【お盆納涼企画】本当にあった怖〜いExcel(マジ実話)その1
ここ数年、毎年のように「記録的な猛暑」という言葉がメディアを騒がせております。そこで、私が実際に出会った、背筋も凍るような「怖いExcel」をご披露して、束の間の涼を感じていただく・・・という趣向でございます。
なお、すべてのお話はガチの実話ですが、会社や登場人物が特定できないように配慮しております。また、参考にお示ししたExcelファイルは、実物を再現したレプリカでございます。内容は、仮データで作成しております。レプリカではございますが、十分に怖さを実感できると思います。
第1話 異様な空白がある報告書
あれは、10年前の秋頃だったでしょうか。
当時働いていた職場では、届け出や報告のための用紙は、どういうワケかWordをつかわずに、すべてExcelで作成してありました。たとえば、報告書の場合、社員は、Excelで作られた所定の書式に必要な文章を打ち込んだあと、紙に印刷して提出する流れになっていました。
当時、実際に使っていた営業日報の一部は、このような感じでございます。
そんなある日のことです。通常は紙で提出してもらっていた報告書を、どんな理由だったか、特別にメールで送ってもらうことになりました。私にとっては、初めてExcelファイルを直接見ることになったのです。単にメールに添付されているファイルを開くだけなのですが、なぜか、不意に根拠のない不安が押し寄せてきました。「怖いな~・・・怖いな~・・・」なんだか嫌な予感がしながら、送られてきたメールを開いた瞬間!、私は異様な光景を目の当たりにすることになるのです。
(このあと、実際のExcel画面のスクショを表示します。体調の悪い方は見ないでください)
おわかりだろうか・・・・。ところどころに存在する異様な空白が・・・。
カンのいい人なら、もう、お気づきになったかも知れません。この社員はセル内改行を一切使わずに、スペースで体裁の調整をおこなっていたのです。
私は、その支店社員に「Alt+Enterで改行できるよ」と電話で伝えました。すると、しばらく変な間があいた後、押し殺したような低い声で「スペースで調整したらダメなの?」との返答がありました。
完
特に怖いポイント
怪談で「怖いポイント」を書くなんて野暮の極みだと思うんですけど、かまわずに書きます。
このお話は、単に「Excelで改行をする方法を知らない人がいた」というだけの話ではないのです。確かに、「Alt+Enter」で改行できるというのは、「知っているか」「知らないか」という話なんですけど、周囲がだれも気づかなかったというのが問題です。
「Alt+Enter」で改行できるという方法は、グーグルで検索すればすぐに表示されます。
けれども、Excel内のメニュー内に改行の方法を見つけることができません(どこかに書いてますか?)。昔、Excelをパッケージで販売していたころは、分厚いマニュアルがついていましたが、今は手に入りません(たぶん)。
いろいろな要因があったとは思うんですけど、「周囲のだれも気づいていなかった」ということに、恐怖を感じるのです。
考えられる教訓
当時、なぜ彼が、そのような返答をするのか理解できませんでしたが、今ならはっきりとわかります。
そう、スペースで文章の体裁を整えるのは、猛烈にテマ・ヒマがかかるのです。彼は、セルの入力文字数を常に数え、こまめに印刷プレビューを確認しながら、体裁を整えていたのでありましょう。彼にとって、セル内改行を知った瞬間は、今までやってきた、その膨大なテマ・ヒマが、「まったくのムダ」だという事実が突きつけられた瞬間でもあったのです。
「スペースで調整したらダメなの?」
電話越しに聞いた彼の声は、どこか悲しそうな・・・それでいて、なにか行き場の無い怒りを含んでいたような気がして、いまも、私の脳裏を離れないのです。
ExcelやWordの使い方を学校で教えるようになってずいぶん経ちますが、職場には、まだ「体系的に使い方を学んだことがない人」がたくさんおられます。「ネットで調べればすぐわかる」と思うかもしれませんが、そもそも「改行」という言葉を知らない人もいるかも知れません。ネットで調べるにしても、最低限の知識は必要なのです。
もし、周囲の人が「スペースキーを、やたらと連打している」「印刷プレビューを頻繁に確認している」等の不穏な動きがあったら、早めのアドバイスをお願いします。
今のExcelは、書式を「標準」にした場合は、行頭スペースを表示しない等の禁則処理がされているようです。もし、Excel報告書について「段落が変わったら行頭に1文字スペースをいれるように」と言っても従わない社員がいたら、それは、あなたの指示に反抗しているのではなく、行頭にスペースを入れる方法がわからない可能性があります。
動画版怖~いExcel
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