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答えのない問いに出会った瞬間に、人生は探究になる


「〈問い〉から始めるアート思考」(吉井仁実 光文社新書)

「アート思考=問う力」だと定義する、吉井さんのメッセージが響きます。
まえがきより
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現代の社会に対して問いを投げかけること。それが「アート思考」であると。「この既成の考え方は本当に正しいのか」「今の時代ではこのような表現もあり得るのではないか」「どうして私たちはこんな不自由を強いられるのか」などという問いを、ときにはユーモラスに、ときには洗練された手法で、ときには突拍子もないやり方で、つまり今までにないやり方法を用いて表現する。それがアートであり、その「問う力」が画期的であればあるほどにアートの価値が高まると私は思っています。

米国アップル社のiphoneにも私は画期的な「問い」があったと思っています。(中略)あの小さな危機に人々の心を揺さぶる何かがあったのでしょう。それはいったいなんなのか。便利さや機能性だけではない何かあったのです。私に言わせればそれは「問い」のようなものだと思います。問題解決から始まる何かではなく、今の社会や私たちに対する「問い」から生まれた何かがそこにあった。

イノベーションを生み出すのは「問題解決」からではなく、「問い」なのではないかと思うのです。

「問い」は、「答え」よりも、時を越えて大きな力を持ち得ます。その「問い」が社会的かつ本質的なものであればあるほど、人々を驚かせたり、今まで感じたことのない感情を与えたり、今まで思考したことのないものを考えさせたり、感動させたり、新しい世界を見させたりできます。
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とまあ、こんなスタートで始まるのですけど、いちばんすごかったのは、
第五章 芸術祭とは何か で建築家の石上さんのすぐに消える建築物というアート。

「アートというのは本来こういうものではないかとも思いました。どれほど長く作品を残すかではなく、どれほど人の心を揺るがし、その中で何を響かせるのか。」

なるほどなあ。
アート思考=問いってそういうことか、と。
デザイン(課題解決)とアート(問う力)のバランスが大切だと思いました。

そして、進学や就職(課題解決)のために、問いをつくるのではなく、問いが結果として、進学や就職につながっていくという構図が大切なのではないか、とも思いました。

大学進学の総合型選抜のために探究活動をやる、みたいなのではなくて。
問いにひたすらに向かって行ったら探究的に学んでいた、っていうのが大切かなあと。

昨日、高校魅力化スタッフの募集イベントがあったのだけど、僕の最近のキーワードは、中心と周辺で。

「学校」っていう中心に対して、公営塾、寮、そして風舟、そして地域っていうグラデーション(周辺というか周縁)で考えることが大切なのだなあとあらためて考えた。

中心に近づくほどベクトル性(課題解決性)を持ち、周辺に行くほど、偶然性(機会)を大切にして、成果が見えにくい。
それって、デザインとアートの関係に似ているのかもしれない、と。

「問いを見つけ、探究していく。」
それは、直接的に何かにつながってはいない。
だからこそ、偶然性や一回性が高く、ワクワクする瞬間がある。

人生をデザインすること(目標を持ち、課題を解決すること)。
それと同時に人生をアートすること(問いを持ち、探究すること)。
その両方が大切なのだろうな、と。

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