君に決めた!

画像1 「ここに三つの壺がある。一つ選んで後生大事にするのだ」 壺など欲しいと思ったことはなかったが、こうして選択肢を与えられると一つ選んでしまいたくなる。 一つ目が赤い壺。怒りの気持ちを抑えることができるらしい。私はそんなに怒りっぽい性格ではないので必要ない。 2つ目が青い壺。悲しみを吸収してくれるらしい。別に悲しい別れや挫折があるわけじゃないし……。 3つ目が緑の壺。痛みを感じなくしてくれるらしい。一見良さげだが、ちょうどテレビで痛みを感じないことの弊害を色々と見たところだったので却下。
画像2 それじゃあ私は何を選んだんだと思うだろう。もしくはどれも選ばなかったのかと。ポケットにあったコインをトスして決めようと思った。しかし、転がって草むらに入っていってしまったのだ。草むらとはいえ、スカーレットカラーの野生のスミレが咲き誇る半分花畑と言ってもいい場所だ。しゃがみこんだ時、私は目を疑った。そこになんとたまたま偶然にも黄色い壺が落ちていたから。バイオレットの花とイエローカラーのコントラストが美しい。聞くとこれを選んでもいいという。こうして私は4つ目の壺をパートナーに選んだ。
画像3 黄色い壺は驚きをなくしてくれるらしい。何事にも動じない自分になれる気がしてこいつに決めた。提示された選択肢ではなく自分で選びとった感じがして実に気分がいい。しかし、街に出ると私と同じように黄色い壺を抱えている人が大勢いた。まあ、そういうこともあるのだろう。想定内、想定内。こんなことで取り乱す自分じゃない。いいモン手に入れたと満足しているのだ。人は人。自分は自分。ちなみに黄壺は水壺に有利らしい。逆に緑壺には不利らしいので気をつけよう。これから各地のタコ部屋を巡り、壺ローンを返していく旅が今始まる。

爪に火を灯すような生活をしております。いよいよ毛に火を灯さなくてはいけないかもしれません。いえ、先祖代々フサの家系ではあるのですが……。え? 私めにサポートいただけるんで? 「瓜に爪あり爪に爪なし」とはこのことですね!