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【創作】「あいつらとは違う」

自己紹介

こんばんは。TSUKURUインターン生のAです。

初寄稿(もはや奇行と言った方が適切かもしれませんが)として、最近流行りのタワマン文学、ならぬ「庭付き戸建て文学」の作品を投稿させていただきます。

「都会の人」に憧れ、なりきろうとするがなりきれない女の子の話しを書いています。地方の人から見た「東京」と、それに染まっていく女の子をお楽しみください。では、どうぞ。

庭付き戸建て文学(ある女の子の話)

私は慶應ガール、故郷のあいつらとは違う。

私は、地元の愛知県瀬戸市では割と有名な企業の社長令嬢だ。陶器産業で代々成功している父親から好きなものは買ってもらえたし、勉強もそれなりにできた。SSKと呼ばれる名門女子校出身だし、昔から周りには「頭いいね」と褒められて育った。

そんな肥大した自己肯定感をガラスの中の花のように大切に持って、私は慶應に行った。もちろん、父親のおかげで取れた指定校推薦でだ。

霞会で国家公務員を目指そうと思って慶應の門をくぐった私は、気づいたらラリーの新歓で男たちと酔い潰れていた。憧れていた三田実は顔選落ちだった。

東京は楽しかった。テストの過去問はマーケの男から流れてくるし、酒代はラリーの男が払ってくれる。彼氏にも教授にもパパにもチヤホヤされて、私の自己肯定感はさらに肥大した。

大学卒業後、私はパパのコネで大手企業の事務職についた。三田実に入った女の子は、大手総合商社の一般職を顔で勝ち取っていた。

彼氏とも結婚目前、結婚したらパパ活はやめよう。そう思っていた。

現実はそこまで甘くなかった。

「ごめん、他に好きな人できた。青学出身の、ベイカレの受付嬢。こんな日にごめん。」私が彼氏に振られたのは、26歳の誕生日だった。私は生まれて初めて大泣きした。そして、途方に暮れた。彼のことが本当に好きだった。

結婚準備のため、仕事を辞めていた私は、慌ててパパに「今日誕生日だし、お手当ほしいな〜」と、LINEした。

「25歳以上の、人は、相手してまセン‼️💢契約を、解除します‼️😾」と返信が来たのは、次の日の午後3時。

私は、結婚目前の慶應出身セレブ女子から一気に、結婚適齢期を過ぎた無職女に転落した。

仕事もパパもなくした私は、恵比寿の家賃15万のタワマンを引き払い、西ヶ原近くの家賃3万のアパートに住むことにした。隣の喘ぎ声がうるさいこと以外は住めなくもない。周りは閑静で瀬戸に戻ったみたいだ。

…生まれて一度も貯金も節約もしたことのなかった私は、家賃を下げる以外の節約を知らなかった。

ついに貯金が底をついた私は、歌舞伎町のキャバで働き始めた。貰ったアルハンブラは売った。25歳を過ぎた私を雇ってくれるお店は少なく、かろうじて見つけた熟キャバは、バック率が25%だった。

「大学でもパパ活でも男に媚びてきたし、ここでも売れるだろう」という私の予見は、大きく外れた。

28歳の誕生日、私は泣く泣く父親に電話した。父親はそんな私でも優しく迎えてくれると言ってくれた。久しぶりに大泣きした。彼氏と別れて以来だ。

「地元に帰っておいで」という言葉が、どんなお店の採用通知よりも嬉しかった。私は瀬戸に戻った。

今は父親のお金を食い潰して生活している。度重なる整形で周りには同一人物だと思われていないことがせめてもの救いか。私は何を間違えたのだろうと、今でも時々考えている。

父親以外の身寄りも、結婚相手もいない私に、親戚は「いい人」を薦めてくる。だが、地元の公立大を卒業してメーカー研究職についている、冴えない男なんてまっぴらごめんだ。私には似合わない。

私は慶應ガール、故郷のあいつらとは違う。

※創作です。実在する人物・団体とは一切関係ありません。

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