【訳ありボツ話】『卒業写真SP』『誼譟の中の沈黙』

今回のボツ理由はシンプル!
どっちも同じ理由です。


『卒業写真SP』643字

時折こうして卒業していった子たちの写真を眺めては一人の時間に浸る。

みんな私にとってかけがえのない子たちではあるが、特に思い出に残っている子はいる。

上原。
何でも進んでこなす頑張り屋さん。人の嫌がることでも嫌な顔せずに引き受けてくれたっけ。私も何度助けられたことか。変に飾らないのも良かった。

及川。
卒業は結構前だが思い出に残っている。派手な見た目に反して頭が良い子だった。この子も飾らないこともあった。この前久々に姿を見たが、素敵な大人の女性になっていて驚いたよ。

蒼井。
負けん気が強くてリーダー気質。皆のまとめ役だった。そんな蒼井も今じゃあ双子のお母さんだもんなぁ。

麻美。
笑顔が印象的だった麻美。病気をしたと聞いた時は驚いたが治ったようで良かった。今では夢だった歌手活動をしているらしい。

成瀬。
誤解されることもあったけど思いやりのある性格で皆に慕われていたっけ。アイドルを目指していたらしく歌やダンス、コスプレを精力的にこなしていたが今もやってるんだろうか。

初美。
人気のある子だったけど、家庭の事情で辞めざるを得なかった。でも要領のいい子だったから、うまいことやってるはず。

明日花。
今年卒業したばかり。正直問題児だったが、その行動は信念に基づいたものだったんだろう。卒業しても自分の道を進んでもらいたい。

ふと窓の外に目を向ける。

先ほどまでの豪雨は収まったようだ。なおも少量の雨は降っているが、直に青い空が姿を現すだろう。ベランダの水滴がキララと輝いていた。

みんな卒業しても幸せだといいなぁ。

2020年10月


分からなかったらいいです。
恩師が卒業生のことをアルバムかなんかを見ながら思い出してるんだと思います。
弁明しますが、別に特別思い入れがあるわけじゃありませんので!


『誼譟の中の沈黙』751字


向こうの席に直属の上司が一人腰掛けていた。

部屋に入ってきた俺を確認すると顔をしかめて目をそらす。

上司のその様子を見て俺も挨拶を忘れて数秒立ち尽くしていた。しかし、このまま立っているのもおかしいので無言で席に着く。

新人の頃からずっとお世話になってきた上司。厳しくも優しくも仕事のいろはを教えてくれたのはこの人だ。

入社5年目。仕事にも自信がついてきた頃、知り合いが立ち上げた会社から引き抜きの話があった。悪い条件ではない。

給料が上がり役職もつく。願ってもない条件だ。

しかし、頭をよぎるのは上司の顔。

転職するにはまず、この人に挨拶するのが筋だ。

しかし、言い出せない。裏切るような形で別の会社に行くなんて……。少し前の飲みの席で一生ついて行きますと言ったばかりなのに。

もう、転職自体辞めてしまおうか……。そう思っていると上司の方から声をかけてきてくれた。

「お前が悩んでいるのは知っている。何でも言ってみろ、俺とお前の仲だろ」

俺は泣きながら話した。上司は全て知っていたかのような顔で聞いてくれた。

あからさまに自分を避ける俺を見て何かあるなと思っていたらしい。

結局転職はしなかった。引き抜きがあった会社のスタートアップがうまくいかず、転職の話もなくなったのだ。

俺はかつてのこんな記憶を思い出していた。

あの時も今みたいに気まずくて話しかけられなかったっけ。いや、今回は気まずいのは俺だけじゃないな……と考えていると声をかけられて顔を上げた。

「ミキで~す。よろしくお願いしま~す」

俺が返事をする間もなく、おしぼり片手に水着お姉さんはびったり横に座ってくる。

爆音のユーロビートを耳に、ふとチラリと向こうの席に目をやった。

何の憂いもなく女の子だけを見つめるカラフルな光を浴びた横顔。

この人に一生ついて行こうと改めて思った。

2020年10月


こっちも分からなかったらいいです。
いや、別に行ったことあるわけじゃなくて…なんかそうだっていう話を聞いたっていうか。イメージっていうか。仮に行ってたとしてもそれは取材であって。
うん、もっと健全なのは付き合いで行ったことはあるけど。

爪に火を灯すような生活をしております。いよいよ毛に火を灯さなくてはいけないかもしれません。いえ、先祖代々フサの家系ではあるのですが……。え? 私めにサポートいただけるんで? 「瓜に爪あり爪に爪なし」とはこのことですね!