心理的安全性

「心理的安全性」について調べてみた

仕事のコミュニケーションに関するサービスに関わる中で、色々な会社のコミュニケーションのとり方について目に触れる機会が多いです。上手くいっている話もあれば、上手くいっていない(いなかった)話を耳にすることもあります。

そういったお話や僕自身の経験、外部の人との対話を踏まえて、これからの組織には「心理的安全性」が欠かせないなと感じていた矢先、ミラティブの赤川さんが書かれた記事を目にしました。16ある項目のほとんどにうんうんと深くうなずきながら読んでしまいました。


今回はその赤川さんによるミラティブ組織論を踏まえ、これからの組織に「心理的安全性」が欠かせない理由と背景について考えていきたいと思います。

心理的安全性とは

そもそも心理的安全性って何なんでしょうか。元々は心理学の専門用語で、「他者の反応に怯えたり羞恥心を感じることなく、自然体の自分を曝け出すことのできる環境や雰囲気のこと」を指すようです。
出典:心理的安全性とは?googleが発見したチーム生産性を高める唯一の方法 | BizHint(ビズヒント)- 事業の課題にヒントを届けるビジネスメディア

これをビジネスに応用して生まれたのが、組織のひとりひとりがリラックスした状態で働けた方が組織にとっても個人にとってもハッピーだよね、という考え方だとゆるく解釈しています。正直これだけでも大事さはなんとなく分かりますが、そもそも何がそうさせているのか、そしてなぜ今とこれからの時代に欠かせない考え方なのかといったところを深掘りしてみたいと思います。

その1:日本人の気質

いきなり非科学的な話で申し訳ないのですが、日本人は「人目を気にする」「周囲に同調する」気質だと言われます(このあたりについて詳しい本や論文があれば教えてください)。そしてこの気質について、欧米はそうではなく日本が劣っているという主張を目にすることがあります。

私はそうではないと考えています。欧米がどうかは分かりませんが、少なくとも優劣ではなく単なる種類の違いに過ぎません。そして、単なる種類の違いであれば、行なうべきはその気質への嘆きと是正ではなく、その気質にあった組織と制度設計で、その鍵となるのが心理的安全性だと思うのです。
心理的安全性が高い状態では、人目を気にすることなく業務に取り組めます。また、一度心理的安全性を確保した状態を作れば、周囲に同調しやすい日本人組織であればそう崩れることはなさそうです(ただし、採用段階からのコミットは必須)。気質を逆に利用することで、心理的安全性を確保できる土壌が生まれつつあるこれからの時代は日本人にとってめちゃくちゃ有利に進められると思います。

その2:チャットコミュニケーション

ビジネスチャットが登場して数年が経ち、仕事におけるチャットコミュニケーションがハイリテラシーではない層まで普及しようとしています(本当はこの「ハイ/ロー」という言い方も好きではないのですが・・・)。
そんなチャットコミュニケーションの肝はバーチャルオフィスの構築だと思っています。雑談からこれまでだと会議をしないと始まらないような重要な議題まで、仕事のあらゆるコミュニケーションがチャットだけで完結するようになりました。
ただ、心理的安全性が低い状態では正直チャットは使い物になりません。それどころか組織の生産性を下げかねません。チャットを現実世界に置き換えると、そのチャットルームのメンバーが全員いる会議室でひとり発言しているようなものです。ですので、心理的安全性が低いと人はクローズドコミュニケーションに走ろうとします。SlackでいえばDMやプライベートチャネル、LINEやLINE WORKSでいえば1対1/Nトークルームですね。

このクローズドコミュニケーションが問題です。仕事において何よりも重要である情報の取得に余計なコストがかかり、情報の非対称性が発生してしまうからです。オープンコミュニケーションの事例とメリットについては様々な会社さんがお話されていますので、ぜひ読んでいただければと思います。
メルカリさん:https://mercan.mercari.com/entry/2018/04/10/163322
SmartHRさん:https://speakerdeck.com/miyasho88/we-are-hiring?slide=41
キャスターさん:https://speakerdeck.com/hideakiishikura/20180718ren-shi-kaben-yin-takewohua-suhui-deng-tan-zi-liao?slide=14
ZOZOさん:https://blog.unipos.me/2018/10/16/slack_zozo_unipos/

心理的安全性を確保するためにはチャットコミュニケーションの運用設計も重要です。このあたりは別途記事を書きますが、チャットでコミュニケーションを行なうのと同時に、心理的安全性を高める努力を行なうべきです。

その3:個人が選ぶ時代

ミラティブ組織論でも言及されていますが、インターネットとスマートフォンが個人をエンパワーメントし、個人が用意に外部の情報を取得できるようになりました。情報が溢れ、価値観が多様化した今、社員を従属させようとする企業には人は集まりません。人手不足もありますし、社員側に有利な時代にあるんですね。
そういった時代では、報酬や何をやるかと同時に、どうやってやるかも重要です。個人のやりたいことはコロコロ変わるのが当たり前ですし、むしろ何をやるかに関心がない層が圧倒的多数派だと思います。このあたりはヨッピーさんの「ふわふわ層」の考え方に近いかもしれません。
そうとなれば、心理的安全性が高い状態でどうやってやるかを自分で自由にデザインできた方が楽しいし、そうあれる環境を企業が提供すべきだと思います。

その4:エンプロイーサクセス

サブスクリプションモデルにおいてカスタマーサクセスが重要だということは周知の事実だと思いますが、これに関連して人事領域で話題になっているのが「エンプロイーサクセス(ES)」。一言でいうと企業が社員個人の幸せと成功までコミットしましょうと言う考え方です。サブスクリプションモデルと現代の企業における共通点は顧客(社員)のスイッチングコストが低い点です。社員がどう働くかまでデザインできなければ、前項で述べたとおり社員は他の選択肢を選ぶだけです。

企業における内輪ノリの適用

上記では言及できなかったのですが、ミラティブ組織論のうち内輪ノリの部分について言及させてください。僕はテレビ/YouTubeなどの媒体の種類を問わず、お笑いとかバラエティみたいな類が大好きです。赤川さんは「部活感」と表現されていますが、長い付き合いの友人たちの会話を聞いている感覚に近いなあと。やっぱり好きな人が楽しそうに話しているのをみると、聞いている方も楽しいですよね。
それがお笑い・バラエティの場合は、見ているうちに出演者のことが好き(友人と同じ状態)になり、友人たちが楽しんで会話している場を疑似体験しているんだと思います(その点で最高だったのが「ガンミ」という伝説の番組なんですが、共感いただける方がいれば今度飲みにいきましょう)。

ただ企業の場合は、その場に自分自信も飛び込む必要があるので、いかに入り口のハードルを下げるか、が肝になってきます。そのときに作用するのが心理的安全性で、やはり採用の段階からコミットするほかないんだと思います。このあたりはもう少し深掘りしたいなあ。

おわりに

心理的安全性の重要性を主張したGoogleも言っていますが、心理的安全性はこれからの組織が成功するために欠かせない「土台」です。これからの組織にとって必要な最低限の要素であり、それが無ければ成長が止まるか淘汰されるだけなのかなあと。
だからこの考え方が当たり前になって、事業の成長と個人の幸せを両立できるのが当たり前の社会がきたら嬉しいし、そうしたい!
心理的安全性を高める具体的な方法はこれから模索しつつ、いつかまとめたいと思います。とりとめのない文章でしたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

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