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行政書士開業時のコストに対する考え方

こんにちは。行政書士の阪本です。
何とか防も明け、桜前線まっしぐら。
余談ですが、「三寒四温」という言葉を「三月は寒く四月は温かい」という意味に捉えている方がいらっしゃるようですがこれは誤りです。正しくは「冬の時期に寒い日が三日くらい続くと、そのあとに比較的暖かい日が四日続く」というのが本来的な意味ですので、言葉は正しく使うように心がけましょう。あいさつで「三寒四温」を使おうと考えて、念のためにググって初めて本来の用法を知ったというどこぞの行政書士(40代・独身)もいるようなのでそこは十分にお気をつけください。

さて、間もなく4月ということで、新たな門出を迎える方も多くいらっしゃるのではないかと思います。私自身、誕生月であることからも、毎年4月は「新たなはじまり」という特別な思いに駆られる季節であったりもします。大切なことなので再度申し上げます。

4月は私の誕生月です。

しっかりと胸に刻んでいただいたところで本題に移りたいと思います。

花畑ではしゃぐ男の子

私は行政書士として3年目のまだまだドペーペーでありますが、これから語るテーマはおもに新たに事業を始めようとされる方に向けたものなので、過去に整骨院を運営していた5年をかさ増しして、開業8年目の人間の言葉として受け取っていただければ幸いです。まぁそれでも経験として決して多いとは思いませんし、そもそも経験年数は単なる補強資料にしか過ぎないと考えていますので、どこにでもいるオッサンがそれなりに説得力を増すために経営経験をちらつかせながらつぶやいている戯言くらいに捉えていただければ丁度良いように思います。主観ですし、運用できるかどうかも定かではありませんが、反論も含めて何かの気付きのきっかけになれば幸いです。

経営に必要なもの

私自身がよく質問されるというよりも、SNSなんかでちょいちょい目にするのが「経営に必要とされるもの」についてです。

私なりにかっこいい回答を探ってみましたが、残念ながら見つからず、結局のところ、「コスト」というごくありきたりな結論に落ち着いてしまいました。「覚悟」とか「決意」とかいうワードも頭をかすめましたが、抽象的過ぎてスピリチュアるおそれがあるのでここでは省略させていただきます。ただし、これはこれで当たり前に持つべき重要な思考であるということは付け加えさせていただきます。

コストに対する負担意識

「金は天下の回り者」という言葉は個人的に好みではありませんが、経済の仕組みを考えても真理であると認めざるを得ません。そしてこれは「コスト」についても当てはまることのように思います。はっきり言ってコストを負担する意識が無ければ、「見返り」が返ってくることもありません。出資せずに配当を貰えることはありませんし、何もしないのに誰かが勝手に仕事を運んで来てくれるなんてことも絶対にありません。

話しは脱線しますが、若い頃、道端でうずくまっているお年寄りを介抱して病院に連れて行ってあげたところ、後日その人が大富豪だったということが判明し、「あなたは命の恩人だ」と言われてたんまりお礼をいただいて、、、なんていう妄想をよくしていました。
現実の世界に道端にうずくまっている大富豪はいませんし、田んぼで罠にかかった鶴も、海辺でいじめられている亀もいませんでした。他力本願はある意味理想ですが、実社会はそんなに甘くありません。笑

浦島太郎

なお、ここでいう「コスト」には、宣伝費や交際費といった分かりやすい金銭的負担だけではなく、営業に対して費やす時間的負担という概念も含まれます。

例えば私は毎年度「接待交際費」に多くの経費を費やします。人によっては「広告宣伝費」や「外注費」に対して厚めの投資をする方もいることでしょう。これらは「経費」という割と分かりやすい形式のコストですが、忘れてはいけないのが「経費ではないコスト」、つまり「時間」「労力」に関するコストです。

労力と時間をケチってはいけない

開業してすぐにキャッシュが回ることはありません。そうなると「経費」を大盤振る舞いというわけにはいけません。となると、経費は抑えつつも、別のコストをかけて営業するしか方法はありません。

考えてみてください。経費は無くてもその代わり「時間」と「手」は余っています。すぐに収益につながらないにせよ、これらは「販売促進費」に代わるものとして十分に効果を発揮してくれます。いや、もしかすると後々「あれは無駄骨だった」と思い返すことになるかもしれません。ですがそれは当たり前の話しで、そもそも何年経ってもコストが100%収益につながることはありません。

要するにコストを「損」と捉えるか「投資」と捉えるかの問題です。「経費」もかけたくなければ「時間」も「労力」も使いたくない。こうなると後は全国を回って道端にうずくまっている大富豪を探し当てるしかありません。

多分、経費も時間も労力もめっちゃかかるけど。

私のかけたコスト

それではお待ちかねの「自分語り」の時間です。

先述したとおり、私は「接待交際費」に経費の多くを投じています。職業的には「人と会う」ことが営業の基礎となるので、ここには厚めの投資をするというのが私の経営方針です。

はっきり言えば交際費への投資がすぐに収益につながるものではありません。ですが間違いなく「相談」をしやすい土壌作りには役立ってくれています。実際に「収益の手伝いは出来なくても『有益な情報』は提供することが出来ますよ」という人は何人か存在しています。
言うならば私の「交際費」というコストを、相手の「時間と労力」というコストと交換しているようなイメージです。

さて、分かりやすい経費のお話しは一旦置いておいて、お次は経費以外に費やしたコストについて申告いたします。その前に以下のページも併せてご確認いただければ幸いです。

現在私は自社サイトを営業の中心に据えています。運用開始から1年半、おかげさまでほぼ毎日問い合わせをいただけるくらいには成長してくれました。コンテンツが蓄積されていくので、自動的に集客してくれるのが自社サイト最大の強みです。

現在は3つのサイトを運用していますが、すべてのサイトを合わせて約340のコンテンツページを作成しました。下調べから投稿までに費やす1ページあたりの平均時間は約3時間といったところなので、費やした時間的負担は以下のとおりです。

3時間✕340ページ=1,020時間

行政書士試験に合格するために必要とされる勉強時間の平均的な目安が1,000時間らしいので、大体同じくらいはサイトをいじっている計算になります。

暇だったんでしょ?

こんな嫌味を言う人もいるかもしれませんが、業務は当然別腹ですし、何ならバイトまでしていました。

まぁ私の場合は文章を書くこと自体が趣味みたいなものなので、それほど苦痛なく継続することが出来たのが幸いでした。ただし、ここに「家族サービス」という時間が加わっていたら、どうなっていたか分かりません。これは40代、独身、何とかイチ強みと言えるのかもしれません。(トホホ)

「時間が無い」はよく耳にする言葉ですが、私にせよドハマリしていたTwitterに費やしていた時間を削ることで時間を作ることに成功したので、「時間を作る」=「コストをかける」という意識を持つことが最も重要なポイントだと思います。

「時間=財産=コスト」

また、現在の状況に至るまでに色々な営業方法を試したことも「労力」のコストと言い換えることが出来ます。飛び込み営業、チラシ配布、ダイレクトメール、、、今から思えばいずれも実績は芳しくなく、「あれ無駄やったな」と感じることも多くありますが、その中で自分なりの「取捨選択」を培えたことは、財産と言えるかもしれません。

さらに現在も継続している「無料相談」についても、営業コストとして捉えているので苦痛には感じていません。正直成約に結びつく割合が高いとまではいえませんが、誠実に対応を継続することで後の受任につながったケースも多々あります。実際に「無料相談会」に出向いて顔を売り込むという手法はいまだ現役の営業方法ですし、コミュ力が高ければそこからお仕事をいただけることもあるのではないかと思います。

インフルエンサーを意識し過ぎないこと

長々と「何ちゃってビジネスインフルエンサー」のごとく語ってきましたが、本稿はあくまでも私個人の主観の範疇にしか過ぎません。要するに単なる私の経験談であり漫談です。

「必ず成功する方法!」だとか「これこそが唯一の正解!」といったものはこの世には存在しません。そんなものは「誰でも簡単に副業月商100万円!」のちょっとアレな世界観と一緒です。

中には経験を培ってそれなりの重みをもって発信しているインフルエンサーもいるように思います。ただそれはあくまでもその方本人の経験談に過ぎず、そこに至るまでに本人なりの「取捨選択」をして来たという「過程」があることを忘れてはいけません。

経歴、得手不得手、性格、性別、環境は人それぞれ千差万別です。例えば営業を自社サイトで行うという私の方針も、単に私個人が「取捨選択」をした結果にしか過ぎず、仮に「アナログ営業」を極めようとしてその道を突き詰めていたら、その方法で今より成功していた未来があったのかもしれません。

いずれにせよ「取捨選択」は本人にしか出来ません。憧れのあの人は自分自身ではありませんし、インフルエンサーの発言や行動をトレースしても、おそらく同じ結果にはたどり着きません。様々な意見に触れた上でそれを取り込むことは貴重だと思いますが、感情的にならず俯瞰して眺めることのできる視点は常に忘れないようにしたいものです。

まとめ

何度も申し上げるとおり、本稿は私個人の漫談でありポエムにしか過ぎません。いちばん重要なことは、最初から「効率」に重きを置くのではなく、コストをかけて「自分だけの経験」を積むことだと思います。

他人を気にする心理や承認欲求は人間の標準的仕様ですが、他人を妄信せず自分を過信せず、ライフワークバランスを保ちつつこれからも歩んでいきたいものです。

最後になりましたが、新しい門出を迎える方、謹んでお祝い申し上げます。本稿が何らかの形で皆様の餞(はなむけ)になったのであれば幸甚に存じます。

令和4年春
ツナグ行政書士事務所 行政書士 阪本光

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