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永遠に解けない暗号を、祈りの言葉に代えて。
詩集のような短編集のような。
書き手の意図など置き去りにして、言葉の羅列から立ち上ってくるイメージや感覚、それらが自分の内側にある世界…
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#詩
土は寡黙(かもく)に生み続ける
私は飢えた土壌
これ以上この中には、
なにも育たないのだと思っていた
だから今後は、
いま熟している実だけで
しのいでいくしかないのだと
頑(かたく)なに閉じた
それから十年以上の歳月が流れ
私はこの土が
思っていた以上にふくよかであることを知った
未だここでは、
毎日のように新しい芽が顔を出し
毎年のように新しい実が結ばれる
誘われるように
蝶や鳥たちが寄ってきては
蜜や果実をついばんで
澱(おり)の中に眠る
彼の部屋で手に取った六法全書の中
かつてのわたしたちの表現の一部が
言葉の檻に囚われていた
|罪|罪|罪|
寝返りひとつ打てぬ息苦しさ
文字たちのひしめきは
草いきれのように
その、ありとあらゆる罪を枕に眠る
今宵きみは、
澱の中に沈めたその身で
なにを夢見る