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「想い」を紡ぐために:つむぎ株式会社誕生の背景とVMV浸透へのこだわり

現在つむぎの経営理念は、Vissionという名前で「働くがやりがいに、そして人生を幸せに」という言葉になっています。
またStatementには「“信念のあるいい会社”を支える存在であり続ける」、タグラインの「人と企業と『未来』を紡ぐ」という言葉が据えられています。

しかし実は、現在のStatementである「“信念のあるいい会社”を支える存在であり続ける」、そしてタグラインの「人と企業と『未来』を紡ぐ」は、創業当時のVisionとMissionでした。

2019年2月に船井総研を退職し、自分の経験を振り返りながらどんな会社を紡ごうかと空想していたときに浮かんだのがこの言葉。

会社の未来に共感できず、仕事にやりがいを持てない、当然働くことが楽しくない。そんな状況の人たちが、幸せだと思える社会をつくりたかったんです。なぜなら、私も同じ経験をしたから……。

会社員時代の組織崩壊から見えたもの

前職の船井総研に入社して11年が経ったある日、社内で大きな組織変革がありました。船井総研は当時、人を中心とした組織を作っていたのですが、組織変更によって「介護業界」「医療業界」「住宅業界」といった、業界ごとに部署が分かれるようになりました。

しかし、私は配属された部署はさまざまな業種の担当者が50人近く集まる、言うなれば「一匹狼だらけの部署」でした。それは、それぞれの業種が一つの部署になるほどの大きさがなかったからです。

人事編成自体は経営戦略上納得していたものの、考え方がそれぞれ異なる人たちを一つにまとめるのは至難の業。しかも、部長は全社の案件を抱えており部のマネジメントが難しく、副部長は運営の困難さに体調を崩し休職。

グループマネージャーの一人も半年後に休職してしまい、実質私ともう一人のグループマネージャーで部を統括しなければいけない状況でした。

部署の目的が浸透しなかったり、コミュニケーション不足だったりと進め方も難航し、次第に部署の雰囲気が曇っていったんです。

年始に50人近くいた社員は、年末には気づけば30人近くになっていました。離職率は40%、部署の成績も下降状態。部下から「相談があります」と声をかけられれば、退職の決意だとピンときてしまうほど、もう組織の崩壊は止められない状態でした。

何より苦しかったのは、不平不満が飛び交うこと。そんな状況だと当然仕事は楽しくないでしょう。私だって、楽しくありません。
こんな経験は、会社員人生で初めてでした。

人と企業と「未来」を紡ぐ

その翌年、部長を任されたのをきっかけに、「この部署のメンバーがもう一度前を向いて、楽しく働ける環境にする」と心に決めました。

部長を引き継いだ1年目は、メンバーが安心感を得られるように、とにかく部署内のコミュニケーション量を増やしたんです。しかし、離職率は20%とまだまだ高く、予算もプラスには回復しませんでした。

もっと一人ひとりと密なコミュニケーションを取る必要があったと反省し、2年目からは1on1を開始。メンバーそれぞれがやりたいことを中心に据えて働けるように尽力しました。

そんな中、今後部署の中心を担うだろうと期待していた社員から、退職願を渡されたんです。

彼は、転職先の会社の未来予想図にワクワクした、と退職理由を話してくれました。誰よりもコミュニケーションの時間をとっていたのに、離れてしまった。
それは、たとえ深い関係を築いていても、会社の未来に心が躍らなければ人は付いて来ないんだと痛感した出来事でした。

目の前の人が、仕事を頑張りたくなる理由を作りたい。企業の未来だけでなく、一人ひとりの未来をも。

 「人と企業と『未来』を紡ぐ」
 
ふと、この言葉が湧き上がってきたのです。生涯かけて実現することの中心に置こうと決意しました。

つむぎという会社名も、この「紡ぐ」から生まれたんです。“繋げる”よりも強固な、「より関係を太くする」という意味を込めています。

「想い」を大切にできる会社を作りたくて

部署の環境改善を行なう中で、感じていたことが1つあります。

それは、お付き合いのある会社の社員さんが心から楽しそうに仕事をしていること。
めちゃくちゃ忙しそうだけど、前向きに仕事に向かっているし、成長もしている。不満ばかりが飛び交う、自身の環境との差に衝撃を受けました。

惹かれる会社の、素晴らしさの共通点はなんだろう。

考えた末に浮かんだのは、会社の中心にどうなりたいかという想いがきちんとあって、その「信念」に集まる人たちが活き活きと働いていることでした。

部長3年目は、お客様の会社から学んだことを活かして、会社の経営理念とは別に部署のVisionを策定。

メンバーと組織の成長ステップを密に共有し、歩ゆむべき道を照らしてみたところ組織はぐんと成長していきました。その結果、離職率は1桁台に安定し、無事立て直すことができたのです。

つむぎがVMV(Vision・Mission・Value)浸透にこだわるのは、この経験が元になっています。

自身の組織がしっかりと機能し始めた頃合いに、私にとってのやりたいことも見えてきました。それは、「信念のあるいい会社」を「人」の面から支える存在になりたいということ。

そして、今の自分はこの想いが叶えられる環境にいない現状に気づきました。
上場企業として、売り上げやノルマの達成は一番最初に考えなければいけない。予算作りが十分でなければ、「いい会社をサポートしたい」なんて綺麗事になってしまうのです。

でも、ひたすら数字を重視したところで「いい会社」にはなり得ない。

まず最初に、「想い」を大切にできる会社を作りたい。そうして起業を決意し、2020年1月につむぎ株式会社が誕生したのです。