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節約家のあなたへ①

ハンドメイドで稼ごうと半年間頑張ってきた「あなた」は、材料費節約のコツをだんだん掴んできました。今日はハンドメイド素材を10年以上チェックし活動を続けてきた先輩として、お金を残すための節約方法について書きます。

このnoteは、10年前の私である「あなた」に向けて書いています。
「あなた」は売れないハンドメイド作家。
「わたし」はワークショップ歴10年のプロ講師です。

アクセサリーパーツの聖地「浅草橋」

今日のあなたは自転車で浅草橋に行ってきました。
浅草に住んで2年。月に2回程浅草橋に通うのがあなたの楽しみであり習慣です。浅草橋はアクセサリーパーツや金具類、革、天然石など、クラフト素材を扱う様々なお店が集まる街です。駅前の大通りには貴和製作所パーツクラブをはじめ、誰でも可愛いパーツを購入できる小売店が並んでいます。

ものづくりが大好きなあなたは、この街に通う楽しさにハマり、数年後には浅草橋で働くことにもなります。そして一般客は入れない卸売りのパーツ屋さんや看板も無い雑居ビルの加工屋さんを知り、80歳近い職人さんと友達になったりするのですが、それはまた別の機会にお話ししましょうね。

材料費を節約するコツ

好奇心を持って通うと、同じ街でも行く度に発見があるものです。入りやすいおしゃれな雰囲気のお店だけでなく、ちょっと勇気が要るような暗い雑居ビルの店舗や古いお店に入ることも、あなたは楽しんでいますね。あなたの何でも経験してみようとするところ、長所だと思います。

実際に足を運び自分の目で見比べると、一見おなじようなアクセサリーの〝パーツ屋さん〟にもそれぞれ特徴があります。
扱いやすい定番パーツが多い店、毎月のように新商品が入荷する店、他にない個性的なパーツに出会える店、プラスチックパーツが得意な店やシェルパーツが得意な店、まとめて買うととにかく安くなる店…小売に対応しているお店だけでも、店によって性格が違います。

あなたは毎月いくつもの店を見て回るうちに、それぞれのお店や商品の特徴がわかるようになってきました。そして、材料仕入れの段階から適正な店を選んで費用を節約できるようになりましたね。

節約というのは単に安ければ良いということではありません。
アクセサリー金具などは、安すぎるパーツは不良品が混ざっていたりすぐにメッキが落ちたりすることもよくあります。お客様に良いものを届けるため、品質と価格のバランスをとるのも作り手の技量でありポイントです。良いものを安く作るために楽しく努力できるあなたは職人気質なんでしょうね。

節約の効果

知り得る限りの店を比較し、できる範囲で材料費を抑えるあなた。適正な節約は地味ですが立派な企業努力です。しかし1人で手作りする程度の規模では、節約の効果はあまり大きくありません。例えば1商品につき10円節約できたとして、成果は100個あたり1000円です。

手元にお金を残したいなら、商品価格を上げるとか1日の販売個数を増やすとか、売上を伸ばす方法も一緒に考えた方が効果的です。

ハンドメイドで「稼ぐ」ということ

あなたには羨ましく思う作家さんがいます。大量の作品をイベントでつぎつぎ売っていく某作家さんや、ブログが人気で新作を出す度に即完売の知り合い作家さん。2人とも人気があってたくさん売れていて、そして楽しそうに活動されていて、ちゃんと稼いでいるんだろうと思うと眩しく感じますね。

あなたの目標は売上10万円。手元に10万円あればアルバイトと合わせて1ヵ月の生活費を工面できるだろうと漠然とイメージしてきましたよね。でも達成できたことはなく、だんだんしんどくなってきて、ハンドメイドの作品販売は月10万円稼ぐのも大変だと感じるようになりました。

10万円分作品を作り、全部売り切れてやっと「売上」が10万円です。
通常、作品を販売するまでには先に「経費」が発生しています。材料費はもちろん、イベント出展料や交通費、ショップカードやラッピング資材も必要です。それら経費のマイナス分と売上を相殺して手元に残るお金が「利益」です。

売上 - 経費 = 利益(手元に残るお金) 

10年大人になったわたしは、活動ペースや販売価格から、前述の作家さんたちの売上や利益をなんとなくイメージできるようになりました。
前者の作家さんは、買いやすい価格(1個300~500円)のデコ作品を販売する薄利多売スタイルで、あまり利益は残っていなかったでしょう。後者の作家さんはクオリティ重視で材料にもこだわり、3000~8000円程の価格で月に十数個の販売+オーダー対応のスタイルでした。稼ぎの多い月もあったでしょうが、オーダー対応のやりとりなどかなり大変だったはずです。

そんなことも想像するようになって感じるのは、ハンドメイド作家は楽しいけれど、簡単に利益は残せないということです。

ものづくりで稼いだお金で生活するとは「利益」を生活費にするということです。仮にあなたが売上10万円を達成しても、経費が4万円かかったら作家活動で手元に残るのは6万円。残念ながら一人暮らしの家賃も払えません。ハンドメイドで生活費を稼ぎたいなら利益を増やす考え方が大切です。

利益 = あなたの生活費

真に節約すべきもの 

利益を増やすためには2つの考え方があります。
 ①売上を増やす
 ②コスト(経費)を減らす
①と②はどちらかを選んで対策するものではなく両方に目を向けてバランスを取っていくものです。

①売上の伸ばし方については、本にもネットにもいろいろなアドバイスが溢れています。
②コストカットというと、材料やパッケージを安く抑えるイメージがありますが、前半に書いた通り個人規模での材料費の節約は効果が小さいことがほとんどです。それもあってか 深く掘り下げて語られることは少ないように感じます。

ですが、実は②に向き合うことは利益を増やすうえで大切です。極端な例かもしれませんが ①に成功して月商100万円まで売上が伸びても、経費が90万円で利益10万円だったら生活するのは難しいからです。

材料費や出展料など数字で見えるもの以外に、コストには作品制作のための作業時間も含まれます。仮に10万円分の作品を作るのに20日かかっていたのを10日に短縮できたとします。節約した10日分の時間を追加の制作や告知に使えば売上や利益を増やすことに繋がります。

あなた自身の作業量を少なくできると生産性が上がり、利益が残りやすくなるということです。つまり、真に節約すべきはあなたの作業量や時間なのです。

・まとめられる作業や省略できる作業はないか?
・お客さんに伝わらない程 過剰なこだわりで効率が悪くなっている部分はないか?

やって当たり前だと思っているハンドメイド活動の1つひとつに、こんな風に疑問を投げて見つめ直すことが真の節約方法です。そうは言っても自分を客観的にみるのはとても難しいです。だからあなたも悩み続けているのですよね。たぶん悩まない人はいません。

わたしも試行錯誤しながら①と②を積み重ねてきました。かなり時間のかかる作業でしたが、向き合い続けることで少しずつ利益を残せるように変わっていきました。

具体的に何をどう節約(削減)できたのかまで、本当は一気に書きたかったのですが、だいぶ長くなってしまったので続きは次のお手紙に書きたいと思います。それまでお待たせしてしまいますが、作家活動の効率化についてこの機会にあなた自身でぜひ考えてみてください。

いつもあなたを応援しています。
わたしより

↓お手紙の続きはこちら


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