見出し画像

意識と思考とつながる。「ヒューマンテクノロジー」ワークショップレポート#4

2021年6月からスタートした「TSUNAGU FASHION LABORATORY」。「個人の心の在り方からファッションの世界を再生する」をテーマに、毎月多彩なナビゲーターによるワークショップを行っています。

今回は、ナビゲーターのヒューマンテクノロジー研究家・後藤志果さんが実施する第4回目のワークショップをレポートしました!

地球と私たちの暮らしの関係

ワークショップ冒頭では、これまでを振り返り、それぞれワークショップを通してどのような変化が自分の中で起こっているかを共有しました。

その後、前回の廣水さんのワークショップを受けて、あらためて私たちの生活の根底にある「地球」にクローズアップし、私たちの暮らしとのつながりを考えていきました。EARTH OVERSHOOT DAYによると、2021年時点で世界の人々が日本人と同じ生活をしたら地球が2.9個必要であり、米国と同じように暮らしたら5個、そして世界平均では1.7個必要だと言われています。(※1)

また、人類の幸せを目指して構築してきた社会システムが結果として環境破壊を生んでしまうと同時に、人間自体を不幸せにしてしまっているという「精神性の危機」も生んでいます。幸福になるために作ってきたはずの仕組みの中で人類が同じ生き方を続けたら、地球1個では足りません。このままでは持続するのが不可能だという状況は、実は地球の危機ではなくて人類の危機だと後藤さんは話します。

そして、後藤さんは平和を探求してきた結果、地球1個分の暮らしはあらゆる問題を解決しながら人間が幸せに生きる方法だと気がついたといいます。

スクリーンショット 2021-10-01 10.24.45

(後藤さんのスライド資料より)

持続可能な社会に向けたアプローチと3つの指針

全ての生命が豊かに暮らすために、あらためて以前のワークショップの中で紹介された仏教学者・社会活動家のジョアンナ・メイシーさんや思想家・環境活動家のサティシュ・クマールさんからのキーワードを振り返っていきました。それぞれ、ジョアンナさんは地球1個分で暮らせる持続可能な社会に転換するためのアプローチについて、サティシュさんはエコロジー運動の核となる3つの指針について多くのエッセンスを提示されています。

スクリーンショット 2021-10-01 10.28.44

スクリーンショット 2021-10-01 10.33.27

(後藤さんのスライド資料より)

「意識」という資源を使うとは何か

次に、実際に私たちの心の変容と社会変容の関係性について紐解いていきました。自分の心に意識を向けること(内観)が、なぜ社会に対する本質的な変革を起こすために重要なのか?「内」と「外」の両軸で物事を考え行動を起こすというのは、どのようにつながりあっているのか?これは、TSNUAGUのワークショップの軸にある「個人の変容から社会変革を起こす」につながる大切なキーワードです。

社会変革において「意識」はとても重要な資源であり、自分が意識した通りに世界を具現化する力があります。後藤さん自身も、これまで「どこに意識を向けたらより豊かな社会になるか」を大事にしてきたと話します。

具体的に私たちの日常生活の中でも、美味しいピザ屋を見つけようとネットで検索すると関連する情報が出てくるように、「意識」に関しても自分が物事のある部分にスポットを向けてズームインすることで初めて集まって来るといいます。

では、私たちは日常生活の中でどういった部分に意識を向け、頭の中は何で占められているのでしょうか。ここで、読者の皆さんは下記の靴が何色に見えますか?

筆者は、靴はグレー色で紐はミントグリーン色に見えますが、後藤さんはピンク色と白色に見えるそう。こうした見え方の違いから、同じ一つの事象を見ても、人によって全く違って捉えているということが実感できると思います。

事象の捉え方に関係してくる要素として、自分が大切にしていることや思考パターン、思い込みや痛みなどがあると後藤さんは話します。「今、自分はどこに意識を向けているのか?」「そして、それは自分の人生を豊かにするものか?」「そうでないとすれば、どこに意識を向けるとより人生は豊かになるのか?」。内観プロセスでは、時に問いを通して自分の内側に意識を向け、自分自身の深層意識に気づいていきます。

この靴のように、それぞれが考える「正義」が異なる中で、「この色が正しい!」というように意見が異なる他者と競い合うのではなく、「この色」に見えている自分自身にフォーカスしていくと、「意識」の姿が現れてきます。そして、自分自身の奥にある「痛み」、さらには意識が変容すると、世界が大きく見えたり自分の中にある「戦い」が平和な状態へ変化したりする。このプロセスが「心の持続可能性」につながるといいます。

すなわち、TSUNAGUのワークショップでも大切にしている「心の持続可能性」は内観プロセスと密接につながっており、自分自身の痛みを変容させていくプロセスとも言えるのです。


今回のワークショップでは、自己内省だけでなく、なぜ自分自身の内面を見つめることが社会とつながっているのかを紐解いていきました。心の持続可能性は、ガンジーの「You must be the change you want to see in the world.(あなたがこの世で見たいと願う変化に、あなた自身がなりなさい。)」、「There is no path to peace. Peace is the path.(平和への道はない。平和こそが道なのだ。)」という言葉に強く結びついていると感じました。

いよいよ、この「ヒューマンテクノロジー」のワークショップも終盤に入ります。次回のテーマは「暮らしとつながる」。実際に、後藤さんのこれまでの活動や現在実践されている暮らしの形について伺います。レポート記事をどうぞお楽しみに✨


<参考>(※1)EARTH OVERSHOOT DAY「How many Earths? How many countries?」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?