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田んぼに行く前に知って欲しい15のこと

はぎや農園さんとお米づくりをしていくにあたって、田んぼにいく前に知っておいて欲しい、稲作についての基礎知識について質問してみました!

1. 日本の一般的な稲作農法は?

慣行農法(かんこうのうほう)と呼ばれものです。一般的に決められた肥料や農薬を使ってお米を育てる方法です。農協が取り決めた栽培基準にのっとり栽培し、農協に買い取ってもらうことを前提とした稲作です。

スーパー等で購入できるお米のほとんどは農協が農家さんから買い取ったもの。農協は一定の品質を保ち安定供給するため、農家さんに同じ規定のものを栽培してもらい、販売しています。

農協は複数の生産者の同じブランドのお米を買い取ってそれを混ぜて販売するため、購入時に産地は特定できても、個別の農家さんまでの特定は難しくなります。

農家さんとしては、お米を作れば必ず農協が買い取ってくれるので、経済的に安定しますが、どんな栽培方法だったとしても買取価格は決められています。ex) 去年の実例でいうと、コシヒカリ60Kgで1万1千円くらいで買い取られる。(安い...!)

一般的に農協におろしていないお米は非常に少ないのが現状です。(ファーマーズマーケットやインターネットで直販している人はごくわずか。全体の2~3%程度だそう。)

2. はぎや農園さんのお米の育て方は?

はぎや農園さんは、大枠でいうと有機栽培に取り組んでいます。農薬・化学肥料使わずにお米を作っています。トラクターは使うけれど、地形によって一部トラクターを使わずに耕す場所もあります。

肥料に関しては、全く入れないわけではなく、米ぬかや藁などを使うことがあります。米ぬかを使うと厳密にいうと無肥料ではなくなるので、自然栽培とは言えません。

有機栽培は畑に有機物(その畑に存在していないもの)を肥料として与え、土地を肥やす栽培法。有機肥料にはいろんなものがあり、米ぬか、落ち葉堆肥などの植物のものもあれば、鶏糞や豚糞、牛糞などの動物性のもの、科学的に合成されたものも含まれます。

3. 有機栽培を選んだ理由は?

最初にお米づくりを教えてくれた人、岡本よりたかさんが有機栽培をやっていた事がきっかけ。最初に始めた野菜作りが有機栽培で育てていたので、お米も自然と有機栽培で育てようと思ったそう。

また、トラクター、耕運機などはかなり高額ですが、機械がなくても人間の力を使えば意外とできるということを実験してみたかったのも理由のひとつ。その方が、お米を作りたいと思う人にとってハードルを感じずに始められると思ったからだそうです。

4. コシヒカリを作っている理由は?

食べ慣れていて、美味しいからというのがひとつ。地球の仕事大学での講座の中で、コシヒカリの作り方が分かれば他の品種がわかる「お米の基本」のようなものだと学んだので、まずはコシヒカリを作ってみようと思ったそうです。

5. そもも有機栽培とは?有機JASと何がちがう?

農林水産省が指定したガイドラインを守って栽培し、認証機関から認められると、有機JAS認定がもらえます。有機JASの中にも認められている農薬や有機肥料を使っているものもあるので、完全に無農薬、無肥料というわけではありません。

認証がついていると消費者としては分かりやすいので、売りやすいというメリットはありますが、認証を取得するのにはお金がかかってきます。この取得代金は生産者負担になります。

スーパーで有機JASをみかけるのは、農協が有機JASも扱っているからだそうです。

6. 特別栽培米とは?

栽培期間中の農薬と化学肥料の量を一般的な慣行栽培のものより減らしているもので、減農薬と言われる栽培方法で育てられたお米のことです。つまり無農薬、無肥料というわけではありません。特別栽培米という指定された規定の中で作られています。

7. 自然栽培と有機栽培の違いは?

自然栽培は外部から栄養素を何も持ってこない、田んぼ本来が持っている栄養素で栽培していく方法です。米ぬか、稲藁も畑の中から生まれたものを使用していくそうです。

8. 農協が販売しているお米は安全?農薬や肥料が使われるメリット/デメリットは?

農協がテストをした薬品なので、人間が食べるという観点では、安全です。ただし、肥料を作るために海外から自然の有限な資材(天然ガス)を使っている場合も多いので、持続可能とは言えないかもしれません。

9. 自然栽培の生産者の生産物はスーパーでは買えない?

基本的には買えません。ファーマーズマーケットや、農家さんから直接買うしかないのが現状です。

10. 農法などによって味は変わる?

基本的には、栽培方法よりも産地(土壌の質)の方が味には影響するそうです。ちなみに、佐倉は千葉県で四番目に美味しい産地と言われている場所。
ただし、化学肥料を使いすぎるとお米の味が淡白になってしまう気がする。
また、連続してその土地を使うと、土地の栄養素が作物に取られてしまうので、肥料を使う必要が出てくる場合もあります。
ワインで言うところのテロワール(土地の味をブドウが表現している)に似ているかも?

11. お米の種ってどうなってるの?

お米の種とは、お米に籾殻がついた状態のものを指します。(玄米よりもさらに前段階の状態)

普通、お米農家は種籾を農協から買って育ています。自家採種して育てている専業農家さんはとても稀です。

普通の農協が売っている種籾はどのように育てられているかというと、農協の試験場でしっかり管理されて作られています。

お米の種は基本的にはF1です。はぎや農園さんたちも種籾を籾種農家さんから購入して育てています。自家採取は選別などの作業をするのが手間であること、種籾農家という種籾専門の職業があるのでその方を応援する意味でも自家採取はしてないそうです。


12. はぎや農園さんはどんな種籾農家さんから種を買っている?

個人の種籾農家の中川さんから買っています。
種子消毒はしているが、化学的な薬剤ではなく微生物性の消毒をしている方です。中川さんは、基本的に種用のお米を作っていて、種自体は化学肥料、農薬は一部使って作っています。

中川さんの人間性も好きなので、種に対する化学肥料や農薬はそこまで気にしていないそうです。種の栽培に化学肥料や農薬を使っていても、実際にお米を育てた際には農薬はほとんど残らないと言っても過言ではないそうです。

13. 田んぼに行った時に様々な動物がいて感動しました。カエルは田んぼにとって良い存在だそうですが、それはなぜですか?

カエルは田んぼの食物連鎖の真ん中にいる動物です。カエルが食べる生き物のふんは田んぼの肥料となるので、カエルの種類がたくさんいるかどうかが豊かな土壌かどうかを測る指標の一つとなります。ちなみにザリガニは穴を掘ってしまうので田んぼの水が抜けやすくなり、あまり好ましくはないそうです。

14. 稲作を始めたら助成金をもらえるのは本当?

本当です!飼料米を作ると田んぼ一反あたり数万円もらえます。
規定された条件をクリアした認定農家である必要があります。

認定農家になると助成金などは受けられますが、農家一本で生活していくという意思表示でもあるので、書類の提出や耕作の面積を多く取らなければならないなどの覚悟も必要です。

15. はぎや農園さんが伝えたいこと

化学肥料や農薬は避けたいものではあるが、実際にお米作りをしてみると、その大切さ、便利さがわかるはず。その上でどういうお米を選ぶかが大切だと思います。慣行農法も悪いわけではないので、体験を通して自分の軸を持っていただけるといいかなと思います。


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