見出し画像

鬼退治に行くかどうか悩む桃太郎が相談に来たら...?

こんにちは、オカヤマカナエです。

先日、キャリアコンサルタント仲間と話していた際に、

相談者さんへの「的を得た質問」をするのが難しい。
関係ない質問をしてしまって、問題の本質から遠くなってしまう。

ということが話題になりました。

生い立ちの話がキーかな?と思って掘り進めたら、本筋から大きく逸れていいったり、相談者さんが『あぁ、本当はここ聴いて欲しいのにな』というポイントに触れられず結局モヤモヤしてしまったなど...

正直、私はカウンセリングやコーチングに正解はないと思っています。同じような相談内容であっても、相談者さんによって性格も背景も状況も異なるため、当然アプローチも異なってくるからです。共通した基本姿勢はありますが、質問の決まり文句や順番もありません。まさに十人十色です。

***

突然ですが、桃太郎から「鬼退治に行くかどうか悩んでる」と相談を受けたとします。あなたはどう話を聴きますか?

なぜ悩んでるんですか?

まず、そう返すと思います。

そのあと、どうやって話していきましょうか?

人によって方法は異なると思いますが、私だったら桃太郎さんの話を丁寧に聴くようにつとめて、悩みを桃太郎さんの内側から外側に出してもらうことからはじめます。

「村で悪さを働く鬼をどうにか排除しなければならないという義務というか、課題を感じているんです....。村のみなさんには幼い頃から大変お世話になっていて、あの人たちが汗水流して手に入れた財産や、先祖代々受け継がれた宝物を奪われて悲しむ顔を見るのが辛いです。お茶屋の源さんは経営が傾きかけた時でも家宝の掛け軸を手放すという選択をしないくらい大切に守っていたのに、突然やってきた鬼達にあっさり奪われてしまった。本当に掛ける言葉もなかったです。すっかり村には活気がなくなってしましました。だから何とかしなければ...って思うんですね。ただ、一方で、私は川から流れてきた上に桃から生まれたという稀有なバックボーンを持つ人間でして、正直、どこの馬の骨とも分からない私を愛情深くここまで育ててくれたおじいさんとおばあさんにこれ以上の心配をかけるのは心苦しいんです。年齢を重ねてからの子育ては本当にしんどかったと思います。そこは本当に本当に感謝してるんですよ。万一、鬼退治を失敗した場合、村の皆さんの期待にもがっかりされるし、おじいさん達が悲しむと思うと決心ができないのです。」

例えば、こんな風にお話しされたとしたら、桃太郎さんの悩みにアプローチできる扉がいくつか見えてきます(どれが扉?というお話しは、またいつか改めて書きますね)。その扉がどこに繋がっているのか?は開けてみないとわかりません。

でも、全部開けるにはとても時間が足りないし、桃太郎さんも疲れてしまいます。

そこで、悩みの部屋に繋がりそうだなと思う扉を推理して、開ける時のヒントにノックをします。それが、1番最初に書いた「相談の本質を把握する”的を得た質問”」だと思っています。

相談の本質を把握する「的を得た質問」
= 悩みの大部屋に繋がっているか扉をノックして確認すること

ここで、もし『え!川から流れてきた桃から?そんな珍しいバックボーンがあるんですね。詳しく教えてください』という質問をしたらどうでしょう?
悩みの部屋には直接繋がっていなさそうです。

『源さんの掛け軸ってどんなものだったんですか?』の質問も繋がってなさそうですね。

また、ノックする時は、相談者の方(ここでは桃太郎さん)に寄り添うこと、相談を受ける側が自分の価値観をフラットな状態にすることが求められます。

「さる、きじ、犬を味方につけて、鬼退治に行くのが正解である」と思い込んで『いやー、行ったほうがいいですね!大丈夫!いけますって!』のようなアドバイスをするのはどうでしょう?

...その正解は、必ずしもこの桃太郎さんには当てはまるとは限りませんよね。

あくまでも、この桃太郎さんが鬼退治に行くかどうかは最終的には桃太郎さん自身が決めることです。

桃太郎さんが大切にしている価値観、不安に思っていることについて、さらに部屋の奥にある扉をノックしながら一緒に部屋の中身を確認・整理していきます。

そうすると桃太郎さん自身が「あ!こんなものがあったんだ!」と、鬼退治以外の他の選択肢を見つけていくでしょう。

・鬼から村を守るための高い壁を築いたり、シェルターなどのインフラ整備を行う
・鬼と共存する道はないか持ち前の交渉力で解決の糸口を探る
・鬼退治は他の村一番の力自慢の力太郎に任せて、自分はきびだんご作りという面で後方支援を行う
・有名になろうとしていた自分に気づき、鬼退治出なくても自己承認が満たされる方法を探す
・家族の問題から目を逸らすためだったのかもしれない、まずは鬼退治よりも目の前の課題に向き合う

こうやってたくさん選択肢が広がるかもしれません。このあと私は、桃太郎さんとさらに話を重ね、ご本人の価値観や腑に落ちる選択ができるまで(悩みの大部屋がスッキリするまで)伴走していきます。

***

キャリアの相談も一緒で、『転職したらいいじゃん!行け行けGOGO!』と導くor『せっかく安定した雇用なんだからとどまったほうがいいんじゃない?』と説得するの2択ではないんですね。

私は先生ではないし、あくまでも相談に来られた方の感情や迷いを具体的に映し出す鏡になることを意識しています。それが、上の話の「一緒に扉をノックして悩みの部屋を確認・整理すること」です。

結果、転職せずに今のままになったとしても、相談によって何かがスッと腑に落ちて、それ以前の悩んでいた日々と異なる毎日になると考えています。

桃太郎さんが腑に落ちる選択、自分らしく幸せだと思う選択、そこに至るツールが質問の役割だと思うんです。

そして、桃太郎さんの選択肢を引き出して、目の前に並べていくのが、カウンセラーやコーチの役割だと思うのです。

このあたりの相談の乗り方や、質問の仕方は業種職種問わず使えるので、またどこかでお話ししようかなと思います(私もこれまで別の仕事でめちゃくちゃ活用していました!)。

ついつい長くなってしまいました。最後まで、お読みくださいましてありがとうございます。ではでは、今日はこの辺りで!また書きますね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?