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【Case Study】アサヒ飲料「三ツ矢青空たすき」 |自然と人のつながりを育む共創プロジェクト

PROJECT

「三ツ矢青空たすき」

ISSUE

アサヒ飲料の「三ツ矢サイダー」は、発売開始から140年間、国民的炭酸飲料としてあらゆる世代に親しまれてきました。
一方で、昨今は飲料市場を取りまく環境が大きく変わり、生活者と商品のタッチポイントも多様化しています。

三ツ矢サイダーは、お客様に選び続けてもらうために、プロダクトとして提供できる価値やブランドパーパスを改めて探索するプロジェクトを開始。
その過程で、三ツ矢サイダーには、自然と人とが共生するどこか懐かしい風景を想起させる力があることを発見し、この情緒的価値の側面に注目した事業づくりが進められました。

こうした背景から立ち上がったのが、新規共創事業「三ツ矢青空たすき」です。

事業として目指すビジョンには、「日本の豊かな文化を『たすき』のように未来に受け継いでいく」「誰もが自然の恵み、豊かな文化を感じられる体験を通じて、自分らしい形で暮らしに溶け込ませられる機会を提供する」を設定。

ツナガルは、これら「三ツ矢青空たすき」のイメージやビジョンをユーザー体験として具現化し、ブランドの情緒的価値を最大化するため、WEBサイトやSNS、体験造成をはじめとする顧客や地域の人とのコミュニケーションの設計を協業しました。

マーケットやファンに、広いリーチをもつアサヒ飲料に対し、ツナガルは強みである、人と人をつなぎ、その後の行動変容を促すスキームを活用することで、地域・企業・顧客などの間における共創関係の構築を実現しています。

OVERVIEW

名称:「三ツ矢青空たすき」
サービスURLhttps://mitsuya-aozoratasuki.asahiinryo.co.jp/

概要:日本の自然の恵みや豊かな文化を未来につなぐ活動を行うガイドである「語り部」と共に、五感で楽しみ学びを持ち帰る体験プログラムを提供。参加方法は、現地集合・オンライン・動画視聴の3つから選択可。
語り部:福岡県糸島市で活動する地域プレイヤーの方々
体験内容:「糸島野菜の収穫体験・料理体験」や「海底湧水を使った塩づくり体験」など、参加者が様々な角度から「自然の循環・持続可能な暮らし」を森や海、畑などを舞台に体験するプログラムを提供


SOLUTION

「ツナガリを生む」「ツナガリを考える」「ツナガリで解決する」という三つ軸で事業を展開し、それぞれの分野のサービスやソリューションとアサヒ飲料の強みを掛け合わせ、「三ツ矢青空たすき」のビジョンを叶えることを目指しています。

以下に、具体的にツナガルが提供しているソリューションについてご紹介します。

ツナガリを生む

【語り部の開拓】
糸島市は山、川、海の自然が調和する場所。
ここをフィールドに多くの地域事業者が活動しています。

その中でも、自然と共生し、人と人とのつながりを大切に地域で活動している人々に「語り部」になっていただくことにしました。

これまで数々の地域に深く入りこみ、ネットワーキングや体験プロデュースの実績があるツナガル。

この強みを生かしながら、実際に現地で何度もフィールドワークを行い、「三ツ矢青空たすき」が大切にしている「自然の恵み」「地域文化の豊かさ」「持続的な暮らし」といった要素を体現する語り部との共創関係を築いていきました。


【体験プロデュース】
こうしてパートナーとなった「語り部」の方々の知識や思いを体感できるようなプログラムを造成し、都市生活者である参加者に提供することで、三ツ矢ブランド・語り部・参加者にとって「三方よし」となる体験をプロデュースしています。

体験プログラムをつくる上で大切にしているのは、持続的で質の良いつながりを生むフレームワーク「関係デザイン」という枠組み。

企業・語り部・参加者の全員がプログラムを構成するメンバーとして体験の準備をしたりアイデアを共有したりすることで、体験の「主催者」「参加者」という枠で線引きをせず、関係を超えて、共創関係を築く仕掛けを施しています。

ツナガリを考える

ツナガルは「関係」をテーマに、全国の企業や高校・大学などで研修プログラムやワークショップを提供しています。

「三ツ矢青空たすき」では、アサヒグループの従業員向けに、関係デザインのセオリーを学び語り部・参加者・企業にとって有益なプログラムの開発・運営に生かすことや、参加者の感動や共感を生み出すプログラムのファシリテーション方法などについてレクチャーしました。

地域共創プロジェクトにおいて、参加者全員が共創マインドを持つことは極めて重要なこと。地域コーディネーターやプログラムファシリテーターとして、常にステークホルダーのベネフィットを起点に考え、信頼と共感を築くように努めています。

ツナガリで解決する

【オンライン体験プログラムの配信技術】
「遠くて、なかなか糸島までは行けない」という方々のために、三ツ矢青空たすきでは、オンラインでの体験も提供しています。

プログラムの中には、これまで配信や中継が難しいとされてきた山間部で行うものも。

そこで、TV中継でも利用されている高画質モバイル中継装置「Live U」を使用するなどツナガルが持つ高い技術力を使うことで、自宅にいながらも臨場感ある体験を可能にする機会の提供を可能にしています。

【プラットフォームの構築/マーケティング戦略の策定】
体験の前後で語り部と参加者同士の交流の場となるプラットフォームの構築や、マーケティング戦略の策定もツナガルで実施しました。

将来的には、このプラットフォームが参加者と語り部のコミュニティとして発展することを目指し、双方向のコミュニケーションを促進していきます。

RESULT

  • 参加した語り部の人数:12人

  • 造成した体験本数:21本

IMPRESSION

ツナガル株式会社 ディレクター (「三ツ矢青空たすき」プロジェクトオーナー)
森村俊夫

僕たちがこのプロジェクトで挑戦したかったのは、「関係」によって個人の行動変容を生むこと。
そして、一人ひとりの行動変容を連ねることで社会全体に変化を起こすことです。

たとえば、コンビニでドリンクを一本選ぶとき、棚に置かれたもののなかから何となく選んでいますよね。これは、生活者と商品に関係ができていない状態といえますが、商品を選ぶときにプロダクトビジョンに惹かれて購入することも皆さん体験したことがあるはず。

そこには、商品と生活者のブリッジとなる何らかの接点が必要です。
このプロジェクトでは、自然あふれる地域に根付き、寄り添った活動を行う、まさに「三ツ矢青空たすき」が体現したい世界観をもっている方々に、生活者と商品の間のブリッジ役として入ってもらっています。

生活者は、この「語り部」の提供する体験に参加し、自然環境を手で触る、温度を感じるなどの五感を使って、「三ツ矢青空たすき」の世界観を知り、興味の入口となる感動を体験してもらいます。

体験での交流を介して、生活者と語り部の間に関係ができ、また商品には、楽しかった、学びを得たなどのポジティブな情緒的価値が付与され、生活者と商品にも関係がつながっていきます。

「三ツ矢青空たすき」の体験プログラムで得た経験や学びが、生活者の一部となって日々の生活をすこし豊かに変えること、そして自己変革や行動変容を起こしてもらうことが、本プロジェクトがこの先に目指す姿です。

生活者が「語り部」の活動を理解したり、共鳴したりするようになれば、(語り部が活動する)地域にとって、関係人口の一人となっていると言えます。

ドリンクを選ぶとき、物語るストーリーに共感したブランドを手に取るようになるという行動変容もまた然りです。

今回のプロジェクトでは、あらゆる関係をつなげられている手ごたえを感じています。


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