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老人ホテル

著者原田ひ香さんを知ったのは「三千円の使い方」、お金の話は友人にはしずらいこともあるため、フィクションでも同年齢で同じような状況の話を読めるのは嬉しい。

調べてみると他にもお金のテーマで書いている作品を見つけて、それが「老人ホテル」だった。

あらすじ

生活保護を受給する大家族で育った天使は、キャバ嬢時代に知り合った投資家の綾小路光子と再会する。訳あり老人たちが長逗留するビジネスホテルにひっそりと暮らす光子の指南で、極貧人生から抜け出そうと、生きるノウハウを学ぶことになるが……。秘密を抱えた二人の「投資版マイフェアレディ」!

感想

お金の知識に関しては、貯金と不動産投資が書かれているが、貯金に関しては基本的な内容だな〜と目新しい情報はなかった。投資については細かい計算が出てきて少し足踏みしたが、本物のお金持ちになるのであれば必要なことかなと思った。

ただ、貧乏時代からお金持ちになるまでの苦労や、お金に執着することで発生する人間関係の亀裂はリアルだった。また、他の作品を読んでいないため分からないが、読後感はちょっとヒヤっとするような感じだった。

そんな中、心に響いた文章がいくつかあった。

「そういうことじゃないよ。あんたが買ってきてくれる、その労力をただ、と言ったの。そういう好意が一番怖いってこと」

老人ホテル

金銭や見返りが何もない好意。確かに仕事とかでも、自見返りを求めず小さいことを自分からやったにも関わらず、相手からお礼が何もないと「なんで何もないのかな?」と思ってしまう…他人からの好意もそうだし、自分から相手に対するただの好意は使う場を決めた方がいいなと考えさせられた。

天使にはその吹き寄せが幸子自身によく似ている、と思った。一見、色とりどりで華やかだし、能書きが立派で権威もありそうだけど、口に入れたらどれも大しておいしくない。

老人ホテル

お菓子だけでなく人に関しても、一見華やかで素敵そうだけど、会話したら中身がない人より、一見地味そうだが話すと最高に面白い人が私はいいなと気づいた一文。

「でもね、濡れ手で粟で稼げる、錬金術みたいなのを期待しているならダメだよ。死ぬほど他の人より働いて、ほんのぽっちり、人よりいい生活をする。老後はお金に困らない。そのくらいのものだと考えていた方がいい」

老人ホテル

「・・・あの女がすることは筒抜けだよ。悪い人間ではないけど、ちょっと抜けてるからね。育ちのいい人間ていうのはそういうもんなんだよ。人の悪意を想像しない」

老人ホテル

「〜(省略)〜。値段が高いのがダメ、安いのがダメ、利回りが高いのがいい、低いのがダメ、空室がダメ、再建築不可がダメ・・・全部、一概には言えないんだよ。すべて組合せ次第で、悪くなったりする。」

老人ホテル

投資先を決める時の言葉だが、これは人にも言える話だと思った。人間誰しも完璧ではないから、自分が一番輝くのは、周りにいる人や環境など自分にとっての良い条件が揃う時だと思う。

後は、お金持ちになりたいのであれば、「できるかなぁ」ではなく「やる」という意志と、なぜお金持ちになりたいのかを明確にさせておくべきなんだと感じた。

この主人公の場合は、「これまで家族に自由もお金も搾取され続けた人生だった。今後は家族の助けも必要とせず搾取されず生きていきたい」という大きな気持ちがあったからだなと思う。

なぜそうなりたいのか、目標を叶えたいのか、その目的を明確化させることは、夢をかなえるゾウ3でもあった話だった。

こんな人に読んでほしい

これから貯金や投資をやってみたいけど、何から始めていいか分からない人と、お金が関わることで人がどう変わるのか見て見たい人にオススメです。


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