産休・育休中のリスキリング!?

お久しぶりです。
最近なかなか書くネタがなかったのですが、衝撃的なニュースを目にしたので書きます。

既に大炎上中です。
自民党の大家という人が参院本会議で「産休・育休中のリスキリングでスキルを身につけたり学位を取ったりする人を支援できれば、キャリアアップが可能になることも考えられる」と言い出し、
岸田首相が「育児中など様々な状況にあっても主体的に学び直しに取り組む人々をしっかりと後押ししていく」と答えたっていうトンデモ話。

これ、”賃金上昇のため““産休育休がキャリアにとってマイナスにならないよう”…という目的をもった提案らしいんですが…

おかしいでしょ!

と物申したいわけです。

言いたいことがあり過ぎて何から触れれば良いのか難しいところなんですが、、「産休育休中に学び直しなんてやってる余裕があるわけねーだろ!政治家が育児を学び直せ!」という最も多い意見については、書き始めると相当長くなりそうなので、最後に書きます。

なので最初は、
その目的に対する手段、間違ってない?
という点。
“賃金上昇”
“産休・育休がキャリアにとってマイナスにならないようにする“
っていう方向は良いと思うんです。

でもそれに対する手段が、産休・育休中の人にさらに努力を課すこと…なの!?と思うわけです。
それって裏を返せば、
「賃金上昇しないのは産休・育休中の人が仕事を忘れ能力が落ちるから」と、個人に責任を押し付けていませんか?
だから産休・育休中でさえも学ぶこと/仕事することを怠らないべきだ、と。

でもそれって違うと思うんです。
国がすべきは、個人の努力任せにすることではないでしょう?
賃金なんて産休・育休関係なく上げてもらわないと困るし、産休・育休を取ってもキャリアにマイナスにならない社会づくりをするべきでしょう!!??

次に思うこと…
学び直しの後押しなんてしたら、
余計に産休・育休のハードルが高まり、不当な扱いを受ける人が増えるということです。
企業は当然、休業中にもスキルアップをしてくれる方が助かります。そして「産休・育休中でも国がサポートしてくれるんだから、当然スキルアップして帰ってくるよね?」と期待するようになります。
しかし、後述もしますが、そもそも産休・育休って休暇をとって遊んでいるわけではないので、学び直しなんて出来る人はそうそういません。
そしてどうなるかというと、「産休・育休取ってたのに、何も学んで来なかったの?やる気が足りないね。」という評価を受けることになりかねません。
ただでさえ体力的にも精神的にも苦しい思いをするこの期間に、学び直しをしておかないと復帰後の給料を保障されない、という現実が生まれてしまいます。

さらに懸念されることがあります。
男性がリスキリングのために産休・育休を取り、女性の負担が増えることです。
去年、あまりに低い男性の育休取得率を上げるために法律が変わったわけですが、もともと何のための育休を想定していたのでしょう?
女性の社会進出が進み、共働き家庭が増えたものの、家事育児という役割は圧倒的に女性の負担が大きい。
これを打開するには男性が家事育児に参加し、負担割合を均していく必要がある。
だから、産休育休を当たり前に男性も取れるようにしていく…
という話だったのではないのでしょうか??

ところが。
学び直しを後押しします!と国が示せば「産休・育休を取ってもスキルアップに使えばいいんだ!」と考える男性が増えます。
そして実際に産休・育休取得中に勉強に時間を割くようになります。
その間、結局家事育児をするのは誰なのでしょうか?女性の負担は減りますか??
むしろ、夫の食事まで用意させられ、すべきことが増えたり、自分はスキルアップしたくても家事育児に追われてできないのに、同じ家の中で自由に時間を使い、勉強している夫の存在が辛い…と感じる女性増えませんか????
これは私の感情ですが、「家事も育児もしないなら家にいない方がマシ」です。育休なんて取らずに働いてくれどうぞ。

…今日の話では「本人の希望が前提」と首相が言ったようですが、だとしても上記の懸念は払拭されません。
そこに犠牲は生まれないのか、考えてほしいものです。


最後に。
産休・育休中の学び直しなんてする時間ないわ!現状を知らん奴がいい加減なことを抜かすな!ということについて。
これについては政治家の無理解があまりに非情で泣きそうです。感情を抑えるのが難しい。
経験者や、未経験でも通常の知性がある方にとっては、いちいち書かなくても分かることなのですが、一応私の経験談を踏まえて書いておきます。

まず産休・育休って産前産後休業、育児休業のことで、休暇じゃないんです。
仕事を休む必要があるから休んでいるんです。
何のためか?出産と育児のためです。
出産と育児を軽視していない限り、その時間に学び直しの時間をとれるなどと思わないはずです。

産前産後休業。
産前6週間は、もう随分お腹が大きく、何をするにもすぐ息が上がり、肋骨が痛く、頻繁にお腹は張るし、1日に十数回トイレに行き…体力的にしんどい時期でした。
産後8週間は、体がボロボロでした。
帝王切開ではありませんでしたが、3600gの子の出産で会陰切開し…出血が多く退院後も点滴をする必要があったり、自尿が出ず3週間にわたり自己導尿したり。
そしてもちろん、3時間おきの授乳がありました。
胃が小さい新生児が1日三食で済ませられるはずがありません。夜中だって当然泣きます。
母親の体調や睡魔など関係ありません。
「身体は交通事故に遭ったのと同じくらいのダメージがある、出来る限り寝ていなさい。」とよく言われるし、本当は誰だってそうしたいはずです。
でも、自分がずっと寝ていたら、誰がこの生まれたばかりの命の面倒を見るの…?
少し目を離している間に止まってしまうかもしれない心臓。手を滑らせてしまったら、抱えている時にもし転んだら……。この皮膚の赤みは何だろう。この泣き方は普通なんだろうか。痛みも空腹も言葉に出来ない、身体を思うように動かせない我が子の主張を、私は汲み取れているのだろうか。
覚悟し、準備をして迎えたことといえど、初めてのことばかりに戸惑う毎日、心配は尽きず、理想通りの母になれていないと自分を責める日々。
ただでさえホルモンの急降下で精神が安定せず、何もしなくても涙が出るというのに。
そんな生活でした。
幸い、私は実家に帰省していたので、家事をする必要はありませんでしたが、それでも精一杯でした。

そんな時に。
…学び直し?
マタニティブルーや産後うつを知らないのでしょうか。
母親に、自分にもっと鞭打てと…もっと心を殺せと…そういうことでしょうか。
政治家の心のなさに絶望を隠せません。

育児休業。
産後2ヶ月から、息子がそろそろ1歳3ヶ月になる現在も取得中です。
仰向けで寝たまま動かなかった時から、家の中を自由に歩き回る今まで、いくつかのステージを経たわけですが、それぞれに時間や気力を割く何かがあり…やっぱり学び直しなどする時間がありません。

前提として子供の成長も個人差があるので、生後3ヶ月の時なら比較的楽!…などということもないと思います。
我が子の話をすれば、2ヶ月半〜3ヶ月の間は夜中に起きずに寝てくれました。
しかし首が座り、寝返りができるようになった頃から夜泣きに悩まされる日々が始まりました。
抱っこでもミルクでも寝ず、リビングに移動してネムリラに寝かせ、自分はソファに横になって寝かしつけをしている内に外が明るくなった日も何度もありました。
6ヶ月でつかまり立ちが出来るようになってからは、毎晩、夜中にベビーベッドの上で立ち上がって、柵を揺らしながら泣きました。
寝たと思えばまた30分後に泣き、1時間後に泣き…自分もまともに寝れない夜を何度も経験しました。
おまけに腱鞘炎で、両手の親指を動かすたび…抱っこはもちろん、コップやお箸を持つのにも激痛が走りました。

もちろん子供は昼寝をするのですが、起きている間に離れると泣くので、寝ている間にしたい家事が沢山あります。
今寝てくれ!という時に寝るわけもないし、数十分の寝かしつけの末やっと寝たかと思えば、選挙カーや配達指定時間無視の配送業者のインターホンや、ゴミ収集車の音で目を覚まし泣き叫びます。
その度、怒りもありますが、寝かしつけの努力が水の泡になり、タイムスケジュールが崩れ、また数十分の寝かしつけ時間が発生することを考え…途方に暮れます。

自分もろくに眠れていない日には、日中睡魔に襲われますが、そういう時に限って子供は寝ず。
「子供が寝ました!はい今から1時間寝ていいよ!」というタイミングで即入眠できる特殊スキルを持ち合わせているわけでもないので、結局睡眠時間は確保できません。

「育児で何が辛かった?」と言われたら、
子供が寝ない、訳も分からず泣き叫ぶ子供の姿を見て途方に暮れる、などもあるけれど、私の場合は、「睡眠不足と腱鞘炎が数ヶ月間容赦なくノンストップで続くこと」と答えよう、と、その頃に決めました。


息子の場合は生後7ヶ月ごろ、夜泣きの頻度がガクッと減り、睡眠不足からは解放されましたが、2歳、3歳になっても終わらない子もいるそうです。

さて、睡眠不足から解放されたら、時間に余裕が出来るのでしょうか?
実際は難しいと思います。
子供が自分で食事を用意して食べてくれるわけではないし…何より子供の行動は予想外。
対象年齢内のおもちゃでも、唐突にアクロバティックな動きをして顔をぶつけて泣くこともあれば、何にでも興味を持つので、私がパソコンや本を使おうとしようものなら、すぐに駆けつけてきたぐちゃぐちゃに。
手の届かない場所に移動させれば大の字に床に転がって大泣き。
子供を放置して他の部屋に行くなんて非人道的なことが出来るのか?トイレに行くのにも泣かれるので別部屋にいる間当然泣いていると思うが…?
目を離している間に何をするか分からない。子供の事故のことも知らないの?
学び直し…?はて…どうすればいいと???


…私が産休に入る前、職場である話が上がっていました。私の住む自治体は待機児童が多いことで有名。
もし入れる保育所が見つからないなら、在宅勤務OKにするから在宅勤務しながら子供もみればいい…と。
猛反論しました。
現状、学び直しも在宅勤務も出来るわけありません。
本当に、現状を知らないからこそ好き勝手理想を振りかざして滅茶苦茶なことを言えるのだなと。


実際学び直しをしたいという人はゼロではないとは思います。
でも絶対少数です。睡眠時間3-4時間でも問題なく動けるショートスリーパーとか、メンタル鋼の猛者とか、家政婦を雇える金銭的余裕がある人とか。
制度としてあって助かることもあるかもしれません、が!敢えて国がやることじゃないと思います。企業や自治体レベルでいい。
国が率先することで学び直しを強制するような風潮を生んではいけない。
産休・育休中のリスキリングが出来て当たり前にならないように細心の注意を払わないといけない、と思います。


ちなみに息子は待機児童です。
かれこれ半年保育園に申請するも空きがなく育休を延長しています。
現実はこれ。復帰したくても出来ない。
私からすれば、リスキリングする暇あったら復帰してる。

産後ケアも普及してない。
子供を預けて働くことも出来ない。
保育士は賃金に見合わない過酷な労働で辞めていくから人員不足。

まずそこを変えなさい、と。
出産育児をもっと当たり前のものに、負担のないものに。
そんな国づくりを怠ってきたから今の日本なんでしょ、と。

産休・育休から復帰後の給料が低いのなんて私たちのせいじゃない。子供はすぐ体調崩すから仕事に穴空けるのだって仕方ない。親の代わりはいないんだもの。
むしろ日本の未来を担う子供を産み育ててるんだから評価して欲しいくらいなのに。
復帰後の評価を下げる企業がおかしい。
子がいる女性を敬遠する企業がおかしい。
仕事に穴をあけた従業員のフォローをする同僚を評価しないのもおかしい。

そして子供や子育てに関わる全ての人間をないがしろにし、その現実を知らない政治家が、国がおかしい!!!


首相及び国を動かしている政治家が、国民の現状を、学び直すことを願います。
こんな感じなら異次元じゃなくていい。
地に足のついた、現実的な政策を考え実行することを願います。
妊婦健診無料にしたり、育休手当満額保障すれば、それだけでも経済的負担はだいぶ変わるだろうに。
年少扶養手当がなくなって児童手当は雀の涙な上に所得制限。
産めば産むほど必要経費は増えるけど、働く機会、期間が減って収入は減る。
出産育児のマイナスはそういうところからなのに。


…時代錯誤の高齢者には…無理かな…
こんな、滅びゆく日本から、逃げたいなぁ…

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