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エッセイ『猫のこと』(697字)

中学生時代だったか、
実家の団地で猫を飼うことになった。

並びの人から、譲り受けた子猫、
ペルシャ猫であった。

目の色が違っていて、
片方は青、片方は茶色。
耳が聞こえない猫だった。

毛並みは真っ白である。
食べる物は、湯がいた
鶏のささみしか食べない。

子ども心に、
「わたしたち(家族)よりも、
 いいもの食べてるなぁ。」と
思ったが、
それが当たり前のことと
思っていた。

私感だけど、
猫は食いしん坊と思う。

特に食事の世話をする人、
当時は母であったけれども、
しっかり覚えていて、
食べる用意をすると、
どこからともなく現れて、
母の足にまとわりつくのであった。

オスだったか、メスだったか、
多分オスだったように思うけれども、
そのペルシャ猫は、
子ども心に、官能的に映ったものだ。

毛並みがきれいで美しかった。

猫というと、真っ先にそういう
印象が浮かび上がって来る。

猫と触れ合う、スキンシップは、
非常に心身共に癒される。
猫に官能は欠かせない、と
個人的には思っている次第である。

猫と暮らしたのはそれきりだ。

でも、猫への思いは
今現在まで続いている。

猫を特別視する気は無いけれども、
その存在自体、愛情の塊の
ような生き物と感じてしまって、
無条件に愛してしまう。
端的にそういう生き物と思っている。

ペットの猫も好きだし、
野良猫も好きだ。

なんなら、猫になってみたいと
思うこともあるけれども、
とても今の私には負えそうにない。

猫のようにマイペースで
生きてみたい。
しかしながら、それは
対価として、苦労も多いことと
思うから、遠慮願う。

言わば、憧れているのかも
知れない。

遠くから、眺めているだけでも、
幸福感に包まれる私である。

(終わり、697字)

つる かく 🐈


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