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【渋沢栄一流】理研コンツェルンにみる産学連携のコツ

1.新1万円札のおじさん

渋沢

「次の1万円札の肖像の人といえばだ〜れだ??」

「そう!!正解は日本資本主義の父こと渋沢栄一です」

というわけで、本日は渋沢栄一が築いた理研のお話です。渋沢栄一は、明治初期の実業家でみずほ銀行の前身となる第一国立銀行や東京証券取引所、理化学研究所などの多種多様な企業の創設に携わりました。

その中でも特に力を入れていたのが、アジア最初の基礎科学総合研究所として、1917年に創設された「理研」こと理化学研究所です。

理研はもともと高峰譲吉先生(アドレナリン発見者)が、ロックフェラー研究所やキャベンディッシュ研究所といった欧米の私設基礎研究所からヒントを得て「国民科学研究所」の設立を提起したところからスタートしました。

目的は、「理化学工業によって国の産業を興す」こと。「産業応用可能な基礎的な科学技術を自国でインキュベートできるようになってこそ列強の仲間入りができる」という高峰先生の信念からくる壮大な構想でした。

2.早くも財政危機!若き英才の決断

大河内

総裁に皇族である伏見宮貞愛親王殿下、副総裁に渋沢栄一と菊池大麓(帝国学士院長・元文部省大臣)を迎えて鳴り物入りのスタートを切った理研ですが早くも暗雲が立ち込めます。

そう。第一次世界大戦による不況とインフレで研究資金が全く集まらなくなったのです。

危機感を募らせた理研の長老たちがこの重大局面の打開を任せたのが、弱冠40歳の東京帝国大学教授にして子爵の大河内正敏でした。

大河内は、まず資金集めのために理研の研究体制の刷新を断行します。

彼は、就任に際する演説で「研究に耐えざるに至りたる者、もしくは研究能力の欠くに至りたる者は之を罷免して、新進気鋭の研究者を採用する見込みなる旨を陳述す」と述べ、使えない研究者をクビにして若き活力ある研究者を集結させる方針を打ち出しました。

さらに、主任研究員制度を新設し「主任研究員」に選ばれたリーダーたちに研究テーマ、予算、人事の裁量権を与えて独創的な研究に取り組めるチャンスを作りました。

加えて、主任研究員には東大、京大、東北大との兼任を認めて各大学内に研究室を設けて理研以外でも研究を遂行できる環境づくりに奔走しました。

既存の帝国大学と連携することで、理研の主任研究員が増えるほど大学での研究が広がっていくと言う日本の研究界全体レベルでのシナジーを産むことができると考えたのです。


3.大河内ベンチャー設立!!理研を財閥に変えた男に

理研コンツェルン

もう一つ、大河内が断行した大きな改革に「科学主義工業」というものがあります。これは、優秀な研究が工業化されずに埋もれていく現状を変え、理研の手により研究成果を社会に実装していくと言う方針です。

このために、大河内は発明の成果をもとに理研財団を親会社として小会社を設立、製品化して得た報酬を研究所の研究費に充てるシステムを作り上げました。

このシステムで作られた子会社たちこそ、戦中15財閥に数えられた「理研コンツェルン」です。1922年にスタートした東洋瓦斯試験所を皮切りに63社が設立され、工場数は121、取得特許数は897に上る大成功を収めました。

当時の理研研究費の内訳を見てみると、研究費の75%にあたる218万円は特許実施料であったと言うから理研の技術力の高さには驚かされるばかりです。

理研コンツェルンはまさに現在行われている、TLO(大学技術移転機関)の原型と言えることができるのではないでしょうか。

さて、ここまで聞くとかなり、聞こえは良いのですが、実態としては「理研の研究費を自前で稼がねばならない」「誰も研究費を融通してくれないなら自分たちで稼ぐしかない」という厳しい台所事情もあったようです。

とはいえ、大河内の改革により理研は自走できる体制を整えて戦後の産業立国の基礎を作ることができたのは、評価に値すべきポイントなのではないでしょうか。

4.理研まとめ

本日の記事から学べる所をまとめてみると....

・主任研究員制度で裁量権を与え才能ある研究者の意欲を喚起
・全国の帝国大学と連携した業界全体のシナジーを狙う
・大学発ベンチャーの原型となる子会社をクラスターで設立
・成功収益を研究に投資してさらなる事業のシーズ作りに奔走

と言うところでしょう。

あれ、タイトルの渋沢栄一あんまり関係なくない???
という鋭い感想を思いついたみなさま、そこはご愛敬。

最後になりますが、ビジネスによって大きく世界を変えた人シリーズとしてとしてこちらも良ければ読んでみてください


写真提供
タイトル本:amazon
渋沢栄一:日経ビジネス
大河内正敏:柏崎タブレット特集
理研コンツェルン:日刊工業新聞

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この記事を書いた人は
tetsu

人生当たって砕けて21年目。
旅とお酒と音楽が好きです。



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