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1手詰から始めるフェアリー超入門 対面編1

前回は安南ルールを扱いました。未読の方は先に安南編を読まれると理解がしやすいかと思います。

安南は味方の駒の利きを変えられるルールでした。対面は相手の駒の利きを変えられるルールです。


ルール

【対面】敵駒と向かい合ったとき、互いに利きが入れ替わる。

例えば左下図のように23桂と打ったとします。23桂は玉の利きになるので王手になっています。一方、22玉は桂の利きになります。

右上図で、オレンジ色のマスが23桂の利き、丸印が22玉の利きです。23桂と打った手に対し、例えば34玉とすれば王手を外せます。

向かい合っていた状態が解消されたので、利きが元に戻りました。

対面ルールでは相手の駒の利きを変えられるため、対面特有の受けが生じます。具体例を見てみましょう。

左下図は、通常の詰将棋では腹金の詰みです。しかし対面ルールでは、21歩と打って金の利きを弱くする受けがあります(右下図)。

このように、王手している駒の正面に駒を配置して王手を外す手を対駒といいます。

対駒は「合駒」と語感が似ていますが、特定の地点に駒を打って(または動かして)王手を解除するという点で共通しています。

下図のように、王手駒が一段目だったり王手駒の前が攻方の駒で埋まっていたりする場合は対駒される心配がありません。

対駒とは逆のような受けもあります。

左下図は22桂が龍の性能になっているため王手です。しかし詰みではなく、33龍として王手駒の性能を元に戻す受けがあります(右下図)。

このように利きを元に戻されても詰むためには、左下図のように元々の駒の利きでも王手になっている必要があります。21馬が動くと22角は馬から角に性能が落ちますが、王手は継続します。

また、右上図のように玉の正面に弱い駒を配置する詰みの形は有力です。玉と香の利きが入れ替わっています。

補足

行きどころのない駒

対面ルールでは2段目の桂馬は合法です。右下図で、61に玉方の駒が来れば62桂が動きうるからです。一方、1段目の歩・香・桂は禁手とします。

対面に限らず性能変化系のルール全般で、行きどころのない駒の禁じ手は

  • 一時的に動けないだけで動けるようになる余地がある → OK

  • どうやったって動けない → NG(禁じ手)

と決められます。

利き二歩有効/無効

安南編1で「利き二歩有効/無効」の説明をしました。これは安南に限らず、対面を含めた性能変化系全般で登場する考え方です。

本連載では性能変化系のルールでは利き二歩有効とします。つまり、玉を取ったら二歩になる場合も王手です。

  • 二歩は禁手

  • 玉を取る手が二歩になる場合、

    • 玉を取ったことが優先される(利き二歩有効)

    • 二歩であることが優先される(利き二歩無効)

例題

左上図は13桂打迄の1手詰です(右上図)。後手玉は13桂と利きが入れ替わっています。24玉と逃げることができそうですが、そうすると25桂と向かい合うため、25桂に玉を取られてしまいます。

1手詰 練習問題

以下はすべて 対面協力詰 1手 です。

解答はこちら。


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