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カムカムエヴリバディ×NVC〜安子のニーズを推測する座談会 その1

連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』を通してNVC(非暴力/共感的コミュニケーション)を布教する企み、もとい、#カムカムをNVCメガネで見る遊びの第4弾です。

ああ、来週(第20週)は、ついに大月家が岡山に……。怒涛の展開の前にこれ、これやっとかなくちゃ!の棚上げネタを書く準備がようやく整いました。

前回は、るいの”I hate you”のニーズ(心の奥底にある大切なもの、すべての人のすべての言動の源となる命の動き)を推測。

となれば次は、”I hate you!”を受けてるいの前から去ってしまった安子には、いったいどんなニーズがあったのかに目を向けてみたい……と思ったのですが、 安子に関してはその後の情報はまったくないので途方にくれておりました。

で、思いついたのが「みんなに聞いてみよう!」ということ。

さっそくNVC仲間に声をかけ、カムカム沼にハマっている皆さんに集まっていただき、言いたい放題からスタート。その後みんなで安子のニーズを推測してみました!

【目次】

  1. ざっくりとした背景

  2. 出席者の紹介

  3. あの状況での安子の心情を推測

  4. 安子のニーズは? (次の記事へ)

今日話題とするシーンのざっくりとした背景


夫・稔が戦死した後、大阪で和菓子を販売することでなんとか生計を立てていた安子は、ある日過労もあって配達途中で事故に遭い、リヤカーに乗っていた娘のるいは額に大きな傷が残る怪我をする。大阪での商売を諦め婚家である岡山の雉眞家に戻るが、るいの治療費だけでもなんとかしたいと商売を続けようとするも反対される。進駐軍将校のロバートと知り合い、英語を介してつながりを深める。同居する義弟の勇の求婚には答えられず。復員した兄算太とふたりで菓子司たちばなの復興を目指す。そのために雉眞家を出ることになっていた折り、算太が開業資金を持って行方をくらます。安子は算太を探しに大阪に出向くが過労で倒れロバートに助けられ、しかし、るいの入学式をすっぽかす。岡山に戻るとるいから”もう会いたくない”、”I hate you” と告げられる。雨の中現れたロバートに、安子は”Take me to the United States” と告げる。ドラマの中ではその後の安子の消息は不明で、成長したるいはたびたび「私は母に捨てられた」と語る。


【出席者の紹介】

H美:ジョー推し!ご近所にジョーの中の人が住んでいるらしいが、一度も遭遇したことない。昨日の放送で桃ちゃんが万引したところで号泣。私も精神的にはヨワヨワ人間なので。

Y子:疲れて寝たいけど、なんだか起きちゃったから来ちゃいました。安子ちゃん、どうしてるかなー? NOと言えないことが積み重なって、病気になっていないかなーと心配。

R美:関西在住なので、京都も近いよ。(「条映映画村行けるじゃん! うらやまし~」の声をあびる)“I hate you” のあたりからハマっているのだけど、主題歌の「君と私は仲良くなれるかな?」が切なすぎて聞けなくてしばらく音を消していた。

T子:雉眞家は全員NVCが足りない!だから大阪で事故った安子を助けてもあんなふうに(怒)。竹村夫妻が好き。どこかに野良ヒロインが落ちていたら拾ってきて竹村夫妻みたいにサポートしたい。

R子:今回リアル出席ならずもメッセージで参加。安子は精神的に壊れてパニックのときにロバートさんが現れたのでアメリカに行ってしまったのかしら? 彼が来なければ、もう一度るいと話してみようという気になったのでは……

のぞみ:今回の呼びかけ人。ジョーが五十嵐と話した第90回では、NVC的にジョーの『嘆き』と『お祝い』が凝縮していて、それについても書きたいと気がはやっている。


まずは安子の心情・感情を推測してみた

のぞみ:安子はるいと離れて連絡をとっていないのには、何かしらのニーズがある。来週あたり、安子の消息が聞こえて来そうなので、早めにみんなで話していったんまとめてみたい。勇ちゃんの言う「よっぽどのことがあったんだろう」の、よっぽどのニーズはなんだろう?ってのがテーマです。

のぞみ:算太がお金を持ち逃げする以前に、もう安子はるいを雉眞に残して生活の場を別々にすることを告げていたので、その時点ですでにるいは傷ついていたのかなーというのがある。一方で、その時点での安子は感情的にどんなかな? というのを皆さんに語っていただきたい。

R美:安子は、「るいが大事」と同じぐらい「たちばなの復活」が大事だったのでは? 自分の亡くなった家族全部、自分のアイデンティティ。算太の失踪でそれが完全に潰えて絶望していた。弱りきっていた絶望感の海の中でるいに投げられた言葉で、折れたんじゃないかなー?

H美:安子はあの時点(算太の失踪)より前に疲れ切っていたんじゃないかな。稔さんが亡くなって一人で立ち向かっていた。きぬちゃんのお店でおはぎを売るとか自分ができる小さなことを積み上げることで、なんとか自尊心、自分の力を信じようとしていた。さまざまなことで道を狭められて(るいを連れて行くなとか)傷ついていた。あの時点で疲れ切っていた。そこへ、算太がお金を持って逃げて最後の望みを絶たれた。かつ、女性として生きていきたいというのもあったのかも。ロバートさんにプロポーズされて少しゆらぐ気持ちがあったのでは。手を差し伸べられたところで、少し休みたい満身創痍、傷ついていたので、精神的にも肉体的にも休みたい。最愛の子どもから言われた言葉でプツリと切れた。ドラマとしてはそういう感じなのかな。

Y子:安子にとってのるいは、かけがえのない自分の分身、夫の分身のはず……なんだけど、(実際に娘を持つ身として)子どもは毎日毎日会うから愛着がある。子どもを思っていても、雉眞の家に置いておけることで、事業再興の方に気持ちが向いて、最愛だと思っているけど、少し気持ちが離れてきていたのを薄々感じていたのでは。私自身、娘が大好きで、でも海外出張などで娘と離れている時間が1週間あると「私、子どもを生んだっけ?」とフワッと思うこともあった。気持ちが離れていくところを、るいのI hate youで、グサッと刺されたというか、見透かされた……というのがあったのでは? 

安子は離れてもいつか迎えに行くつもりだったけど、ほんの少〜し離れた隙間を刺されちゃった、みたいな。だから「違うの、違うの」という弁解もしなかった。自分の闇の中に落ちてしまったのではないか? そうじゃなかったら、1ヶ月後、3ヶ月後、1年後とかになにかしらアクションがあったと思う。 うーん、けっこう重いけど、安子は死んでいるか、深い絶望から精神に異常をきたしているか……。

H美:私は、愛が薄れたというよりも、怪我させた罪悪感、それが大きい、深いと思う。本当に、一生を左右するような、誰かが何かを言おうが、誰かに愛されようが自分の中で拭い去れない、消しされない罪悪感ってあるんじゃないかな。安子にとってはそれがるいに怪我をさせたこと。雉眞家にいれば治してもらえるかもしれない、自分がるいと一緒にいることがより罪なことなのではと感じたのでは。自分がるいに執着する気持ちそのものを罪であると思って、何十年も音信不通なのでは。

T子:偶然にも、小学1年生の娘がいる。別れたときのるいと安子を思うと、安子はI hate you と言われる前に、I hate myselfがあったのでは。怪我をさせた上に、経済的に自分がるいを治療してやれない、自分はダメだという内向きジャッカルが吠えている感じ。また、雉眞にいれば教育を受けさせられるという話しもあった。その後、るいは高校を中退している(ドラマではチラリと履歴書が映る)のでどうなったんだろうとも思うけど。
安子は自分が与えられないものに対する劣等感を抱えていたのかな。自分のことを責めていて、(I hate youは)るいから出た言葉だが、すでに心では自分に言っていて、それが倍音になって返ってきたので折れてしまったのでは。子どもは親の感情を察しようとする。それは、子どもの生存手段として自然なこと。安子が安子自身を無力感とともに憎んでいるのがるいにも伝わっていたと思う。だからアメリカに行ってしまった後でも、自責が続いて、自分には価値がない、権利がないと思ってるいに連絡とれない。

R子:(メッセージで)安子は、ロバートに結婚を申し込まれた時、心の奥にはうれしい気持ちがちょっとはあったと思う。でも、そんな気持ちは、るいを大切に思うことの前には、ものすごく小さなものたっだろう。
そのるいにあんな言葉を投げつけられて、心が壊れてしまったのではないか。 壊れてパニックの時に、何故かまたちょうど現れたロバートに頼るしか方法を思いつかなかった。 ロバートが来なければ、もっとるいと話してみようということを考えたり試したりしてみたかもしれない。 るいのひたいの傷のことで自分を責める気持ちが大きすぎて、るいの「I hate you 」の言葉をそのまま聞いてしまったのではないか。

感情の言葉として思い浮かぶのは:孤立した  打ちのめされる 深く悲しむ 絶望感 胸がつぶれる思い  行き詰まり 

のぞみ:座談会、やってよかった〜、面白い! 私も、安子には自責があったのには同意。ロバートさんに惹かれているのもあっただろう、事業再建に気持ちが移っていたことの自責、怪我させた自責もあるだろう、自分はこんなじゃダメだダメだと思っていたところに、”I hate you”が降ってきてしまったので、それに乗っかってしまったのではないか、と思う。私は「娘に拒絶されたのだ」と思えば、そこから一歩離れられる。だから、自分を責めて責めて責めていて、精神的にも肉体的にもヘトヘトだったので、”I hate you"を聞いて、実は自分でも気づいていないぐらいに薄くかもしれないが、ホッとしたのかも。その言葉があれば「私は娘に拒絶された。だから離れた」というストーリーに頼れる。でも、それって、一生続くかな? 戻りたいと思っても、今度は、その言葉に乗っかってしまったことへの自責があって戻れない……とか。

H美:そうだ、そうだと思う。自分もそういうときってあるな。立ち向かうほうが大変。負けた方が簡単に身を引ける。自分を解放する理由、アメリカに行ってしまえば、守ってくれる人もいるし。

のぞみ:負けた方が楽でも、心は苦しいよね。自分を騙し続けることだから。じゃあ、いよいよ安子の渡米という選択はなんのニーズに拠るんだろう?

R美:あのときまだ安子は雉眞家に住んでいた。その環境が、針のむしろだったのではないか。心が休まらないひとつの理由だったのではないかな。

【私たちが推測した安子の感情を羅列すると……】

絶望、弱りきる、疲れ切る、傷つく、望みがない、ゆらぐ、満身創痍、プツリと切れる、罪悪感、自責、劣等感、憎む(自分を)、孤立した、打ちのめされる、深く悲しむ、胸がつぶれる思い、行き詰まり、心惹かれる、ホッとする、心が苦しい、心が休まらない、針のむしろ(緊張、落ち着かない)

さて、ここでちょっと、NVCレクチャー。
NVCでは「感情はニーズを指し示す」と考えます。何かの出来事が起こったり、見聞きしたときに、私たちは反応します。そして、そのからなんらかの体感覚が起こり、それに伴って感情が出てきます。

感情が動くのは、心の奥底にある命の源【ニーズ】が刺激されるからというのがNVCの前提です。つまり、感情はただフワフワと宙を漂っているではなく、感情をたどっていくとその根には何かしらのニーズがあるということ。言い換えれば、ニーズが満たされていれば「うれしい」「楽しい」「ホッとする」等の感情が出てきて、逆にニーズが満たされないと「悲しい」「怒り」「落ち着かない」「不安」等が出てくるのです。

上記に挙げた感情から、いよいよ安子のニーズを推測していきますが……もちろんその辛さ、痛みは安子のみが感じているものだとしても、感情の言葉を見るだけでも、切ないねぇ、辛いねぇ、安子。でも、その感情から逃げないで勇気をもって飛び込んでしっかり味わうと、ニーズにたどり着けるんだよ、ニーズに気づけば、痛みはあっても、ひなたの道が見えるよ、人生は輝くよ。

ということで、座談会その2に続く……。

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