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②日常の病【タロジロと私。ときどきお父ちゃん】

愛息子タロジロへのラブレターです。 
離れ離れでもお母ちゃんの愛が届くといいな。 
 
子どもに会えない親も親に会えない子どもも、愛していると伝え続けてほしい。 
 
自分を信じて上を向いていよう!! 
 
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8歳ジロウは、お母ちゃんとタロウだけが共有する、二人の記憶にヤキモチを妬く。  
 
11歳タロウにとって、ジロウの知らない出来事は、お母ちゃんとの大切な秘密話だ。 
 
黄疸の治療で蛍になったジロウもそう。 
 
 
ジロウの記憶にない出来事を、タロウがお母ちゃんに話し始めると、「そこジロウおった?」「それジロウ知っとる?」と、ジロウは急いで話に割って入る。 
 
秘密話だけど、タロウはちょっとだけ自慢気にジロウに解説する。 
 
ジロウは悩ましい顔つきのまま、いつの間にかお母ちゃんに抱きついてお膝にチョコン。 
 
ひとしきり話し終えたタロウは、ヤレヤレとお母ちゃんに目配せし、ニコっと微笑んで読書を始める。 
 
 
 
私は8歳のタロウを抱っこした記憶も膝にのせた記憶もない。
 
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2012年、幻想的な蛍の揺らめきが消えるころ、黄疸のジロウは新生児室で天使のように輝いていた。 
 
ようやく自宅に帰れる状態に落ち着くと、今度は心臓に不具合が見つかる。 
 
新生児にはよくある疾患なので、心の中で「あらまぁ」とつぶやいて受け入れる私。  
 
退院したその足で、産院最寄りの総合病院にて検査を受けるよう、主治医から指示を受ける。 
 
 
 
ジロウは自宅より病院が好きらしい。 
 
 
 
異変を察知したタロウが、ジロウを抱っこしている私を心配そうな目で見上げている。 
 
ジロウを抱き下ろしてタロウを抱きしめればよかったな。 
 
黄疸の治療で真っ黒になり、トクトクと小さな鼓動を打つジロウにしか注意が向かなかった。 
 
タロウの鼓動だってまだまだ小さい。
 
 
 
私は未熟だ。 
 
 
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通院のスパンが長くなった2013年の4月。 
 
ジロウが尋常でない熱さになった。 
体温計がエラーになり熱を測れない。
 
顔に赤い蕁麻疹のような斑点が出始め、みるみるうちに全身が真っ赤に腫れあがった。 
 
これぞグッタリといわんばかりに反応が鈍い。
 
 
 
ジロウは川崎病になった。 
 
 
 
どんだけ病院好きやねん!! 
 
 
川崎病は全身の血管が炎症を起こす原因不明の疾病。合併症の冠動脈病変が特徴の一つで、心筋梗塞を引き起こす。(※マドペディア) 
 
早期の治療開始が重要で、血液製剤を1度投与すれば、ほとんどのケースで回復に移っていく。(※あくまでマドペディア) 
 
 
珍しい病気ではない。
でもジロウはよくならない。 
 
 
2回目の投与が必要になった。
心臓が気になる。
そういや血液製剤ってなんやねん。 
 
あまりにも急すぎて情報を入手する時間がない。
ジロウの心臓が破裂したらどうしよう。
死に至るケースは稀だけど怖くなった。 
 
2回目が効かなければ、高度な治療を受けるため転院だ。  
 
熱がようやく40度を下回ったジロウの傍らで、一人いろんなシミュレーション。 
 
 
 
不安と産後の寝不足で頭は大混乱。
人に甘えられないのは私の悪い癖だ。 
 
 
いや違う。
自分の器量を見誤っているだけだろう。 
 
 
 
夕方になると、お父ちゃんと病棟のエレベーターホールまでやってくるタロウ。 
 
私の姿を見つけると毎回直立不動になってはにかんだ。 
 
全身から溢れるタロウの不安が伝わって泣きそうになる。 
 
 
 
体が二つ欲しいと本気で思った。 
 
 
  
ジロウの妊娠中から、私はタロウに抱っこをせがまれたことが一度もない。タロウはいつも私とジロウを優先させる。
 
エレベーターホールで直立不動のタロウを、私は優しく抱きしめたのだろうか。 
 
 
記憶にない。 

 
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思い返せば、タロウこそ体が弱かった。  
 
 
4歳くらいまではひと月に一度は高熱をだした。 
春と冬にはもれなくロタとノロにかかる残念さ。
 
第一子で右も左もわからない子育てのなか、小さな体が湯たんぽのようになるタロウをとても心配した。  
 
 
 
タロウ2歳のある日。
 
タロウをお昼寝させていると、ウトウトしていた私はフト目が冴える。 
 
その2秒後ぐらいかな? 
 
タロウの体が硬直してみたこともない動きで震えだした。 
 
 
 
熱性けいれんだ。 
 
 
 
私はパッと時計を睨みけいれん時間を計る。 
 
ほんの数分だったけど、怖くて怖くて何十分にも感じた。 
 
タロウを抱っこしなかった、唯一正しい判断の出来事だ。
 
 
 
病院で点滴を受けて少しだけ元気になったタロウが、「まどかちゃん」と、か細い声で私を呼ぶ。 
 
私は笑顔で「はあい。タロウ」と返事する。 
 
 
ちゃんと笑えていたかはわからない。 
とにかく愛おしかった。 
 
 
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10歳タロウはある日風邪で学校を休んだ。
もちろんお母ちゃんは知らない。 
 
風邪から数日後、タロウはお母ちゃんから「具合はどう?」と、両頬をムニッと押される。 
 
するとすかさず、6歳のジロウが喉に手を当て、「ジロウもなんかしんどーなってきたなぁ」と、お母ちゃんをチラ見。 
 
 
タロウは「もう元気や」と笑い、ブルブルっと顔を振って、ほっぺにヒッツイタお母ちゃんの手を自由にする。 
 
まもなくジロウがお母ちゃんに抱きついた。 
 
 
 
タロジロは私の天使だ。 
 
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ーーーー③につづくー 
日常の病・Facebook編(2020.11.29記)
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☆子どもたちに優しい世界を残すのが夢です 
 
▼あきらめずに信じる勇気を!!

▼子どもたちが親の愛を受け取れますように

▼国会院内集会での私のスピーチ


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