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ちんこすこう開発者は見た!#19 沖縄の「ゆいまーる」の言葉の裏にあるもの

「ゆいまーる」って言葉には気をつけた方がいいよ――。

移住してすぐ、職場のウチナーンチュの先輩から言われた印象的な一言だ。
ちなみに「ゆいまーる」というのは、沖縄の方言で「助け合う」「共同作業」「一緒にがんばろう」という意味。先輩、いや、師曰く「ゆいまーるをいきなり振りかざしてきたらそいつは信用するな」とのこと。

映画ではそういうアドバイスをする奴がだいたい犯人なんだよなぁ。などと思いつつ、いわれてみると沖縄には「ゆいまーる」の言葉があふれている。「ゆいまーるレンタカー」「ゆいまーるプロジェクト」「ゆいまーるそば」那覇を走るモノレールの愛称は「ゆいレール」だ。

師によると「ゆいまーる」の意味は確かに助け合いの輪のようなものだが、逆に輪の外の人間には冷たく、要するに排他的。さらに輪の中の人間とてピンチの時に助けてくれる保障はない!とのこと。過去、ゆいまーるに恋人でも奪われたのだろうか。ものすごい暴論だが、ウチナーンチュが言うのだから信ぴょう性は高い。移住して間もない筆者は“排他的”の言葉に少しビビった。

しかし、ゆいまーるかどうかはともかく、沖縄の人はみんな優しかった。

地方へ移り住んだ人間が、地域のコミュニティに入り込めず撤収。中には嫌がらせを受けて退散。といったケースを時々耳にする。しかし、筆者に限っていえば、ありきたりの言葉で恐縮だが、沖縄の人たちは本当に優しく、親切だった。

その後「県外から移住してきた若い男」というセルフブランディングが非常に有効であることを悟った筆者は、出身は神奈川で仙台から引っ越してきました!と、聞かれてもいないのに自己紹介を乱発。すると、職場の先輩方はもちろん、同僚や仕事で絡んだクライアントなどが、毎日のように飲みに誘ってくれた。
更には、独身は淋しいだろうと、

頻繁に松山(エリアのキャバクラ)に連れて行ってくれたり、合コンまで開催してくれたのだった。

正直、キャバクラも合コンもナイチャー(県外の人間)が一人いるとその話題で30分は盛り上がる。筆者は、女子を攻略したい先輩方のささやかなる武装アイテムだったと思うが、それでも数々の誘いは本当にありがたかった。

あれから20年経った今、冒頭の「ゆいまーる」に関する師の暴論の意味が分かる気がする。筆者が沖縄で感じた優しさや人情の有難さを、世の中にありふれてしまった響きの良い言葉だけで片付けたくはないからだ。

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