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釣った魚を保存する?しない?

昨日の記事で書いた夫の1〜2ヶ月に一度の釣りキャンプ。私が夫のことを数日間、清々しくさっぱりと忘れられているからだろうか、ここ数年は1泊2日、2泊3日のキャンプでも必ず魚を釣ってくる。

我が家の魚保存方法

特に今年に入って4月5月の連休では、2回合わせて20〜30cm超えのティラピアを10匹以上、プラス大きな他の魚(50cm超え)などをうちに持ち帰って来た。これは我が家では大漁だ。夫がこれだけの魚を持ち帰るということは、友達、または親戚は確実にもっとたくさんの魚を持ち帰っている。我が家では一般的な冷蔵庫についている冷凍庫に入りきる分の魚しか持ち帰らないことにしている。冷凍庫に入り切らないであろう場合は、他の人に魚を譲るのだ。

釣りキャンプでは特に時間に余裕があるため、帰り間際にその水辺で全ての魚の脳締め、血抜き、鱗や内臓の処理を行う。だから帰ってきてからの処理は”捌く”のみの作業なのだが、やはり鮮度や寄生虫の心配があるので、帰って来たらまず何よりも先に捌きに、保存する工程に入る。チェンマイの魚は全て淡水魚なので、生で食べることは絶対にしない。必ず加熱処理を施す調理をする。ちなみに、キャンプ先から我が家まではバイクで30分,
遅くとも1時間以内で帰ってこれる。

4月のキャンプ分(冷凍済み)
それぞれのメニュー用に切り方を変え、身と骨・頭部分に分けて袋に入れる
5月のキャンプ分(冷凍前)
5月のキャンプ分(冷凍前)
横20cm x 縦28cmのジップロックが使いやすい
キャンプ先から帰ってきた直後のティラピア。
真ん中が26cm
よく処理をされているので、綺麗で全く臭くない

こうやって処理をすることで、我が家では約1週間毎日魚料理の晩ごはんが楽しめる。毎回調理方法をかえ、いろいろな魚料理が楽しめるので本当に嬉しい。そして身の部分を食べ終わった後には釣り人のスープを作るのが我が家の習慣となっている。

冷凍保存?なにそれ

ところが、夫の釣り友達や親戚皆、釣った魚を絶対に冷凍保存しないのだと今年初めて知った。私にとってショッキングな事実だった。どんなにたくさん釣れても、その日の夕飯として全て食べ切るのだそうだ。すごい。。

家族が多いから食べきってしまうのだろうかと思ったが、そうではなかった。

  • ”冷凍保存する”という考えがなかった(冷凍庫はもちろんあるのだが、冷凍庫は氷またはアイスクリームなど溶けてなくなるもののみを入れるものだと思っている)

  • 釣り人である本人しか魚を捌いて料理をしないので、料理方法のバリエーションが少ない。揚げる、スパイシースープ、蒸す、カレーの4種類の調理方法それぞれ1種類のレシピでしか調理しない。

  • 調理方法と味付けがいつも同じため、2日以上食べることになると家族全員飽きるらしい!?

というわけだ。だから大漁だった日は、お祭り騒ぎで1種類の魚料理を心ゆくまでお腹いっぱい食べ、食べきれない分は知り合いにお裾分けする。(冷凍保存はしないけれど、プラーソムという、魚とお米を一緒に発酵させ揚げて食べる料理が得意のお兄さん。これは絶品なのだが、気が向かないのか最近めっきり作っていないらしい。いわゆる昔ながらの保存食で、漬け込めば漬け込むほど味が濃くなっていくため、仕込んでから2、3日後には必ず揚げて食べないといけない)

それはそれで素敵だと思うのだが、ちょっともったいないような気もする。特にこの世界的なパンデミックが始まってから事情が変わってきたからだ。

新しい視点

チェンマイは観光業で成り立っていた街なので、この2〜3年で仕事がグッと減ってしまった、または仕事がなくなってしまった人たちがたくさんいる。その影響で、街全体的に人々の生活が厳しくなってきている。きっとこれはチェンマイ、タイに限らず世界中の多くの地域でそうだとは思う。
以前は私達よりもたくさん収入があったであろう友達や親戚、知り合いなどで物質的にかなり恵まれていた人達も、収入ががっくりと減ってしまった今は食べることに対してとても苦労しているようだ。元々タイは外食社会なのであまり”料理を自宅でする”家庭は多くない。自宅を出てちょっと歩けば屋台やお惣菜屋、レストランがあるのが普通だ。そして多くの男性が野菜嫌いで肉・魚・インスタントヌードルが大好き。外食に頼っていた人達は、収入が減ったことからの打撃と共に、今年は特に物価も上がりさらに厳しくなっている。

そうなった時に、冷蔵庫にある食材、乾物、保存食などのやりくりで、日々の食生活がだいぶ変わると私は思っている。

話は戻って、先日の釣りキャンプでのこと。夫の友人との会話で我が家の魚料理のことが話題にのぼり、盛り上がったらしい。こんなことは初めてだ。

最近、我が家の魚の処理・保存方法、そして調理の仕方に興味が出てきたらしい。
「しょっちゅう釣りに行くわけではないのに、なぜ数日間美味しそうな魚料理がいろいろと食べられるのか?」だ。
自分達の魚の食べ方が普通だと思っていたらしいので、とても不思議だったんだそう。

もちろん昔から友達同士で「こんな魚が釣れたぞー!こんなに釣れたぞー!大きいぞー!」という釣れた魚記念(自慢)の写真はよく送り合っていた。
それが約3年ほど前から夫が「釣った魚をこうやって食べたぞー!」的な、我が家の釣った魚の料理の写真を送るようになった。そのため、一時期他の友達も調理した魚の写真を送ったりしていたのだが…。釣ってきた当日の夜に調理するので、撮った写真はいつも暗く、料理もドス黒い。そしてメニューは大概いつも同じ。(皆料理は得意ではない、写真も普段から撮らない釣り愛好家の男性達だ、無理はない。)いつしか夫以外は、釣った魚を料理した写真を送らなくなった。

夫の友達が言うには、
「釣りから帰った日の夜にそのまま魚を捌き自身で調理するので、疲労のため1種類の調理方法しかとらない。しかも保存を考えていないから、そのたくさんの魚を捌き、そして一気に料理する作業は結構大変なんだよ。妻は魚を捌かないのはもちろん、魚の調理を一切しないので、自分でやるしかない。」

わかる。釣りキャンプから帰って来た日は疲れてるよね。
大概夜通し魚を釣ったり、話したりしてあまり眠っていないし、そんな大量の魚の処理と調理をそんな夜に一人でやったらそりゃ疲れるさ。

そんな夫の友達の女性パートナー達は皆チェンマイの山育ちのせいか、身近に釣り人がいなかったせいか、魚料理には親しんで育っていない。知らなかったら、慣れていなかったら、捌くのだって調理だって難しいだろう。その代わりみなさん生きている鶏を絞めて捌ける!私は無理!やっぱり育った環境って影響大だ。

それでも現在のチェンマイでの家庭の食卓事情を考えたら「冷凍保存を試してみればいいのに。そうしたらみんな慌てて食べ切ることなく、調理法を変えて魚料理を楽しみながら節約もできるのにな。」と密かに思っていた私にはちょっと嬉しい話題だった。この友人が冷凍保存に興味を持ちだしたらしい!彼等の新しい視点がきた。

日本から買ってきた小出刃包丁と鱗とり

数年前、私たちは彼に”鱗とり”なるものをプレゼントした。今でこそ、デパートなどで鱗とりを買うことができるが、以前はチェンマイではなかなか取り扱われない道具だったのだ。水気のケアなど、多少ぞんざいに扱っても大丈夫なようにオールステンレスの一体化したデザインのものにした。
今までずっと包丁で鱗とりをしていたその友人には心底喜ばれた。今でももちろん愛用してもらっている。今度はジップロックでもあげようかな。

釣り人に釣り道具をプレゼントするのは、その人の嗜好やスタイルがあるので難しい。でも、釣りをする時間や釣った魚の食べ方を快適にする小さな何かをプレゼントするのが私は好きだ。鱗とりは、是非とも釣り人には持っていていただきたい。その釣り人のご家族が美味しい魚料理を食べることができたら私はとても嬉しい。

私たちが使っているものは木製の取手に真鍮の鱗とり。夫曰く使い勝手がとてもいいらしい。何年経っても壊れない。


<Amazonのアソシエイトとして、[釣妻食堂]は適格販売により収入を得ています。>

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