私たち人間の消費社会を支える動物実験のあれこれ

「安心」「安全」

現代の社会において、特に欠かせない要素だと思います。一方で、これらを満たした製品や技術が世に出ることは、そう簡単なことではありません。

今回お話するのは、私たちの消費社会を支える動物実験について。

「あまり興味がない」「イメージが湧かない」なんて方も多いかもしれませんが、是非ご一読してみてください。日々の生活において、1つでも新たな視点を得る機会になれば嬉しいです。

1.動物実験とは?

動物実験と言えば、医療や新薬開発のイメージが強いと思いますが、化粧品、日用品、食品添加物、農薬、工業用品など広い分野で、生体における安全性や効果を評価するために行われてきました。

動物種としては、マウスやラット(大きめのネズミ)が大半を占めます。加えて、モルモット、犬、猫、ウサギ、鳥、魚、ヒツジ、さらにはサルやチンパンジーなどの霊長類に至るまで、目的に応じて多様な個体が用いられています。

時代と共に、動物実験における規制も進み、現在では国際的な原則「3R」が定められています。実験に携わる人はこれらの理解が義務付けられています。

3R :
 R
eplacement(代替)
 Reduction(削減)
 Refinement(実験精度向上)

要約すると、「出来る限り動物実験を減らし、動物への苦痛を減らそう」というような内容です。

2.高まる反対の声

(動物実験反対を主張する化粧品ブランド)

近年、欧米を中心に、主に化粧品等の開発における動物実験反対運動が活発化しています。その影響で、大手メーカーも続々と動物実験廃止に乗り出しています。反対の根拠としては大きく以下の2点です。

・倫理的観点:可哀そう、動物を犠牲にした製品を使いたくない。アニマルライツを考えるべき。

・科学的観点:研究施設の実験動物と人間で、同じデータが出るとは言えない。むしろ誤った知識をもたらしかねない。

実際に、動物実験ではクリアした製品が、人間や環境に思わぬ悪影響を及ぼして販売中止…そんな事例が過去に複数あり、一部の専門家からも反対の声が上がっているようです。

とはいえ、動物実験はこれまで多くの研究者らにより確立されてきた貴重な技術です。私たちの健康や福祉に計り知れない貢献をしていることも事実です。

3.日本の動物保護への評価は低い!?

「まあでも、日本はちゃんとルールを作って規制してそう」

なんとなーく、こう思う方もいるんじゃないでしょうか?

実は、日本の実験動物保護に関する評価はかなり低いんです。

世界14か国に拠点を持つWAP(世界動物保護協会)による、2020年版の動物保護指数(API)レポートによると…(対象となったのは50か国)

【実験に使われる動物に対する規制の評価】
A、B:EU諸国、オーストラリア、インドなど
C、D:アメリカ、中南米諸国、中国など
E:日本、カナダなど

7段階中、5番目の評価です。ちなみに家畜に対する評価はさらに低くなります。

この背景には政治や経済等、多くの事情もあるでしょうし、社会において動物保護が全てではありません。とはいえ、世界的に見て日本の動物保護への取り組みが乏しいのは確かです。

4.代替法は?

全面的に動物実験を無くそう!というのは、近い将来に期待することは難しいと言われています。その一方で、多数の有用な技術が進化し続けています。ここでは簡単に一つ、ご紹介します。

★ips細胞を用いた小型臓器、多臓器チップ

2012年に京都大学・山中教授がノーベル賞を受賞したiPS細胞技術は、動物実験を減らす可能性を大いに秘めています。

簡単に言うと、「人の体の一部を取ってきて、各臓器の小さな模型を作り、実際の体内の構造のように繋げる」というような手法を可能にします。これが上手く確立されれば、倫理的に、かつ非常に効率的に、科学的進歩を推し進めることができそうです。

5.できることから

実は、新型コロナウイルスのパンデミックが世界での動物実験の在り方を見直す機会になった、という話があります。というのも、通常なら認可されるのに10年以上かかり得るワクチンを、1年を待たずしてスピード開発できた理由の1つに、動物実験の期間を大幅に縮小したことがあるそうです。図らずも、動物実験を減らしても研究が成り立つことが示されるきっかけになったのかもしれません。(参考:動物実験のない世界は成り立つか?

また、動物実験を行っていないけれど動物由来の成分は含んでいる、なんて製品もあり、視点や考え方によって意見が分かれるところだと考えられます。それでも、知ることは行動への第一歩です。

・製造・開発段階を把握して製品を選ぶ・今後の動向にアンテナを張る
・モノを大切にする(ロスをなくす)

私自身、自分にできることを考え続けたいと思います。

最後までお読み頂きありがとうございました!


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この記事を書いた人は

kane

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