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村で一日一匹の豚

料理家ヤオさんが、現在お住まいの郊外の村が好きな理由の一つ。
それは、村で自然のサイクルを尊重し、人ができるだけうまく共存できるように考えたシステム作りができていること。

村のマーケットでは、チェンマイ最大の野菜の卸し市場から買い付けてきた販売ブースをマーケットの半分に。
反対側の半分には、無農薬で野菜を作っている村の方々が、そのご家庭では食べきれない分の野菜や山で採れるキノコ、地鶏などを販売できるブースとして設置されています。

無農薬家庭野菜の各ブースのお母さん達は、1種類か2種類だけのもを販売したり、少量のみ地元のハーブを販売したりと小さなお店になりますが、その人数は結構いらっしゃるので、全体でみるとバラエティーに富んだ品揃えになっています。

そしてこの村では、豚を一日一匹のみ販売用に解体します。
それ以上は消費しないようにルールを決めているのです。
購入者にも、一人または特定の人達が買い占めなどできないように、バランスよく多くの人が少しづつ手に入れられるようになっているそうです。

こちらのお店では、豚を無駄にすることなく満遍なく、美味しく食せる状態にして販売しています。

北タイ名物ソーセージ ”サイウア/ไส้อั่ว”。こちらでは、本物の豚の腸を使い、炭火で焦らずゆっくりと焼くので味が他とは違い格別です。

その他にも、豚の頭皮、内臓、脳みそを使った料理が楽しめます。

自分の家庭内だけではなく、村全体で丁寧に食を扱う姿勢には感動しました。育てるところから始まり、販売経路、そして調理の仕方、全てを丁寧に扱うことで、その少しだけ楽しめる味も食感も他とは全く違うものに仕上がります。

ヤオさん達とそのコミュニティを10年以上前から知っていますが、この村の在り方は一夜にしてできたものではありません。時間をかけて話し合い、理解を得て、少しづつ実践してできているものです。

私自身はいわゆる、都会生まれ、都会育ちで、日々の生活の中で個人の時間とプライベートな空間を保つことがとても重要です。

タイに来て、何度か”村”という環境で暮らしてもみましたが、やはり結局は”都会”的な環境をベースに暮らすことに心地よさを感じてしまいます。

ただ、ヤオさんの暮らすこの村のようなコミュニティは、今後私たち人間にとってもその地域の自然バランスにもとても大切な暮らし方だとも理解しています。正直にいうと、憧れています。

食は、地域と人を結ぶ文化ですね。
私自身が暮らす地域ではどんな形が成り立つのか、改めて考えたいと思いました。

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