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ラスボスをたずねて三千里

友だちから結婚祝いに、リングフィットをもらった。
ガッキーこと新垣結衣がCMで「きー!きつい〜」とか「はっほっほっ!」とか言いながら両手で伸び縮みさせている、輪っか状のアレである。

常々私の運動不足をネチネチとさいなんでくる夫(週一ジム通い)は喜び勇んでSWITCHを買い、その日から二人で「リングフィットアドベンチャー」に興じるようになった。

どう頑張ってもガッキーのような可憐さが芽吹く気配はまるでなく、「ふんぬっ!これでも食らえっ!」「おらおらおら、これでどうだ!」などと日々荒々しく大汗をかきながらやっている。
ともあれ今日でちょうど、20日目を迎えた。

ストーリーとしては、うっかりドラゴといういかにも悪そうな牛(?)の封印を解いてしまった主人公(私)が、リングと名乗る両津勘吉風の顔(かもめ眉毛のせいかな…)の金色の輪っかにうっかり協力する羽目になり筋トレに励み、ドラゴとの決戦を迎えるというもの。

これがリング

リングフィットアドベンチャーは全体がいくつかのワールドに分かれていて、すごろくのように一つずつコマを進めていって各ワールドの最後でドラゴと闘い、倒すと次のワールドに行けるという流れになっている。

左上の紫のマスがドラゴ戦

二本のごつい角を生やした筋骨隆々のドラゴはいかにもボスキャラという見た目で、ボス戦中も「余裕の表情で筋トレをしている」「我慢できずに筋トレをはじめた」というほどの熱心な筋トレマニア。
正直いって彼のトレーニングを私が邪魔しているような格好になっているので、ボス戦はあまり気が進まない。

ともあれ彼の率いる魔物が町を襲っているから、ドラゴを倒して世界に平和を取り戻そう、という話だと思っていた。
が、つい最近になって衝撃の事実が明らかになった。

ドラゴはリングのかつての相棒だったという。

元々のドラゴは自身の貧弱な身体に劣等感を抱き、過度なトレーニングで自分を追い込んだ挙句「闇のオーラ」に取り込まれてワルになってしまったらしい。

彼を本来の姿に戻してあげたいんだ!

松岡修造のごとく、熱く意気込むリング。

そっかそっか、非行に走ったお友だちを止めたいんだね。
そんな必死な姿に同情はするけれど……

なんだろう、この……都合よく使われてる感
世界のためかと思いきや、ふたりの仲直りのお手伝いをさせられてるの、私?

このあたりから少し冷静になって、ストーリーの先を考えるようになった。
このまま鍛えていけば、いずれ私もドラゴのようにリングを裏切る日が来るかもしれない。
貧弱な身体からムキムキへと変貌を遂げようとしている点で、今のところ私も彼と同じ経過を辿っているからだ。

今後ゲームが進行していくなかで、ドラゴにスカウトされたらどうしよう。
ていうか、ドラゴを倒してもドラゴを悪の道に引きずり込んだ「闇のオーラ」を操るラスボス戦が控えているのでは。

ラスボスって、誰なんだろう。

最近の私たちの、一番の関心はそれだ。

率直にいって私は、よろず屋カップルが怪しいと思っている。

よろず屋カップル

よろず屋はおっとりした風貌のスムージー屋の旦那(右)と、ピンク色のお団子頭のウェア屋ハニー(左)の二人組だ。

私とリングは魔物に襲われて困っているスムージー屋を助けたことがあったのだが、あれはこちらを油断させるための策略か、仲間割れ的な何かなのではないかと踏んでいる。

サザエさんの夫のマスオさんのような、気の弱そうな揉み手もどこか引っかかる。
この手のタイプは、急に手のひらを返してくるおそれがある(偏見です)。

そしてハニーのキャラクターデザインが、かなり妖しい。
どんど焼きのごとく頭に刺さってる白玉団子は、きっと爆発物だろう。
攻撃時にはそれを高速でぶん投げてきそうだし、強力なビームを出してきそうな目をしている。

しかも奴らは二人だ。
おそらく攻撃力の高い彼女を集中的に叩くと、スムージー屋のスムージーで体力を回復されてしまうのではないだろうか。
敵に回したら相当に厄介なタイプと見た。

ドラゴを闇のオーラで包むことだって、この二人ならたやすくやってのけそうな気がする。
体力増強スムージーとか、筋肉もりもりウェアとかなんとか、甘い言葉で闇のアイテムを売りつけて知らぬ間に自分の配下に取り込むことだって、彼らなら造作もなくできるだろう。

ドラゴのどう見てもサイズが合っていないタンクトップだって、ひょっとしたらハニーが売り与えたものかもしれない。

いくらなんでも、ムチムチすぎるだろう

そんな理由で、私は二人を真の黒幕なのではないかと睨んでいる。

夫のラスボス予想は、ミブリさん。
彼女は私たちのトレーニング中、常に画面の左側で私たちのお手本として走ったり筋トレをしたりストレッチをしている。

「おなか押しこみひねり」するミブリさん

とはいえ完璧なお手本というわけでもなくて、ときどき大げさに驚いたり、ぜーぜーバテたり、遅刻して走り込んできたりという人間味を見せる。

そんなお茶目なキャラクターに私は親しみを感じていたのだが、夫は「一番身近な人を疑うのが鉄則やろ。それにこういう奴は、そうやって人の心につけ入って、最終的に裏切ってくるんやで」と断言する。

なんてひどいことを。

ミブリさんファンの私が反論すると、夫は「普段ミブリさんには顔がないやん。ラスボスとして現れる瞬間はものすごい顔で出てくるんじゃないかな」と自らの推理を披露した。

ミブリさんの素顔……めちゃくちゃ見てみたい

日ごろ私の運動に付き合ってくれている彼女は、いったいどんな顔をしているのか。
こっちが必死の形相でリングコンをシュカシュカ押し込んでいるときも、彼女は無表情でリングコンをシュカシュカ押し込んでいる。

そんな彼女の素顔が、ラスボス戦で明らかに。

大量の魔物を率いて町を制圧するミブリさん、今まで秘めていた筋力で主人公を圧倒するミブリさん、いつもの質素な白タンクトップではなく、魔王然とした衣装(たぶん襟がピンと立っていて、素材はシルクか何か)に身を包んだミブリさん……。

どうしよう、見たい。見たすぎる。

彼女に裏切られたらショックだけど、彼女になら裏切られてみたい気もする。
なんだかんだ「自称相棒」のリングよりもずっと、私たちはミブリさんに親しみを覚えている。
そんな彼女が裏切ってきたら「どうしてなのミブリさん!!!」と愕然としながらも、どうしようもなく心が躍ってしまいそうだ。

よろず屋とミブリさん、どっちがラスボスなのか、それともまったく予期せぬラスボスが現れるのか。
あるいはラスボスなんていなくって、ドラゴとリングを仲直りさせたらゲーム終了なのか。

まだ始めたてほやほやのくせに、ラスボスとの対決が楽しみで仕方がない。

さて、そんなリングフィット、実はかなり人気らしい。
やり始めたことを周囲に話すと、「私の家にもあるよ!」「私もやってたんだ~」とノッてくる人がなかなかの割合でいる。
けれど、最後まで到達した人には、いまだ会ったことがない。
ひょっとしたら最後までやった人がこの記事を読んでいるかもしれないけれど、どうかラスボスの正体は明かさないでいただけたら嬉しい。

まだまだクリアまでの道のりは遠い。
ラスボスをたずねて三千里……もあるのかどうかはわからないが、しっかりと走り切って最終決戦を迎えたいと思う。

きっとそのころには、私の身体はムッキムキのバッキバキになっていることだろう。
できればそれに伴って、ガッキー力もついていたら嬉しい。

ガッキー力って、なんだ。

ラスボス疑惑のあるミブリさん

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