むすこからちちへ【掌編】225字
ぼくはちちをしらない
ちちのすべてつつみこんでくれるようなやさしさをぼくはしらない
ちちのあたたかさにふれなみだながすよるをぼくはしらない
ぼくのよこにはちちがいない
かれのよこにはちちがいる
あいつのよこにはちちがいる
かれのちちがぼくのちちだったらよかったのに
あいつのちちがぼくのちちになればいいのに
ちちとあそぶのってたのしい?
ちちとあそぶのってうれしい?
ちちとあそぶのってきもちいい?
もしもぼくにちちがいたら
まずはだきしめてもらいたい
そしてかおをうずめたい
2021年7月
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見出し画像にイラストをお借りしました。
爪に火を灯すような生活をしております。いよいよ毛に火を灯さなくてはいけないかもしれません。いえ、先祖代々フサの家系ではあるのですが……。え? 私めにサポートいただけるんで? 「瓜に爪あり爪に爪なし」とはこのことですね!