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Essay

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不定期に書いたエッセイのようなもの、をまとめました。
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はじまりのはじまり。

20年前の2004年7月上旬は、 お互い写真で顔を見ただけで、 実際にはまだ会ったことがなかった。 わたしに紹介したい人がいる、と、 友達から見せてもらったあなたの写真を眺めては、 一体どんな人なのだろう? ずっとそんなことばかり考えていた。 そんなある日。 メールアドレスを友達から教えてもらって。 私は思い切ってメールを送ったのだった。 とっても緊張した。 なんて書こうかものすごく悩んで時間がかかった。 しばらくして返事が来た。 それが、 わたしと夫が、 初めて会

120文字のラブストーリー

おやすみの前に聴いたあなたの声は、 いつだって穏やかで、 眠たそうだった。 あの頃と変わらぬ様子に、 私はいつも必ず 思い出す。 そう。 今からちょうど20年前に、 遠距離恋愛していた頃に、 初めてあなたの声を、電話越しに聴いたのも、 この7月のある日だった。

ふと思い出す、故郷の匂い

わたしの両親とはすぐに会いに行けない場所に暮らしている。会えるのは年に数回だけだ。 実家を出てからもう20年以上になるけれど、やっぱり時々帰りたくなる。 ふと、思い出すのは、 『懐かしい故郷の匂い』 その土地特有の匂いってあると思うし、その匂いを嗅げば、懐かしい記憶も蘇ってくる。 今となれば、そういう優しい気持ちと共に懐古できるけど、20代の頃は、そんな田舎くさい匂いもすごい嫌で、都会で暮らしたいと常日頃願っていた。 そして、当時付き合っていた本州に暮らす彼氏を追

いくつになっても自分自身を愛おしいと思えるようになりたい。自分を大切にすることって、たぶん、1番重要なことなんじゃないかなって思うのだけど、ついつい後回しにしてしまいがちな気がするから。

花柄の日傘を手に。

今日も暑くて溶けてしまいそうな北海道。出かける前に晴雨兼用日傘を買いました。少しだけ気分が上がるように花柄を選んでみた。 日傘を使っている人の勝手な私のイメージは、「上品で華やか」。 そのイメージとは真逆に位置するようなわたしなので、日傘を使うなんて考えもしなかったし、「夏はむしろ日焼けしたい」みたいな、ちょっと夏は寒すぎる方面の北海道で育った人特有の思考なのか、日傘を使わずに生きてきた。 そんな私がいよいよ日傘を買うに至ったのは、昨今の猛暑の影響が1番の理由。 最近

久々のRainny day

今日は久しぶりの雨の日。 と言っても、かなりのどしゃぶりだった。 特別、予定がなかったから、 天気予報も気にせずにいた。 案の定、窓を開けっぱなしで。 しかもすっかり窓を開けていたのも 忘れていて… その後、どうなったかはお察しのとおり。 だけど、 雨の日は、わたしは嫌いじゃない。 ついつい窓の外を眺めてしまう。 そしてなぜだか本が読みたくなる。 今日はどしゃぶりの雨が 心地よいリズムを刻んでくれて、 読書が捗り、一気に一冊読み切った。 読むのに夢中になりすぎて

私は美容師になりたかった

今日は久しぶりに娘の髪の毛をカットした。 肩から10センチ下くらいまで長く伸びた娘の髪の毛は、私に似て少し多い。重たくなった髪の毛をすきバサミですいていく。 「そういえば、ママは美容師さんになりたかった時期があったんだよ」 「え?!そうなの?!」 髪を切りながら、美容師になりたかった時期があったことを思い出し娘に話した。夢は実現しなかったけど。 なぜ、美容師を目指さなかったのか、娘は深く質問してこなかった。 それから娘の髪の毛を切り終わった後、久しぶりに髪の毛も洗

雨の日の楽しみ方

雨の日が多くなってくる6月。"梅雨がない"と言われていた北海道だけど、近年は、本州ほどではないけどなんだかすっきりしない天気が続く気候に変化してきている。そしてそれは『蝦夷梅雨』と呼ばれるようになってきた。 私は今まで毎年のようにキャンプに出かけることが多かったのだけど、この日しか休みがないために少しの雨であれば予定をずらさずに決行することがあったし、たとえば連泊の真ん中の日だけ雨で最終日は晴れる、とかの場合は、雨でも気にせずキャンプに行っていた。 いつだったか、ものすご

残り10%を切らない生き方 #なりたい自分

なりたい自分を想像したら、色々な理想像が頭の中をぐるぐると駆け巡った。 今の私は、寂しくなって落ち込みやすく、120%フル充電したはずなのに、あっという間に10%を切ってしまう。 なぜか、そこまで考えなくても良いことまでを考えてしまったり。30年後の未来のこととか。特にお風呂で髪を洗っている時に。想像をしては不安が増す。 対して夫は、昔と変わらぬポジティブ思考。かつての私もそうだったはずなのに、いつからかポジティブ思考になることが減ってしまった。夫に言うとポジティブな返

2人でコーヒー飲みながら思うこと

今日の北海道は一気に夏らしいお天気になった。なんだか海沿いをドライブしたい気分になり、これまで行ったことのなかった方面へ足を伸ばした。 なんとなく聞いたことはあったけど、うろ覚えだったお店。スマホで調べながら辿り着いた。 すぐ目の前に海が広がるすごいロケーションだった。お店の中に入るとコーヒーの良い香りが漂う。 今日は少し暑かったから、アイスコーヒー(アメリカーノ)にしてみた。 初めてのお店だったけど、とても良かった。家族連れの方々が楽しそうに砂浜で遊んでいる姿が遠く

諦めなかったその先に待っていたもの

5月の終わりに植えたかった苗を畑に植えたら、それだけで満足してしまった。準備万端だったもうひとつの畑の一角には、何も植えられないまま日が過ぎていく。 なにか植えたいけどなぁ・・その時、ふと、以前育てたローズマリーのことを思い出した。 今年はもう野菜を植えるには遅すぎる。お店にもきっともう売っていないだろうと思いながらも、なんとなくお店に足を運んでみた。 店内には野菜の苗が並んでいたけれど、どれも元気がない。ローズマリーもあったけれど、少し萎れている感じがした。結局、何も

そこにあるのは普通の毎日。だけどそれが1番大切だった。

あとどのくらいの時間を一緒に過ごせるのだろうか。あとどのくらい思い出を作れるのだろうか。 最近はずっとこんなことばかりを考えてしまっている。 時間を巻き戻すことができたら。 現状をもう変えることはできない。 できることは、 前向きに考え方を変えること、今の自分にできることをする。 挑戦することでそっちに集中できるから、色々考えなくて済むのだけど…もう少し軌道に乗ればもっと楽になるのかな。

いつか大人になるその日まで

まだ髪の毛を自分でしばることのできない娘は、 4月になってからの毎朝必ず、 「ママ、髪しばって」 と言ってくる。 最初は髪の毛をとかすところから 私がやっていたけれど、 最近は髪の毛をとかす部分まで娘がやってから 「しばって」と言うようになってきた。 いつか全部自分でやる日がきっと来るのだろうな、 と思うと少し淋しくもあるけど、成長も感じる。 あれから、娘からの交換日記の続きは まだ書いてもらっていない。 すっかり忘れてしまっているようにも思えるが、 家に帰って

私と娘の交換日記

寝る前の時間、子どもたちが成人して巣立ってしまったあとを考えるとぞっとする。ぐるぐる色々なことが頭から湧いてきて不安の波が押し寄せる。 自律神経の乱れによるものなのかわからないけれど、近年はとくに心の中がざわつくことが増えてしまった。気がつくと涙が流れている。 この先、歳を取るのがこわいとまで感じてしまう。 まだ子どもたちが小さくて手がかかっていた頃の私は、"なんで私だけ大変なの" "早くみんな大人になってほしい" そんなことばかりを考えていた。 あの頃のわたしに戻れ