【書評】社会人大学人見知り学部卒業見込/若林正恭

お笑い芸人のことはよく知らないけど、オードリーというコンビはその中ではなんとなく知ってる方だったし、若林正恭というタレントの人物像もなんとなく理解していて、以前『ナナメの夕暮れ』がkindleでセールになっていたときは買おうかどうか真剣に悩んだ。

結果的に買わなかったのだけど、理由は「読んだら絶対共感して面白いと感じてしまうのが容易に想像できた」から。だがこのたび大学の後輩である友人が突然、同じく若林の著書である「『社会人大学人見知り学部卒業見込』が面白い」と言ってきて、しかもわざわざほしいものリストで贈ってくれたので、流石に読まざるを得なかった。

で、読んでみれば、やっぱり案の定面白かった。

本書を読むといい人

「物事を斜に構えて見ている自覚があり、昔はそれでいいと思っていたけれど歳を経るにつれそういう姿勢に疑いを持つようになり、でもやっぱり斜に構えてしまう自分が変わらない」という人にオススメです。はい、ぼくのことです。

本書は大きく二部に分かれていて、著者が称するところの「社会人一年目〜四年目」の章、そして「真社会人」の章で少し毛色が変わります。芸人としてブレイクして突然変わった景色と今までの価値観の齟齬に悩む時期と、それに向き合って受け入れつつある時期です。前述のオススメした人の中でも特に「悩む」時期にある人にはオススメです。はい、ぼくのことです。

個人的に印象に残ったこと

「人間関係不得意」というテーマが何度か出てきます。オードリーのラジオにハガキ職人として投稿してたら若林に見出されて、構成作家見習いとして上京することになったツチヤタカユキという人物についての話が展開されます。

この人物がラジオに投稿していた経緯や、見出された後どうなっていったかという一連の話を読んでいて、最後には泣きそうになってしまった。不器用な人間が生きやすく生きることは困難で、それでも頑張って頑張って、なんとか得られた一瞬の輝きが後の人生を照らすのだと思う。

書き続けた人の事例として

本書は著者が雑誌で連載していたエッセイをまとめたものですが、連載していく過程での気持ちの変化が見て取れるのが面白いし、書き続けたことによって今まで見えなかったものが見えるようになったような述懐もあって、最近毎日noteを書くことに苦しんでいる自分にとっては勇気をもらえる本でした。なんか終始自分のための本だった。

ぼくはまだ「真社会人」になれていないなと感じます。いつかなりたい。


この記事が参加している募集

読書感想文

フリーランスでホームページ制作のコーディング外注を請け負っています。詳しくは以下をご覧ください。ご依頼お待ちしています。 https://note.com/tsukurumizuno/n/n533ff49fabbf