生きていていい、という意味のお金
お金は時としてメッセージを持つ。例えば、何かのお祝いでもらうお金には、おめでとうという気持ちが込められている。
私は働けなくても生きていていいよという意味のあるお金をもらっている。私は50代。一般的には働いて納税して、社会の役に立っている年齢である。
私はうつ病を患い、ほぼ寝たきりの障害者になって仕事をやめた。自力でできるのは、食べることとトイレだけという状態になった。生きていていいのかな、そんなことをよく思った。フルタイムで働く夫が、家事も私の世話もすべて負担した。私は生きているだけで誰かに迷惑をかけている。生きていていいのだろうか、ずっとこんなことを考えていた。
ある日、一通の郵便が届いた。
あなたは生きていていい。国があなたの生活の面倒をみましょう。だからゆっくり療養してね。
そういう意味の手紙だった。
年金証書と書かれた文書、それは障害年金の決定通知であった。
(傷害年金とは、身体あるいは精神障害者に支給される年金のこと。もらうには申請が必要)
何もできなくても生きていていいよ、と国が私に出したお墨付きだ。ここまで優しいメッセージを持つお金があるだろうか。
働いているときは給料から毎月天引きされる年金保険料の金額を、高い高いと思って見ていた。老人になってからの年金なんて、もらえるか分からない。それなのに、毎月強制的に数万円も差っ引かれるなんてまっぴらだ、と思っていた。
その年金に救われた。年金に生きていていいと言われるなんて、思ってもみなかった。
よく言われるが、今健常者である誰しもが、障害者になる可能性がある。怪我が原因かも知れないし、病気が原因かもしれない。思いもかけなかったことで障害者になることがある。そうなったときの心強い支えが障害年金である。年金保険料は、きちんと払ってほしい。
お金というと、皆増やすことを考えると思う。しかし、それだけでなく、「万が一に備えるお金」についても、考えることが必要不可欠だと思う。何かが起こってからでは遅いのだ。今のうちに、「万が一に備えるお金」の準備をお勧めする。
お読みくださりありがとうございます。これからも私独自の言葉を紡いでいきますので、見守ってくださると嬉しいです。 サポートでいただいたお金で花を買って、心の栄養補給をします。