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二人のお爺さん【昔話】415字

むかし、むかし、二人のお爺さんの家が隣り合って建っていたそうな。

一人のお爺さんは趣味で格闘技をやっているお爺さん。細身だが締まった筋肉が自慢だったそうな。

もう一人のお爺さんは趣味でボディビルをやっているお爺さん。肥大して黒光りする筋肉が自慢だったそうな。

お爺さんたちは基本的に仲がよかった。二人の家の間に共同のトレーニングルームを建てたほどだった。しかし、トレーニングの内容になると意見が別れて喧嘩することもあった。

格闘技お爺さんが走り込みをしていると、ボディビルお爺さんは「筋肉が小さくなる」と鼻で笑い、ボディビルお爺さんがマシンで肩回りを鍛えていると、格闘技おじいさんは「可動域が小さくなる」と鼻で笑った。

ある時、二人のトレーニングルームに強盗が入った。ボディビルお爺さんが大きな筋肉で強盗を怯ませ、その隙に格闘技おじいさんがボディブローで強盗を倒した。それ以来、二人はお互いの身体やトレーニングも認め合うようになったそうな。


2021年10月


見出し画像に写真をお借りしました。


爪に火を灯すような生活をしております。いよいよ毛に火を灯さなくてはいけないかもしれません。いえ、先祖代々フサの家系ではあるのですが……。え? 私めにサポートいただけるんで? 「瓜に爪あり爪に爪なし」とはこのことですね!