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パンツのたたみ方に見た愛

「2人は喧嘩とかしないんですか?」とよく聞かれる。私が一方的にプリプリしてることは時たまあるけど、いわゆるお互いに怒っていて「プイッ」みたいな喧嘩をしたことがない。これは夫の山海のように雄大な愛と、怒っても引きずらず解決方法をちゃんと考える私の真面目さによるものだと思う。

とは言え、日常生活の中でのちょっとイヤな「夫あるある」エピソードは普通にある。飲んだ缶捨てないとか、洗濯物の干し方が雑とか、ごはん少しだけ残して炊飯器のスイッチ入れっぱなしとか、そういうやつ。(夫からも私への小さな文句はあると思う)

その中でも私が前々から「これは悲しい」と思っていたことがある。それはパンツのたたみかた。

私は夫の毎日の働きに敬意を込め、いつも夫のパンツをきれいにたたんで仕舞っているのに、夫は自分が洗濯物をたたむときに自分のパンツをたたまずそのまま引き出しに放り込む。するとそこまで綺麗に保たれていた引き出しの秩序は一瞬で破壊され、私が次に洗濯物を入れるときに全部たたみなおすことになる。

くしゃくしゃに突っ込まれたパンツをたたみなおすたび、私が彼のパンツに込めた愛を無視されているようで悲しくなっていた。


しかし!その小さな悲しみを胸に持ちながら10年経った最近、私はある事実に気づき、そしてそこに確かに夫婦の愛を見たのです。


ある日いつものように夫が洗濯物をたたんでくれている時にハッと気づいたこと。

それは、


「夫は自分のパンツはたたまないが、私のパンツは綺麗にたたんでくれていた」

という事実。


更に、

「私は自分のパンツは適当にペッとしまっているが、夫のパンツだけ綺麗にたたんでいた」

という事実。


そう、なんとお互いにお互いのパンツだけは綺麗にたたんでいたのであります。

おお、なんと崇高な夫婦愛!!(?)


私たちが喧嘩にならない理由もこのパンツ問題から紐解ける部分があった。基本的にお互いに自分よりも相手のことを考えて暮らしているんだと思う。

そらもっと掘り下げれば「相手のために自分のパンツも綺麗にたたむ」が理想なのだけど、そこまで厳密に愛について追及しても生きづらくなるばかりなので、「あっはっは、お互い相手のパンツは綺麗にたたんでらあ、愛しあってるねー!」とゲラゲラ笑ってこの話は落着した。


その後私たちが愛を深めて自分のパンツも綺麗にたたむようになるのか、それはまだわからない楽しみな未来の話。


(写真/舞草香澄)


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