#029 抗がん剤治療の見送り
3月28日(日)
今朝は、寝室の毛布などをコインランドリーで洗ったり、布団を干したり、寝室と子供部屋の大掃除から始まった。
来週の日曜日に妻のご家族が見舞いに来る予定になっていたのだが・・・
ここ数日の体調悪化が心配で、お義母さんと妻の妹さんから「その前に面会できないか」と言われていたから。
「何日か、家に泊まれないか」と。
お義母さんからは「テレビはこっちで用意するので、用意しなくていいからっ」と言われたのだが・・・
テレビって・・・
じゃあ、どこまで用意すればいいんだろう。
とりあえず子供部屋は今誰も使っていないので空いているのだが。
エアコンもないし、テレビのアンテナも引いていない。
一番日当たりが良くて、全部整っている夫婦の寝室を明け渡すことにした。
代わりに、私と息子は、子供部屋を使うことに・・・
不足しているものなども買い出しに行って、今日は3時頃病院に向かった。
妻からは朝「調子が悪い」という連絡があったきり。
いつものように息子の食事中の写真や、掃除中の写真などを送っていたのだが、全く返信はなかった。
病院に着いて、看護師さんに様子を聞いてみる。
「今日もかなりダルそうである」とのことだ。
病室に入ると、妻は声は少し出せているが、頑張って声を振り絞っている感じだ。
顔は、まだ麻痺しているので動かしにくいらしい。
ご飯も食べる気がおきず、少し水分が取れる程度。
点滴で栄養をとっている状況だ。
息子はお絵描きしたり、Youtube見たり、病室でいい子に遊んでくれており、夕方頃まで滞在して帰った。
妻は、私たちが滞在中も眠りにつく場面が多く、「熱による倦怠感みたいな感じがする」とのことだった。
帰りに看護師さんに「妻のお義母さんと妹さんを面会させてほしい」とお願いした。
「妹さんの子供は私が外でみているので、短時間でも良いから」と。
「看護師長と相談して、後で回答します」とのことだ。
今日から子供部屋で寝るため、息子は環境が変わったので大興奮。
だけど、エアコンないし、ハンパなく寒いんですけど・・・泣
3月29日(月)
今日は朝から頻繁に妻とやり取りができた。
返信も早いし、回数も多い。
妻は「調子は昨日と変らない」と言っている。
だけど、私的には体調は少し良いのではないかと思っている。
朝の回診で「先生から『抗がん剤治療を見送る』と言われた」とのこと。
妻は「どうなるんだろう、来週かな?」という感じ。
現在の病状を全て聞いているわけではないため、自分がおかれている状況をまだ理解できていない。
本当のことを知ったら、どれだけショックを受けるのかな。
もっと早く病院に連れてこなかった私の責任でもある。
何を言われても、しっかりと受け止めてあげないといけないなと思う。
妻は特に食べたいものもないらしい。
「果汁100%ジュースなら飲めそう」ということなので、何種類か買っておいた。
夕方、幼稚園に息子を迎えに行くと、なんだか不機嫌だった。
「サッカーがしたい」というので公園で一時間ほど走り回る。
だいぶ発散できたようだ。
どうも預かり保育が嫌らしく、ストレスが溜まっているみたいです。
息子に「いつもいつも、お迎えが遅くてごめんね」と言って病院へ向かった。
病院に着くと、先生から「話がある」と呼ばれた。
「今日は薬で眠らせた状態にしてCTを撮った」とのこと。
だけど時間がかかってしまい脳までは無理だったらしい。
「最近新たに出来た腫瘍は、抗がん剤治療開始前と比較して、どれも大きくなっていた。だけど、拡大の勢いは若干弱まっている気がする」とのこと。
つまり、抗がん剤治療は、腫瘍の勢いを弱める程度であり、小さくするまでには至っていない。
”効果はない”ということだ。
また「栄養状態が悪化しているため、肺に水が溜まってしまっている」とのこと。
「ここ数日は高熱時のようなダルさを訴えていることを考えると、これ以上の抗がん剤治療は、衰弱を進めて寿命を縮めるだけである」とのことだ。
「抗がん剤が効かないことを考えると、体調が回復したとしてもやるべきではなく、緩和ケアへ移行した方が良い」ということだ・・・
さらに「今日は鼻から酸素を入れていて、貧血もかなり進んでいる」らしく。
「近いうちに輸血が必要になる」ということだった。
ただし「今後積極的な治療を行う予定はないため、輸血もこれが最後になるだろう」とのこと。
これらの結果を踏まえて、妻に全てを話すことになった。
明後日の10時半から。
先生は、明日の夕方なら時間があるらしい。
だけど「夜にこのような話をするのは精神的にも良くないし、昼間のうちに話をして、旦那さんには奥様に付き添ってあげて欲しい」ということであった。
ここまで短期間で事が進みすぎてしまって、正直パニックです。
1月末に腰が痛くて、検査したら「がん」と言われて、わずか2か月。
その間に下半身は動かなくなり、もう治療はしない方が良いと・・・
妻に何と言っていいのかもわからない。
だけど、しっかりと向き合って、これから妻がどうしたいかなど、少しでも話ができたらと思う。
できれば「ずっと家に帰りたい」と言っているので、家には返してあげたい。
生きているうちに・・・なんとかしてあげたい。
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