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前髪の喪に服す

サクリ、サクリと
ふる黒糸(こくし)
「××××?」
男の声に顔を上げると
鏡の中のあの子はすでに息絶えて

このところ、
元気な姿が当たり前だったから
すっかり油断していた矢先の
訃報だった

唐突に訪れた別れを
容易には受け入れられそうにないので
私はしばらく喪に服します

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