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おばあちゃんの五目いなり

今年の個展が全て終わり、数年ぶりに過ごす日本の年末年始を楽しんでいます。

先日母が、私が日本にいる間に、と張り切って『お稲荷さん』を作ってくれました。
祖母が亡くなってからは母がその味を受け継いでいます。我が家で食べるお稲荷さんは、いつだって”おばぁちゃんが作る”お稲荷さんでした。

見かけは普通なお稲荷さん。ちょっと大きめでしょうか。

そんな我が家の”お稲荷さん”は五目いなりです。

具材はしっかりと味付けした

  • にんじん

  • 椎茸

  • ごぼう

  • 鶏肉

です。
具材に味付けがしてあるために、お揚げは少々甘味薄めに煮てあります。
酢飯としっかりと味付けのされた五目の具材、それをフワッと甘いお揚げで包んだ我が家のお稲荷さん。爽やかにピリッとした甘く漬けた生姜とよく合います。
みんなの大好物です。

具がたっぷり!

この五目いなりが普通の”お稲荷さん”だと信じていたおばあちゃんの子供、つまり私の母も、その姉妹も、孫の私たちも皆、
あるとき外で”お稲荷さん”を初めて食べたときの衝撃は忘れないものとなっています。

「具がない!!!!」

実は私自身は、今回の日本滞在で
我が家のお稲荷さんが、”五目いなり”というものだと初めて知りました。
私は今まで外で食べるお稲荷さんは、経費の都合上
具を入れないで販売するんだろうなと思っていたんです。

あまりにも成人してからの日本にいる時間が短かったため、
そして我が家のお稲荷さんが普通だと信じて疑わなかったために、
わざわざその違いを確認するような機会はありませんでした。

私以外の家族は、社会に出てからもちろん何度もお稲荷さんを家以外で食べる機会もたくさんあり、自然と祖母が作ってくれていたお稲荷さんは”五目いなり”だったことを学んだそうです。
皆それぞれ稲荷カルチャーショックだったようです。

私の母の孫達も、きっとお稲荷さんといえば五目いなりになるのでしょうか。

まだまだ母が元気なうち、
というか今回の日本滞在中に、
この我が家のお稲荷さんの作り方を習っておきたいなぁと思い、聞いてみたところ、
私が生前祖母に聞いた時と同じ答えをいただきました。

「適当。自分がおばあちゃんの味だなぁと思った味付けでやってみてるだけ。」

我が家のレシピは全て、口承ならぬ、味承でした。

あぁ、だから私にこの味の学習方法が身についたんだと納得。

2024年。
私には絶対にやりたいとはっきりしていることがあります。
それは、私が身につけた我が家のレシピをちゃんと文字で残すこと、です。

2023年も残すところあと数日。
シンプルでも温かいものを召し上がって、身体と心を温めて年末をお過ごしくださいね。




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