ということもあって、一杯のラーメンを分け合って食べていたのだけれど、案の定、途中でお腹がいっぱいになってきたので、残りは北くんにおまかせ。からし高菜を大量に投入して汗をかきまくりなが完食してくれた。

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